BBTower Business Exchange Meeting(BBEM)2019を終えて | 藤原洋のコラム

~ブロードバンドタワーのユーザー企業様の会~

~今年のテーマ『5Gの実現と社会へのインパクト』~

 

 当社の恒例行事となりましたBBEM(Broadband Tower Business Exchange Meeting)にお集まり頂きました約200名の取引先等の招待客の皆様には、大変満足を頂きましたことに御礼申し上げます。昨年は、外部の方の基調講演をトヨタ自動車にお願いしましたが、今年は、ソフトバンクの小宮山陽夫 先端技術戦略部長に『5Gで創るモビリティの未来』についてお話頂きました。また、日本のインターネットの父で、当社の社外取締役でもある慶應義塾大学環境情報学部教授の村井純氏には、『5Gの実現と社会へのインパクト』について、インターネット研究の立場から5Gについてお話頂きました。

 私は、新大手町データセンターの新たな主要顧客のトレンドから見た、今後の発展が見込まれるAIと自動車業界を展望して『AI+CASE時代の5Gデータセンター』と題して、冒頭に基調講演をさせて頂きました。

 そして、最後に、長らく情報通信業界の産業ジャーナリズムをリードして来られた日本経済新聞社元論説委員、前編集委員で現在MM総研所長の関口和一氏をモデレータにお願いして、3人の基調講演者に加えて、前総務省総務審議官で5G政策をリードされてきた渡辺克也氏(現 株式会社インターネット総合研究所 顧問)に参加して頂き、『全産業デジタル化が進む5G時代のビジネスチャンス』をテーマにパネルディスカッションを行いました。

パネルディスカッションの議論では、関口氏からパネリストの皆さんへ以下のような質問がありました。

 

Q1:アフター5Gとビフォア5Gの違いをどのようにお考えですか?村井先生からお答えください。

【村井氏】4Gとは、異なるサブSix(3.6GHz帯)とミリ波(28GHz帯)という2つの新たな電波を使うが、サブSixは、4Gは高速化するという流れとなり、ミリ波では、全く異なる用途の領域となるでしょう。

【藤原】村井先生の指摘された技術の面に加えてローカル5Gという日本独自の政策によって、新たな新規参入と新たな用途が生まれてくれるでしょう。当社グループとしてもこのローカル5Gに関する多くのビジネスの可能性を考えています。

【渡辺氏】4Gは、結果としてスマートフォンになった、インフラ出来ないと用途が見えませんでしたが、5Gでは、米国では、光ファイバの代替の10kmメッシュネットワークなどが検討されています。日本では、全国5Gとローカル5Gとが同時進行する予定ですが、特にローカル5Gは、フリーに様々な用途開発が期待されます。

【小宮山氏】私は、技術開発が担当なので、そちらの観点からお話しますが、スマートフォン以外の応用全てが5Gに集約されるとみています。現在のテーマは、ミッションクリティカルな用途をどれだけ5Gが担えるかというものです。実績を積み上げながら、汎用基盤へ進み、5Gの広帯域化と仮想化が、進むことを期待しています。ミリ波については、一瞬にして伝送が終わるような用途ではないかと考えています。

 

Q2:5G時代には、IP(インターネット・プロトコル)が、IPv4からIPv6に変わることが予想されますが、途中で退席される予定の村井先生は、どんなことが可能になるとお考えですか?

【村井氏】先ほど、渡辺さんから18歳と81歳の違いと、81歳の課題解決にICTが貢献するという話がありましたが、正に課題解決の手段として、いくつかのことがあると思います。最近の言葉では、Trustの解決でしょうか。

 

Q3:インターネット以後は、日本は大負けだった、再び日本が輝くには、どうすればいいとお考えですか?

【村井氏】それについては、私もひと言、言わせて下さい。インターネットが生まれて、日米を比較すると、インターネットを創ってきた仲間のエンジニアが技術に注力しました。一方、アメリカでは、ビジネスに注力しました。日本は、ビジネスにあまり力を入れて来なかったように思えます。2000年からIT戦略本部を政府が作って私も参加してきましたが、ビジネスで遅れている間にGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)が成長し、我々の指導した学生たちは、GAFAに就職するという状況が続いてきました。しかし、最近、少し変化は見られます。医療とか農業に関わる人々がインターネットに強い関心を寄せてくれるようになっています。

【藤原】私のところでも、医療、農業に加えて、最近思わぬ人々から相談を受けます。例えば、金融業界、あるいは、伝統工芸業界などで、ベンチャー企業の活動が活発で、デジタル技術を使った、全く新しい世界を指向しているのです。私たちの5Gデータセンターが、役立つ時がきたと考えています。後、私が、最も強い関心を持っていることのつが、今年のG20の総務省担当分の有識者会議でも話題になりましたが、「個人データは誰のものか?」という課題です。米国や中国と異なる、解決策が見い出せれば、日本にとっても大きなビジネスチャンスになると思われます。

【小宮山氏】AIにチャンスがあると見ています。爆発的に新技術が成長する時は、自由な発想がわく環境が重要だと思います。AIに関しても身近なところにブレークスルーがあると見ています。

 

Q4:5Gで、日本は、遅れていて、特に通信機メーカーの力が発揮されていないように見えますが、渡辺さんにお聞きしたいのですが、どうすれば日本のメーカーにビジネスチャンスが広がるのでしょうか?

