ゲノム編集に関する特許と日本ゲノム編集学会の設立 | BBブリッジ公式ブログ クワトロB(BB-Bridge Blog)

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おはようございます。
BBブリッジの番場です。

 昨日、JBAで開催されたゲノム編集関連のセミナーに参加しました。ゲノム編集はライフサイエンス研究に革命を起こす技術として考えられており、欧米を中心に様々な技術開発や農業や生命科学におけるアプリケーションの開発が進められています。
 本セミナーでは広島大学大学院理学研究科・教授の山本 卓先生からはゲノム編集の研究動向、茨城大学農学部の立川 雅司先生からはゲノム編集の育種応用における国際規制の動向、JBAの白江 英之氏からはゲノム編集に関する特許についての講演がありました。

 ゲノム編集を用いた医薬品や農作物等の研究開発を行うためには、ゲノム編集の特許についても理解しておく必要があります。ゲノム編集は技術自体が多くの種類があり、特許も数多く出願されています、
 第一世代のゲノム編集技術であるジンクフィンガーヌクレアーゼ法はSigma-Aldrichが多くの特許を取得しています。
 第二世代のTALEN法についてはThermo Fisher(治療に関わるもの以外の分野)およびCellectis(医薬品など治療に関わる分野)が特許を保有しています。
 第三世代であるCRISPR/Cas9法の特許については非常に複雑で、現段階では基本特許としてBroad Instituteから出願された「CRISPR-Cas systems and methods for altering expression of gene products (US 8697359)」が欧米で特許として成立しています(米国:2014年4月、欧州:2015年2月)。一方、同じくCRISPR/Cas9の特許権利を主張しているカリフォルニア大学からは、Broad Institute の特許に対しinterference(特許と出願、または出願同士で「同一の特許可能な発明」がクレームされている場合に、発明の先後を争う手続)が行われており、2016年1月より米国特許庁審査部で審議が開始されました。この申し立てが認められれば特許権者が変わる可能性があるため、今後の動向が注目されます。なお、日本では現在のところCRISPR/Cas9に関する特許は成立していないため、特許許諾がなくても利用できますが、上記の特許が成立すれば、改めてライセンスインする必要があります。

 日本の状況を見ると、基礎分野ではゲノム編集技術に関わるいくつかの研究開発が行われていますが、産業応用という点では欧米企業に遅れをとっている状況です。
ゲノム編集に関する日本大きな動きとして、2016年4月に「日本ゲノム編集学会」が設立されます。日本ゲノム編集学会はゲノム編集に関する研究者の集まりであるゲノム編集コンソーシアムの代表を務める広島大学大学院理学研究科・教授の山本 卓先生らによって設立準備が進められています。以下のゲノム編集コンソーシアムHPの新着情報から日本ゲノム編集学会の設立趣意書を見ることができます。

 
 ゲノム編集コンソーシアムHP


 セミナー終了後に山本先生に直接話を聞いたところ、「日本では欧米に比べゲノム編集の産業化が進んでいない。日本ゲノム編集学会にはアカデミアだけでなく産業界の人々にも多く参加してもらい、産業応用を積極的に進めたい」と話されていました。
 日本ゲノム編集学会の第1回総会は9月に予定されています。4月以降には専用HPも立ち上がるようですので、ご興味がある方はそちらをご確認ください。

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