ブロードバンドタワー創立20周年を迎えて | 藤原洋のコラム
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~ブロードバンド時代の情報発信拠点からDX拠点へ~

 

 今回は、創立20周年という節目を迎えましたので、ブロードバンドタワーの過去・現在・未来について、述べさせて頂きます。最初に、ブロードバンドタワーの20年を支えて頂いた株主の皆様、顧客の皆様、共同事業パートナーの皆様に感謝の意を表させて頂きます。

 

 当社は、日米合弁企業として2000年2月9日に設立され、日本初のインターネット・データセンター企業として、去る2月9日に創立20周年を迎えることができました。お蔭様で無事にひとつの節目を迎えることができましたことは、これまでの皆様のご支援の賜物と深く感謝しております。

 

【過去】

 私は、株式会社ブロードバンドタワー(当社)が創立される約3年前、株式会社インターネット総合研究所(IRI)を、電話ではなくインターネットの情報インフラを創る企業として1996年末に設立しました。私たちのミッションは、電話網やCATV網をブロードバンド・インターネットに作り替えることと、当時若手研究者のWIDEプロジェクト(村井純氏が代表)が運用していた学術IX(インターネット・エクスチェンジ、インターネット接続事業者のトラフィック交換拠点)=NSPIXPの商用化の2つがありました。そして日本初の商用IX=日本インターネット・エクスチェンジ株式会社(JPIX)が、1997年にKDD、IRI他16社の合弁企業として設立され、IRIが運用技術を担当しました(現在、JPIXの株式は当社が保有しています)。IXを発展させるミッションが、ポータルサービス事業者などの大量のトラフィックを発生する事業者向けに、IXに直結するインターネット・データセンター(iDC)を日本で最初に実現することでした。

 私は、当時全米最大のiDC企業=エクソダスコミュニケーションズ社との合弁事業を1998年から準備をしていましたが、ソフトバンクの孫正義社長から1999年に新提案がありました。当時全米2位のiDC企業=グローバルセンター社を傘下に持つ米グローバルクロッシング社、米マイクロソフト社、ソフトバンクの合弁企業=米アジアグローバルクロッシング(AGC)社との合弁事業を行おうというものでした。ヤフー株式会社(ヤフー)を傘下に抱える孫さんの提案は、魅力的でした。この提案に応じた結果、2000年2月にAGC89%、IRI11%で設立されたのが、当社の前身=グローバルセンタージャパン株式会社(GCJ)でした。私は、株主代表の取締役に就任し、同社の初代社長は、ダリル・グリーン氏、副社長にIRIを代表して大和田廣樹氏が就任しました。こうして、日本初のiDC企業の設立は、目途が立ちましたが、重要なのは、場所の確保でした。この時に尽力してもらったのが、私が研究者時代から親しくさせて頂いていたNTTの技術系の皆さんでした。中でも、当時、株式会社NTTデータの常務(後にNTT持株会社の副社長)の宇治則孝氏の取り計らいで、頑強なスペースを貸して頂きました。また、2代目社長にニフティ初代社長を務めた岡田智雄氏にお願いし順調なスタートができたかにみえました。

 2002年に、ドットコムバブルの崩壊で、米国のiDC企業、IPキャリア企業が軒並み倒産したのでした。まだ、立ち上げたばかりのGCJには、増資が必要でしたが、AGC社が倒産し、当時11%のIRIは、増資に応じるかどうか取締役会で大変な議論となりました。その時の決め手になったのが、当時ヤフー社長で、またIRI社外取締役でもあった故井上雅博氏の後押しと大和田氏のコミットでした。かくして、2002年4月IRIが増資に応じ、62%を保有するIRIの連結子会社として当社がスタートし、私は会長に、大和田氏が社長に就任しました。

 「ブロードバンドタワー」は、「ブロードバンドネットワーク上の情報発信拠点=東京タワー」を意味しています。文字通りヤフーを始めとする日本を代表するコンテンツ事業者のメインデータセンターとして機能しており、ネーミングに相応しい企業として再出発することができました。2003年度に黒字転換し、2004年11月、ヤフーを始めとする顧客の拡張需要に応えるために、第2サイトをオープンしました。その後も増収増益基調が続き、2005年8月に大証ヘラクレス(現東証ジャスダック)市場に上場することができました。

