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米の邦画リメークに新潮流 “日本文化”忠実に

3月31日9時4分配信 産経新聞


米の邦画リメークに新潮流 “日本文化”忠実に

映画「HACHI 約束の犬」のワンシーン。リチャード・ギアが飼うハチは日本の秋田犬が演じている(写真:産経新聞)

 「ハチ公物語」が英語の「HACHI」に、「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」が「イエロー・ハンカチーフ」へ-。邦画名作の米国リメーク作品が今年夏から相次いで世界公開される。注目されるのは、これまでのアイデアの流用にとどまった“米国流リメーク”からの転換だ。米大手会社が手掛けた黒澤明監督の大作のリメークなどとは一線を画し、小資本の独立系会社が日本文化や日本の世界観をそのまま描く製作スタイルに。この流れは今後も広がりそうだ。(戸津井康之)

  [フォト] リチャード・ギアとHACHI ほかの写真

 ■「ハチ公」主演にギア

 「HACHI 約束の犬」(ラッセ・ハルストレム監督)を企画したのは、21年前公開された「ハチ公物語」(神山征二郎監督)の世界観にひかれた日系3世の女性プロデューサー、ヴィッキー・シゲクニ・ウォンさん。大手製作でないため資金も少なく配役面などで心配されたが、無類の犬好きのリチャード・ギアが主演に名乗りを上げ、製作が具体化した。

 飼い主の上野英三郎教授亡き後も10年間、渋谷駅で主人を待ち続けた忠犬ハチ公の実話。映画では上野教授を仲代達矢が演じた。

 「こんなすばらしい物語が今まで米国で映画化されなかったのが信じられない」とギアは主演だけでなく、プロデューサーも買って出た。

 松竹も製作に協力、日本配給を決めた。「ハチ公の写真や資料などを米国の製作チームに届けました」と話す松竹宣伝企画室の佐藤礼子室長は、米ロードアイランド州の撮影現場での光景をこう説明する。

 「地元の小学生が授業の一環で見学に訪れていたのですが、休憩中突然、ギアさんが子供を集めてハチ公の絵本の読み聞かせを始めたのです。作品への熱い思い入れが伝わりました」

 米国でハチ公物語は「HACHIKO」などの題名で絵本や童話が何冊も出版され、子供たちにもその人気は浸透しているという。日本では8月公開予定。

 ■重なる再生の思い

 一方、高倉健主演の「幸福の黄色いハンカチ」(山田洋次監督)が日本で公開されたのは昭和52年。「もし、待っていてくれるなら家の前に黄色いハンカチを出していてほしい」。妻と別れて服役した男(高倉)はこう約束し、故郷の北海道・夕張を目指すロードムービーだ。

 山田監督の熱心なファンでもあるハリウッドの重鎮、アーサー・コーン・プロデューサーがリメークの構想を温めてきた。「米国から山田監督あてに何度も書き直した脚本を送ってきました」と松竹洋画編成室の小山芽里チーフプロデューサーは話す。

 主演はハリウッドの実力派、ウィリアム・ハート。舞台は夕張からニューオーリンズへ。この地はハリケーン被害を受け、復興を目指す港町で、元炭鉱町の過疎化から再生を目指す思いとが国境を超え、重なるようで興味深い。日本では来年公開予定。