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京都の講師の雑記録

京都の塾で、現代文・古文・漢文・世界史などを教えている講師の雑記録です
京都ネタから、国語指導関係、世界史雑学まで、さまざまな記事を書いていきます

以下は
 http://www.tops-kyoto.com/blog01/cat16/000286.html
に掲載した記事とほぼ同じものです。

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今回は、以前の
連載「本を読む人」になりたい!」
 第3回【ジャンル別!読書テクニック】編
をお届けします。

過去の連載「本を読む人」になりたい!」

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ひとくちに「本」と言っても色々な種類があります。
よく「本を読め」と言われますが、どんな種類の本なのかはっきりしない。
本の種類がはっきりしないから、読み方もはっきりしない。
だから、うやむやになって、読書が続かない。

だから、ここでは、本のジャンル別に、「読書テクニック」を指南したいと思います。
(もちろんここでの「読書テクニック」というのは、あえてひとつの提案をするだけで、
 これ以外の方法を否定するものでは、微塵もありません)
   
 *

★本のタイプの整理
もちろん、本の種類なんて如何様にも分類できるのですが、
一般的に「読書」の対象とされる活字の本について、この小文では次のような分け方をしてみます。


┣a.ノンフィクション
┃ ┣人文科学…哲学、言語学、心理学などです
┃ ┣社会科学…歴史学、社会学、政治学、法学、経済学などです
┃ ┗自然科学…数学、物理学、生物学、化学、情報学などです
┗小説(フィクション)
  ┣b.純文学
  ┗c.エンタメ小説
    ┣歴史小説・時代小説
    ┣SF
    ┣ミステリー
    ┣ホラー
    ┣青春もの
    ┣ラノベ
    ┗その他もろもろ

しばしば、、「読書」と言うと、「ビジネス書・啓発本」が出てきますし、「マンガ」は読書か、というテーマもありますが、ここでは扱いません。

理由としては、「ビジネス書・啓発本」は社会人生活の「取扱説明書」であって、「取扱説明書」を読むことを読書とは言わないからです。ちなみにこの「取扱説明書」の類には、各種の実用書・ハウツー本(株・投資、コンピュータ、法律etc.)を含みます。

「マンガ」は、良い作品は本当に侮れない存在です。
よいマンガを描く漫画家は、すごく読書をしていて、それを見事に消化して作品に活かし、
「自分の知らない世界を啓く」という、「読書体験」の意味では、充分に「読書」と言えるものです
(少なくとも、些細な日常の困りごとの対症療法を書き述べた軽薄な「ビジネス書」以上には)。
また、そんな日本のマンガが、世界で高い評価を受けていることは、贅言を要しません。
ただし、この読書企画でマンガを扱うのは、かなり趣が違ってしまうことと、私にマンガを語る自信がないので、ここでは控えさせてもらいます。

★読書テクニック総論
まず、割合に元も子もないことを言うと、読書の秘訣は、
「好きな本を読むこと」
に尽きるでしょう。
現代人は、嫌いな本を読んでいるほどヒマではないですし、
人生は、好きでない本を読んでいるほど長くはないのです。

実は、「読書」において、「読む本を決める」ことはとても大切なことです。
その意味もあって、本連載の第1回、第2回で「本を探す」ことについては書きましたので、
そちらも参照してみてください。

★a.ノンフィクション
もっとも「読み方のテクニック」が有効なジャンルです。
この手の本は、章立てがはっきりしていて、それぞれの章や節に何が書いてあるかが明確です。
ですから、その中で気になったところから読み、あまり琴線にふれないところは、読まないか、後回し、ということが可能です。

例えば、kindleの日本発売が始まり、電子書籍に関心を持ち、「電子書籍化が進む 今こそ、問う!」と謳う、『脳を創る読書』(酒井邦嘉、実業之日本社)
¥1,260
Amazon.co.jp
を読むとします。章立ては、
 chapter1 読書は脳の想像力を高める
 chapter2 脳の特性と不思議を知る
 chapter3 書く力・読む力はどうすれば鍛えられるのか
 chapter4 紙の本と電子書籍は何がどう違うか
 chapter5 紙の本と電子書籍の使い分けが大切
のようになっています。
この場合、話の順序として、このような構成になっているのでしょうが、
電子書籍について、結論をかいつまんで知りたければ、先にchapter4,5あたりを読んで、
その後、作者の議論・主張の前提が書いてあるchapter1,2などに戻り、
気が向けば脇道的章節であるchapter3を読む、のようにしてもいいかも知れません。