【渡辺氏】日本が5Gで遅れているというマスコミ報道については、政府予算という意味では追い風になるという面もあります(笑)。3Gまでは、それなりに日本の通信機メーカーの活動が活発だったのですが、4G以降は、違ったところへビジネスが移っていってしまったというのが現状です。しかし、最近、やはり思うのは、リアルデータは、日本にあるというということで、最近では、電波にあまり関係のなかった業界が5Gに強い関心を示してくれています。ここに日本発の何かが生まれてくる期待感があります。

 

〇関口氏から会場の参加者に質問がないかと呼びかけたところ以下の2つの質問がありました。

Q5:5Gの通信機メーカーは、元気がないが、もう少しライトなベンチャー的な通信機メーカーの活躍の場はありませんか?

【藤原】5Gの通信キャリアインフラを直接担うWAN(広域網)分野については、ベンチャー企業では難しいと思いますが、我々のデータセンター内に目を向けると、5Gに適合するLAN(構内網)の分野で新技術が必要となっているので、ベンチャー企業の活躍の場があると思います。

 

Q6:ローカル5Gのライセンスを取る新たな新規参入事業者と全国規模の従来の通信キャリアとは、競合になるのではないですか?

【藤原】私は、競合ではなく、補完だと考えています。アナロジーとしては、インターネットが発展したのは、イーサネットなどのLAN技術が大学や研究機関で発展し、それがWANによる相互接続が行われたことです。5G時代には、正にソフトバンクさんのようなWANキャリアとローカル5G事業者との補完関係となるでしょう。技術的には、5Gは、周波数が高いために、建物の中まで電波が届かないことから、ビル、スタジアム、工場内のローカル5Gは、LANであり、それを相互接続するのがWANになるのだと思います。

 

Q7:それでは、最後に今日は、データセンターのブロードバンドタワー主催のシンポジウムでもあるので、ひと言お願いできますか。

【渡辺氏】5G時代には、データセンターへの期待は、大都市から各県、各市、各町ごとへの分散化にあると思います。

【小宮山氏】今日のテーマの全産業デジタル化によって、データセンターには、全てがクラウドではなく、色んなデータが上がってくると思っています。

【藤原】渡辺さんがおっしゃったのですが、データセンターの分散化は、かねてからの重要なテーマでした。この度、5G時代になって、超高速、多地点同時接続、低遅延という3つの特徴を有するインフラが整備される中で、私たちの5Gデータセンターを、当社の顧客やパートナー企業と共に、MEC(モバイル・エッジ・コンピューティング)に注力していく予定です。その結果、データセンターの地方分散が進むものと考えています。

 

 パネルディスカッションの後にアンケート調査を実施しましたところ、アンケート結果では、97%の方から有意義だったということでした。また、基調講演も満足度の高い評価を頂きました。今年は、特にパネルディスカッションは、モデレータに元日経新聞の関口和一さんへご依頼したことや、産業界、官庁、学術界の論客に集まって頂いたために、これまででも最高の評価を頂きました。

 

●15:00 ~ 15:40 開会挨拶・ keynote1
「AI+CASE時代の5Gデータセンター」
株式会社ブロードバンドタワー 代表取締役会長兼社長CEO 藤原 洋

●15:40 ~ 16:20  keynote2
●「5Gの実現と社会へのインパクト」
慶應義塾大学環境情報学部 教授
株式会社ブロードバンドタワー 取締役 村井 純様

●16:20 ~ 17:00  keynote3

「5Gで描くモビリティの未来」
ソフトバンク株式会社 先端技術開発本部 先端技術戦略部 部長 小宮山 陽夫様

●17:15 ~ 18:05  パネルディルカッション

「全産業デジタル化が進む5G時代のビジネスチャンス」
モデレータ:株式会社MM総研 代表取締役所長/元日本経済新聞社 論説委員 関口 和一様
パネリスト:

ソフトバンク株式会社 先端技術開発本部 先端技術戦略部 部長 小宮山 陽夫様
前総務省総務審議官/株式会社インターネット総合研究所 顧問 渡辺 克也様

慶應義塾大学環境情報学部 教授 村井 純様

株式会社ブロードバンドタワー 代表取締役会長兼社長CEO 藤原 洋

 

●おわりに

 今回の企画は、当社のマーケティング部門が担当しましたが、ご出席の聴講者の皆様から極めて高い評価を得ることができました。来年もさらに充実した内容が楽しみです。

 

 

 

 

慶應義塾大学環境情報学部 教授 村井 純様

 

 

 

ソフトバンク株式会社 先端技術開発本部 先端技術戦略部 部長 小宮山 陽夫様

 

 

 

 

 

 

前総務省総務審議官/株式会社インターネット総合研究所 顧問 渡辺 克也様

 

 

 

 

 

株式会社MM総研代表取締役所長/元日本経済新聞社 論説委員 関口 和一様
 

 

2019年11月27日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