マチネのAに続いてB。
嘘をつかないこと。正直なこと。真実とは。
王様は裸だ、と子供が叫んでから、世の人々は本当の事を口にするようになり、世が乱れる。いや、本当というよりは、見たままを。
忖度という言葉が、過去と違った語感で捉えられるようになった現代。鋭い言葉のやり取りは、側で見ているのは面白いが、自分に降りかかってくると大変だ。言わぬが花、という言葉もある。
この作品を観て、1919年の「シューレス・ジョー」のブラックソックス事件で「Say, it ain’t so, Joe」(嘘だと言ってよジョー)と子供が叫んだ話が頭をよぎった。これが実話であろうとなかろうと、人は時に現実から目を背ける。祈る神があればまだ救われるが。
喜劇のようで悲劇。ただ最後の場面で客席は救われる。それは神のおかげでは…おそらくない。
王様と道化がBチームでは女性コンビが演じ、Aとは全く違った趣を楽しめた。発声の周波数の問題なのか、声がしっかり通っていた。いや、Aのコンビだって遜色ないが、違いがわかるのが面白い、という事だ。
演出の小林勝也がサッカーを例にとり指導したらしい。サッカーに詳しいメンバーと話していて、感想を述べたところ、パスの受け渡しが上手くできているケースもあれば、スペースが空いてしまった場面もあった、といった表現なのかな、という点で一致した。
パスの精度というよりは緩急。受け手がトラップしやすいパスだったか。個の力を出し過ぎると上手くパスは通らない。勿論、受け手の技量も問われる。別のメンバーとも話していて、気になったことを伝えたらそういうことだったようだ。「off the ball」が出来ていて、それが全体のバランスに繋がっていたようにも感じた。
この点、彼らはよく気付いていているから、きっと明日は修正してくれるだろう。観れないのは残念だが。
明日の千穐楽が過ぎても、もうすぐに次が始まる。永井愛作、松本祐子演出で「見よ、飛行機の高く飛べるを」。まずは明日。そして立ち止まる間はない。各自が課題をクリアして成長を実感できますように。10月、必ず観に行きます。
↓今年の二月の日記より