また、《新書》などは、内容から見て大半はこのジャンルに入るのですが、
最近の《新書》は、書きおろしは少なく、雑誌などの連載や、講演・対談などをまとめたものが大半です。
こうなると、余計に、各章節の独立性が高いですから、好きなところ・必要性の高い・目的に適ったところから読む、というやり方が有効です。
『悪の読書術』(福田和也、講談社現代新書)
¥735
Amazon.co.jp
は、元は講談社『スタイル』誌の連載で、章立ては
 序章 社交的な読書とは何か
 第1章 社交的に高級な作家(1須賀敦子、2白洲正子、3塩野七生)
 第2章 女性作家の読み方(1林真理子、2江國香織、3宮部みゆき、4山田詠美)
 第3章 男性作家の読み方(1村上春樹、2京極夏彦、3藤沢周平、4大沢在昌)
 第4章 価値とよそおい(1作家の顔、2フェミ本、3文学賞、4ノンフィクション、5翻訳書)
 第5章 カルチャーの周辺(1漫画、2書評、3サブカル、4新書、5映画、6絵本)
 結語 自分を作る読書を(123)
となっているのですが(括弧内の節の名前は、簡約してキーワードのみを示しています)、
まあ、どこから読んでも変わらないのは、一目瞭然ですね。
換言すれば、《新書》系の読み方は、雑誌の読み方に近いのでしょう。雑誌を頭から順に読むことは、普通はせず、気になった記事を読むというわけです。

まとめ:
(1) 「前書き」「解説」「目次」や、「パラパラ読み」「飛ばし読み」も活用して、内容をつかむ
(2) 読みたいところから順不同で読み、不必要な部分は読まなくてよい


★b.純文学
純文学は、 「内容」や「ストーリー展開」というよりは、文章や表現など、「日本語を読むこと自体」を目的とした作品です。
また、基本的には前から順に読むことを前提としているので、飛ばすとロクなことになりません。
ですから、前項ノンフィクションのように飛ばし読みをするのは、おすすめできません。

純文学のコツといえば、「好きな作家」を見つけることにつきます。
方法としては、最初の2~3ページを読んでみることではないでしょうか。
相性の良い作家はともかく、縁のない作家はそれで分かるでしょう。

では、どの本の「最初の2~3ページ」を読むかですが、自分で手間ひまかけて書店や図書館で実際に読んでみる以外であれば、
文学賞や書評、最近では、アマゾンの星やレビューなどを参考にするわけです。
これらには批判も多いわけですが、かと言って画期的にその代わりをしてくれるものも見当たらず、致し方ないでしょう。せいぜい出来ることといえば、信頼出来る(相性の合う)書評家を持つことでしょうか。

ちなみに、批判が多いということで言えば、再度の登場になりますが、今生きている作家の主要作品を00点満点で点数化した
福田和也の『作家の値うち』(飛鳥新社、2000)
は作家選びのひとつの参考になるかも知れません。

ただ、注意が必要なのは、この「相性の良い悪い」というのは、固定的なものではないということです。
食べ物や音楽でも、年齢や気分にやって好みが変わるように、読みたい本というのは、かなりその時々で変わるものです。(その辺のことは、連載2回目でも取り上げた松岡正剛『多読術』などにも言及があります。)

ただ、純文学といっても、太宰治や坂口安吾などの新戯作派のように、「物語として面白くないとダメ」という主張は従来からあったわけですし(坂口安吾「理想の女」⇛青空文庫へ)、最近では、村上春樹の活躍が、大衆性(=「面白い」小説)と純文学の垣根をさらに低くしました。

まとめ:
(1) 文章自体が目的なので、好きな作家を見つける
(2) どんな作家がいるのか文学賞や書評を参考にしつつ、最後は自分の目で確かめる



★c.エンタメ小説
読書の入り口としてもっともポピュラーなのがここでしょう。呼び方は、大衆小説、娯楽小説とも言われます。
ここの特色は下位ジャンルの多彩さです。作品ごとの色分けが割合にしっかりしている。
ですから、好きなジャンルを見つければ、そのジャンルを読み進めるということが容易です。
もちろん、それをし過ぎると、読書の幅が広がらないという欠点もあるわけですが、そこは追々考えていけばよいでしょう。

