徳島発ブロードバンドタワーの新事業創生について | 藤原洋のコラム

~あの伝説のITベンチャー=ジャストシステム発祥の地~

 

 私は、福岡県生まれの京都育ちですが、皆様にとってもそれぞれに大切な故郷がおありかと思います。故郷の話題に触れた理由は、日本経済の最重要課題の1つが「地方創生戦略」にあるからです。ブロードバンドタワー(以下、当社)も、日本の大半の上場企業と同様に、本社を東京においていますが、日本経済にとって重要な企業であり続けるために「地方創生戦略」への関わりを重視したいと考えております。

 そこで、今回は、徳島が、当社にとって重要な地域の1つだというお話をさせて頂きたいと思います。

 

●徳島県とは?
 徳島県は、四国の東部に位置する県で、県庁所在地及び最大の都市は徳島市。総務省時代に有識者会議の担当をされていたことから懇意にさせて頂いている飯泉嘉門さんが知事を務められ、人口約73万人(44位)、面積4147㎞2(36位)、人口密度177.6人/7㎞2(35位)、県内GDP 2兆8,389億円(43位)、人口千人当たりGDP 36.14億円(20位)となっています。全国平均と比べて突出した統計数値をあげると人口当たりの病院総数3位、歯科医師数2位、薬剤師数2位、医師数1位、世帯当たりの有価証券現在高2位などがあります。
 図1に示すように、農業が盛んな県ですが、他にも次のような1位の項目があります。LEDの生産量1位(世界1位)、ワカメ全国生産量1位、吉野川2年連続全国清流ナンバーワン (2012,13年度)、鳴門の渦は世界レベルで世界三大渦潮の一つ、すだちの収穫量圧倒的1位(7,296.4トン)などです。
 

徳島県の地域別農業生産物

 

●私と徳島県の人々との関わりについて
 ずいぶん昔から親しくさせて頂いていて、ニッポンのジョン・ドーアと私が認識しているベンチャーキャピタリストの村口和孝氏との出逢いから始まります。村口さんは、現在、当社の社外取締役です。ところで、ジョン・ドーアは、アメリカの伝説のベンチャーキャピタリストで、クライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズ〔KPCB〕パートナーで、Google・Amazon・Twitter・Uber・コンパック・ネットスケープ・サン・マイクロシステムズなどの投資実績を誇ります。
 村口さんは、1984年に大学卒新入社員として、野村證券系VCジャフコに入社し、アインファーマシーズ、ジャパンケアサービス、共成レンテム、福原、松本建工、PALTEK、ブロッコリー (企業)などの上場に関わられました。その後、独立され、1998年に日本初となる個人型NTVPi-1号投資事業有限責任組合を立ち上げられました。NTVPの投資成功例として、ディー・エヌ・エー(DeNA、2005年2月東証マザーズ上場、現在東証一部)、インフォテリア(2007年6月東証マザーズ上場)、エイケア・システムズ(2010年1月エクスペリアン社に売却)、ウォーターダイレクト(現・プレミアムウォーターホールディングス。2013年3月東証マザーズ上場、現在東証二部)、アイ・ピー・エス(2018年6月東証マザーズ上場)などがあります。
 当社は、村口さんがリードインベスターを務めて会社の成長に尽力してこられた2社を連結子会社化しています。その1社が、株式会社ティエスエスリンク(以下TSSリンク)です。もう1社は、ジャパンケーブルキャスト株式会社です。また、戦略的に資本業務提携を行っている株式会社電脳交通(以下電脳交通)があります。

 