 

ブロードバンドタワーの上場セレモニー

 

 

 2005年9月に第3サイトの開設を、2006年3月には、特定顧客向けの専用データセンターでの運用受託事業を開始しました。また、起業家の田村淳氏を迎えファッションEコマースサイト運営の株式会社ビービーエフ(BBF)を設立しました。

 当社のiDC事業は、IX直結型のネットワーク型という特徴があり、大量のトラフィックを発生する事業者向けで、全国に設置面積を増やしていく設備投資型ビジネスではありません。そこで、次なる事業成長には、iDCとシナジー効果のある新規事業による多角化が必要となってきました。そこで、始めたのが、2007年1月のFlexホスティング事業(クラウド事業の前身)と2010年1月の米アイシロン社(現Dell EMC社)との提携による大容量ストレージ(記憶装置)・ソリューション事業でした。また、2011年7月には、IRIからJPIX保有株式が当社に譲渡され、同時にJPIX運用事業を本格化させました。このような運用受託事業はMSP(Managed Service Provider)事業として事業の柱に育ってきました。

 

【現在】

 当社は、2015年12月AI時代の到来に対応するために、株式会社)エーアイスクエア(エーアイスクエア)を設立しました。続けて2016年2月IoT時代の到来に対応するため世界のIoT関連分野へ特化して投資するグローバルIoTテクノロジーベンチャーズ株式会社(GiTV))を設立しました。

 2017年から2019年は、選択と集中を行いました。1つは、これまで、連結売上の成長に大きく貢献してきたBBF株式を2017年7月に、BBF事業にとってもより相乗効果のある株式会社ヒト・コミュニケーションズに譲渡させて頂きました。

 この、創業以来初めての大規模なキャピタルゲインについては、まず第1に、2017年8月9日開催の取締役会において、期末配当金を通常1円のところを、9円の増配とあわせて支払することを決議させて頂きました。次に、その売却資金等で、2018年8月5G時代を見据えた新大手町データセンターの第1期工事に着手し、開設に踏み切りました。

 また、同年10月にCATV局向けデジタルコンテンツ配信を行うジャパンケーブルキャスト株式会社を子会社化し、「情報発信インフラ事業」に加えて、「情報配信インフラ事業」を次なる事業の柱に成長させることを決断しました。さらに、未来のDX(デジタルトランスフォーメーション)時代には、益々重要度が急増するとみられるサイバーセキュリティ分野に足場を築くために、2019年1月日本発のサイバーセキュリティソフトウェア開発の株式会社ティエスエスリンクを完全子会社化しました。

 

【未来】

 当社の基幹事業であるインターネット・データセンター事業を取りまく環境は、大きく変化しています。モバイル通信は、5G時代となり、これまでの4G時代とは、本質的に異なる非連続的なイノベーションの時代に入りました。情報通信インフラの世代交代と同期してデータセンターも第5世代に突入しました。すなわち、第1世代(1980年代:メインフレーム型アウトソーシングセンター)、第2世代(1990年代:ISP・NOC型)、第3世代(2000年代:IX直結型)、第4世代(2010年代:SNS型)、第5世代(2020年代:DX型)です。

 当社の5Gデータセンターの特徴は、AIとCASE(自動車業界の変化を象徴する言葉、Connected、Autonomous、Shared/Service、Electric)時代に最適なデータセンターを標榜していることです。すなわち、全産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)拠点として位置付けられることです。AI処理をデータセンター内で行うことは、益々増えていくことでしょう。そのためには、高速演算が得意なGPUサーバーを収容できるような十分な電力供給システムが必要です。また、あらゆる自動車だけではなくあらゆる産業が「コネクテッド・インダストリー」へと進化する中で、強力なインターネット接続環境が必要となってきます。当社の5Gデータセンターには、三大キャリアのIX接続環境(NTT系のJP/NAP、KDDI系のJPIX、ソフトバンク系のBBIX)が同時に整備されているため、「コネクテッド・インダストリー」への進化を支援する環境を備えていると言えます。