より定番・伝統的なところでいえば、「歴史小説・時代小説」「SF」があります。「古典的推理小説・探偵小説」や「ハードボイルド」などもここに入るのでしょう。これらを読みこなそうと思えば、それなりの「読書力」も必要で、本当の
最近のエンタメの中心といえば、なんといっても「ミステリー」です。東野圭吾、伊坂幸太郎など超売れっ子作家がひしめきます。彼らが売れるのは、ひとえに「面白く読ませる技術」の高さです。どんな作品でももちろん技巧はあるわけですが、「面白く読ませる」ことへの特化ぶりが半端でないのが、純文学などとは大きく違うところです。
最近は「ホラー」が元気です。筆さきほどの「歴史小説・時代小説」「SF」などに比べ、気軽に読めて、気軽に楽しめるという点が受けているようです。
また「青春もの」も根強い人気を誇ります。中高生に取っては身近な設定が、大人にとっては深く考えずに昔を懐かしみながら読める点がよいのでしょうね。
「ラノベ」となると、文章で書かれてはいますが、ストーリーははっきり言って二の次、キャラクターの好みなどで読ませる作品ですから、他人がとやかく言えるものではありません。まあ、役者と宣伝で売る、ゴールデンタイムのドラマのような存在ですね。

まとめ:
(1) 「面白く読ませる」ために、百戦錬磨の猛者が、高度な技術で書いているので、とりあえず読めるはず
(2) 純文学同様、作家で選ぶ方法は定番。それ以外に、ジャンルで選ぶ方法もあり、次第にジャンルの幅も広げられれば吉




今週の『高校生のための社説集』です。

『高校生のための社説集』専用ページは
にあります。

1.オバマ氏再選 「変革」への期待に応えよ/2012年11月08日 信濃毎日新聞
▲今週の話題で、もっとも表紙に相応しい華やかな話題はこれでしょう。
いちばん総合的で平易に書かれた信濃毎日を採用しました。

2.[400字] 「長城」の遭難 教訓がなぜ生かされぬ/2012/11/7 北海道新聞
▲8人もの死者を出したツアー会社が、わずか3年でまた3人が亡くなる事故(←現時点では)をおこしたという信じられない話です。

3.厚生年金基金廃止 連鎖倒産回避へやむを得ぬ/2012年11月05日 熊本日日新聞
▲厚生年金基金廃止の容認論です。厚生年金基金問題の解説としても分かりやすいと思います。

4.厚年基金改革試案 安易な解散促進策は不公平だ/2012年11月06日 愛媛新聞
▲熊日とは逆に、厚生年金基金廃止の慎重論です。さすが、スジを通す愛媛です。
この問題は、本当に難しい問題です。厚生年金基金廃止自体はやむを得ない面もありますが、利回りのいい時は有利さを独占して、損が出ると助けてもらうというのは、あまりに虫がいいですからね。

5.世界遺産40年 議論深め課題の克服を/2012年11月06日 京都新聞
▲世界遺産という制度は、なかなか素晴らしいものです。だからこそ、その問題点を見つめて、改善を進めることが大切です。ヨーロッパなどは大したことのないものも指定されていますから、日本はもっと真剣に追加登録を目指すべきですね。
京都でも、大徳寺、知恩院、永観堂などは登録に意欲的で、京都市は京都御所、嵯峨野嵐山一帯、東山一帯、桂離宮、修学院離宮なども狙っているようです。

6.中国共産党大会 強硬路線の継承を懸念する/2012年11月9日 読売新聞
▲ある意味では、アメリカ以上に、日本への影響が大きい中国政治の動向は、目が離せません。
読売は中国に批判的で、変な期待が無くて冷静な点が記事としては良いです。

7.障害者雇用率上げ 互いのメリット構築必要/2012年11月10日 福井新聞
▲地味で、なかなか採り上げられる機会の少ない話題ですが、そこにスポットを当てられるのが、社説の良さのひとつです。