●TSSリンクと当社について
 2019年から当社の100%子会社となったTSSリンクは、1999年11月1日創業のサイバーセキュリティ技術の会社で、情報漏洩対策ソフト「コプリガード」/「トランセーファー」/「パイレーツバスター」/「セキュアプライム」など情報セキュリティ製品を開発/販売、「セキュリティバックアップサービス」など情報セキュリティサービスの提供を行っています。本社は、徳島県徳島市沖浜東3丁目にあります。
https://www.tsslk.jp/company/
 では何故、TSSリンクが、徳島に設立されたかというと、TSSリンクのメンバーが、あの一世を風靡したジャストシステムの出身者が中心となっているからなのです。
 ジャストシステムは、私も懇意にさせて頂いてきた、浮川和宣・初子夫妻が1979年に、初子さんの実家の徳島で創業したことに始まります。1983年にNECのPC-100でアスキーが仲介して「JS-WORD」が採用されたのを契機に、本格的なワープロ開発に乗り出し、1985年(昭和60年)に同社の看板製品となる「一太郎」を発売したのでした。その頃、私は、アスキーがマイクロソフトの独占代理店としてマイクロソフトF本部の仕事をしていたのでよく覚えています。一太郎は、マイクロソフトOS(DOS)の最高のアプリケーションとして、バージョンアップを重ねるごとに人気を高め、一太郎はDOS版日本語ワープロの代名詞的存在になったのでした。
 ジャストシステムは、また、コンピュータ上の日本語処理について熱心に研究しており、同社のかな漢字変換ソフトウェア「ATOK」は高い変換精度を有し圧倒的な支持を得ていました。また、インターネット時代に入ると、ウェブXML関連技術の研究開発にも積極的でGoogle、マイクロソフト、アップル、IBM、サン・マイクロシステムズ、ヒューレット・パッカードらとUnicodeコンソーシアムに参加していた日本で唯一の企業でした。その後、2009年に株式会社キーエンスの傘下となり、今日に至っています。このように徳島に40年間にわたって日本を代表するオリジナル・ソフトウェア開発を行ってきた歴史が、ソフトウェア大県=徳島を創生したのでした。
 このようにTSSリンクは、ジャストシステムを源流とする日本産オリジナル・ソフトウェア発祥の地=徳島に立地している企業なのです。今後は、私の名前の付いたイスラエルのテクニオン(イスラエル国立工科大学)にあるHiroshi Fujiwara Cyber Security Research Center(准教授以上60名、総勢250名)と連携し、新たなサイバーセキュリティ技術の開発に挑戦したいと考えております。

https://cyber.technion.ac.il/home/

https://wirelesswire.jp/2018/02/63471/

http://www.cs.technion.ac.il/people/staff/#2a

 

●電脳交通と当社について
 株式会社電脳交通は、徳島県徳島市川内町平石若宮に本社を構え、2015年12月に近藤 洋祐氏が、実家のタクシー会社を継いだ後、新たに創業したベンチャー企業です。
 近藤洋祐社長は、高校時代からメジャーリーグを目指して野球に熱中していたそうです。そして、米アイオワ州オタムワにあるインディアンヒルズ・コミュニティカレッジ(IHCC)に留学し、野球漬けの毎日を過ごし、日本のプロ野球を経由せずに、直接メジャーリーガーを目指していたとのこと。あいにく、メジャーへの夢はかなわなかったようですが、2010年に日本で祖父のタクシー会社(吉野川タクシー)を引き継ぎ、新たな人生を歩み始めました。そして、ついに、2015年に電脳交通を創業し、斜陽産業のタクシー業界でひと際目立つ経営革新を行っている人なのです。
 吉野川タクシーの特徴は、徳島県で唯一、外国語通訳サービスを採用している(30ヶ国語以上)ことで、外国人観光客に喜ばれています。また、妊産婦送迎サービス「マタニティータクシー」は、妊産婦に優しい設計の専用車両で、運転手はヘルパーの有資格者です。こうして、徳島で大人気のタクシー会社となっています。  
 タクシー会社の経営経験を経て創業したのが電脳交通です。その特徴は、クラウド型コールセンター(24時間365日)の運営です。タクシー会社とタクシーの間に電脳交通のコールセンターを経由することで、最短、最速、最安を実現するのです。これまでの配車の流れは、乗客→タクシー会社→タクシーでしたが、クラウド型コールセンターでは、乗客→タクシー会社→コールセンター→タクシーとなります。タクシーにタブレット端末を設置し、そこにコールセンターから最適な情報が送られてくることで、効率的な配車が可能になると共に、広告ビジネスとの連動が可能です。電脳交通には、当社の他にJapan Taxi(日本交通グループ)、NTTドコモ、JR西日本と資本業務提携をしています。当社は、データセンター、クラウド、AI分野などに関して、協業することとしました。そして、同社を、クルマを売り切るのではなく、「移動」機能を提供するMaaS(Mobility as a Service、運営主体を問わず、モバイル・インターネットを活用することにより自家用車以外の全ての交通手段による移動を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな『移動』の概念)分野における戦略的パートナー企業として位置付けております。
http://www.cybertransporters.com/about/
 

写真:左から電脳交通近藤洋祐社長、私、当社の樋山洋介取締役と。電脳交通本社にて。

 

●おわりに

 今回は、「徳島」と当社のビジネスとの関係についてのお話をさせて頂きました。今回ご紹介した徳島発の当社のサイバーセキュリティビジネスとMaaS関連ビジネスの成長にご期待頂きたいと思います。