 5Gデータセンターをコアとする当社の第1セグメントのコンピュータプラットフォーム事業は、従来のデータセンター、クラウド、データソリューション(ストレージ)に、新たにサイバーセキュリティ事業が加わりました。全産業のデジタル化に伴い、サイバーセキュリティの重要性は、益々増大します。これらの事業が一体となって、「コネクテッド・インダストリー」への進化を加速する役割を担っていきます。

 また、第2の事業セグメントであるIoT/AIソリューションは、GiTVの投資ポートフォリオの中から、イスラエルとシリコンバレー企業を中心に大きく成長する企業が出現することが期待されます。また、エーアイスクエアは、RPA(Robotic Process Automation)に有効な「QuickQA」とAIによる自動要約に有効な「QuickSummary」の商用化に成功し、顧客基盤を拡大中です。また、当社が、研究開発プロジェクトリーダーとなりGaN(窒化ガリウム)を材料とした5Gの通信デバイスの政府(総務省)プロジェクトを推進中です。同プロジェクトは、3年間で実施し、私がリーダーを務めさせて頂いている、当社、NTT、パナソニック・セミコンダクターによる産業界と、名古屋大学(GaNによる青色発光ダイオードの発明で2014年ノーベル物理学賞受賞の天野浩教授がリーダー)を中心とする大学連合(東京工業大学、名古屋工業大学、東京大学)、および総務省のNICT(情報通信研究開発機構)によって構成されています。

 日本初のインターネット・データセンター企業である当社は、情報通信インフラのブロードバンド時代に産声を上げた企業で、多くの企業のインターネット・サービスを支援させて頂いてきました。そして、このたび、ようやく20歳になりました。今後は、5G時代に多くの企業の皆様のDXという未来を支援する企業としてさらなる成長を続けて参りたいと存じます。2月10日には、ささやかながら、これまで、ご一緒に事業をさせて頂いてきた多くの皆さんにお集まり頂き、20周年の祝賀会を開催させて頂きました。そして、以下の皆様にご挨拶を頂きました。天野浩名古屋大学教授、川邉健太郎Zホールディングス(ヤフージャパン)社長、北尾吉孝SBIホールディングス社長、澤田純NTT社長、高橋誠KDDI社長、宮内謙ソフトバンク社長、宇宙飛行士山崎直子様、河野俊丈東京大学大学院数理科学研究科長、山極壽一京都大学総長、渡辺克也IRI顧問・前総務省総務審議官、村井純慶應義塾大学教授。ご挨拶を頂いた11名の皆様は、共にインターネット・インフラを創り、利活用し、発展させてきた産学官を越えたコミュニティの仲間であり、ブロードバンドタワーの過去と、現在と、未来を見つめて頂いている方々です。

 

 最後に、改めまして、当社の20年を支えて頂いた株主の皆様、顧客の皆様、共同事業パートナーの皆様に感謝の意を表させて頂きますと共に、次なる20年に向けて、未来を共有させて頂きますようお願い申し上げます。

 

私からの開会のご挨拶

 

名古屋大学教授 天野浩様のご挨拶

 

ヤフー社長 川邉健太郎様ご挨拶

 

SBIホールディングス社長 北尾吉孝様ご挨拶

 

 

NTT社長 澤田純様ご挨拶

 

KDDI社長 高橋誠様ご挨拶

 

ソフトバンク社長 宮内謙様ご挨拶

 

東京大学大学院数理科学研究科長 河野俊丈様ご挨拶

 

宇宙飛行士 山崎直子様ご挨拶

 

京都大学総長 山極壽一様ご挨拶

 

前総務省総務審議官・IRI顧問 渡辺克也様ご挨拶

 

慶應義塾大学教授・ブロードバンドタワー社外取締役 村井純様による閉会のご挨拶

 

 

 

2020年2月25日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