8.[400字] いじめ自殺 遺族の心に届く調査を/2012年11月11日 朝日新聞
▲大津のいじめ事件の関連記事です。ダメな教育委員会と、それを食い物にしと自分の人気取りをしようとするもっとダメなポピュリスト政治家。何をするかを上が決めるのではなくて、現場の意欲と実力のある教師が力を発揮できるようにすることが、とるべき唯一の方法です。

9.医療の是非見極めて 選択権は患者にある/2012年11月6日 中外日報
▲宗教紙である中外日報ならではの、一般紙が載せられないような視点・主張の記事です。一般紙がこういうことを書くと、「命の軽視だ」という批判が来そうです。やはり、迂遠に見えても、「人間」や「幸福」という観点から話をする土台を築いておかねばならないのでしょう。

10.保育の人材 支え手の不安定は困る/2012年11月10日 京都新聞
▲例えば、「医療費を1兆円減らして子育て関連予算に回します」くらいのことをできないのでしょうか。それをするのが政治の役割。

11.税の使い道 政も官も目を覚ませ/2012年11月05日 朝日新聞
▲ある意味、新鮮味のない話題ですが、こういう国難の時こそ、つまらない人間が跋扈して国を蝕むのが歴史の常です。

12.改正暴対法 あらためて暴追の決意を/2012年11月5日 西日本新聞
▲勇気ある市民の動きに対し、あまりの警察の無力ぶりが目立つ福岡です。
完全に余談ですが、最近、尼崎の連続死体遺棄事件が耳目を集めていますが、かつてこの事件を彷彿とさせる、北九州監禁殺人事件というのがありました。あまりにおぞましいこの両事件の起きた兵庫と福岡というのは、暴力団の勢力の強さという共通点を持ちます。

13.福岡市屋台条例 実効性あるルール必要だ/2012年11月11日 西日本新聞
▲ローカルな話題ですが、各地域が抱えるさまざまな問題を、自由と規制の観点から考える契機になればと思います。

14.林地残材の活用 地域通貨の効果に期待/2012/11/11 秋田魁新報
▲山林の管理、バイオマス発電、地域通貨、地域活性化という、現代的・未来的課題が複合した、きわめて興味深い話題です。

15.再審無罪 絶望的な司法みつめよ/2012年11月9日 東京新聞
▲膨大な予算と人員を使って捜査・裁判をした挙句、無辜の人の名誉を徹底的に砕き、人権を蹂躙し、真犯人にはゆったりと逃げる時間を与えて、どんどん時効は近づく。こんな問題だらけの事件なのに検察は「捜査・公判に特段の問題はなかった」と言う。経過に特段の問題がないのに、結果に大問題があれば、システム自体に欠陥があるわけですから、「これからも同様の問題が起きる」と言っているのに等しいですね。

今週の『高校生のための社説集』です。

今回は、とりあえずタイトル一覧をあげ、後ほど、コメントをアップします。

『高校生のための社説集』専用ページは
http://blog.livedoor.jp/nrbnrb-shasetsu/
にあります。

1.ドラフト会議 国際ルールを検討せよ/2012年10月27日 毎日新聞
2.原発労災 救済の門戸を広げよ/2012年10月22日 東京新聞
3.原発事故予測  住民中心の防災計画を/2012年10月25日 京都新聞
4.核非合法化声明 廃絶の願いに背く不参加/2012年10月27日 西日本新聞
5.[400字] 米医療改革 対岸の火事ではない/2012年10月28日 朝日新聞
6.石原新党船出へ "第3極"結集の先に何が  /2012年10月27日 佐賀新聞
7. 読書週間 本との出会いを大切にしたい/2012年10月28日 読売新聞
8.「人質司法」 虚偽自白の温床なくせ/2012年10月27日 東京新聞
9. 尼崎連続変死 まずは事件の全容解明を /2012/10/27 神戸新聞
10.[400字]「新元素」発見 日本科学界の悲願に前進/2012年10月28日 西日本新聞
11.技術流出 「守る」態勢を立て直せ/2012年10月27日 朝日新聞
12.病気と運転免許 患者への支援も欠かせない /2012年10月27日 高知新聞
13.日本脳炎  死亡原因の徹底究明を/2012年10月28日 徳島新聞
14.伊能測量200年 節目を逃さず歴史顕彰を/2012年10月28日 佐賀新聞
15.生活保護から就労へ まず「自尊感情」の回復を/2012年10月22日  朝日新聞