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京都の講師の雑記録

京都の塾で、現代文・古文・漢文・世界史などを教えている講師の雑記録です
京都ネタから、国語指導関係、世界史雑学まで、さまざまな記事を書いていきます

今週の『高校生のための社説集』です。
『高校生のための社説集』専用ページは

1.子どもの保養 被ばく回避する権利を/2012年11月19日 神奈川新聞
▲原発事故に関してもっとも大切な課題は、子どもを守ることです。福島に残った子どもやその親を裏切らないためにも、子ども安全には、徹底的な対策をとるべきです。

2.中間貯蔵施設 モデルを造ってはどうか/2012/11/23 福島民報
▲除染を進めるために欠かせない中間貯蔵施設ですが、受け入れに対する不安ももっともです。具体的な提案として一考に値するでしょう。

3.大飯原発の断層 運転止めて調査が筋だ/2012年11月25日 毎日新聞
▲脱原発に賛成か反対かは別として、夏の電力不足を理由に稼働させたものを、なし崩し的に動かし続けるのは、信義に反します。安全性についても、以前の「充分に安全な時に動かす」から、「充分に危険な時には止めることもある」にシフトしたようです。

4.拡散予測丸投げ 規制委は体制強化急げ/2012/11/24  南日本新聞
▲これも規制委員会です。能力の欠如だけでなく、少し前に特殊法人で話題になった、ボッタクリ中抜き丸投げ現象まで出てきました。

5.勤労感謝の日 支え合う社会の大切さ/2012.11.23 岩手日報
▲「勤労の日」ではなく、「勤労感謝の日」であることを考えてみる必要があります。しかし、日本の企業が儲けても、利益が日本の労働者に回らず、国内市場の拡大につながらないという状況の中で、勤労に感謝をする余裕が失われています。

6.[400字] 金融政策と政治 劇薬の副作用も見据えよ/2012/11/22 神戸新聞
▲国債の日銀引受については、財政モラルの面から反対する論調もありましたが、金利上昇などの副作用について、かなり強い危機感が伝わってきます。国と地方の長期債務残高は900兆円を超えます。長期金利が上昇し、金利負担が上がることは極めて恐ろしいことです。

7.金融政策論争 日銀の失敗は明白だ/2012年11月22日 東京新聞
▲自民党とは普段は相容れない東京新聞が、意外です。「日銀は物価の番人なのだから、デフレに対して結果責任がある」という主張でしょう。一方、国債買い入れなどの金融緩和が、今やどれだけデフレに効果があるのかは、慎重な検討が必要でしょう。

8.いじめ緊急調査 小さなサインに敏感に/2012/11/24 南日本新聞
▲この調査で、鹿児島は「全国一いじめが多い」という結果が出ました。「いじめは存在しない」と言い張る教育委員会より、こちらの方がずっと安心できる気がします。

9.[400字] 就学援助 子どもの格差をなくせ/2012年11月24日 東京新聞
▲自由競争の社会であればあるほど、ルールは公正である必要があります。高校生からは自己の責任に任せればよいですが、小中学生の間は、親の貧富で決定的な差がつかないようにすべきです。

10.セカンドスクール 体験活動、一層の充実を/2012/11/25 秋田魁新報
▲部活動か、ケイータイ・PCのゲームか、という子どもたちの貧弱な体験環境を変えるには、大人が、真剣に、さまざまな「場」を用意することが欠かせません。この社説の、「卒業後も自発的に訪れるようになれば、県民の生涯学習推進という面でも効果が期待される」というのは、よい指摘です。

11.サンフレV 地域の財産 悲願の勝利/2012/11/25 中国新聞
▲社説には、地域のJリーグチームの記事がよく出てきます。地域に根ざしながら、多くの人材が世界で活躍する。このあり方は、あらゆる組織にとって手本となります。

12.パレスチナ情勢 オバマ政権の試金石に/2012年11月25日 毎日新聞
▲前回の中国政治の分析に続き、毎日新聞による国際政治の分析です。イエラエル、ハマス以外にも、エジプト、アメリカを含めた、複雑な情勢の解説として採り上げました。ひとくちにパレスチナといっても、ヨルダン川西岸はPLO内のファタハ、ガザはハマスと分かれているのも、分かりにくいことです。

13.自由貿易協定 まずアジアに立脚した交渉を/2012年11月23日 愛媛新聞
▲TPPはそれ自体の賛成・反対でとらえる、つまらない論調が多いですが、大切なのは、日中韓FTAなども見据えて考えることです。

14.男女差別法改正 もう放置は許されない/2012年11月23日 東京新聞
▲総選挙の論点になっているわけではないですが、実は、今の日本にとって極めて重要な話題です。95-9.「エコノミスト」誌予測 女性教育管理職の増加を(2012年10月29日 教育新聞)などもありましたが、日本が経済力を維持するには、女性の労働力を増やすしかありません。そのためには、避けて通れない課題です。

15.水と穀物の国際年 ぜひ総合的な学習の学習材に/2012年11月22日 教育新聞
▲来年2013年は「国際水協力年」「国際キヌア年」です。どちらも、これからの地球の姿を考えさせてくれる、貴重な観点です。

16.泉鏡花文学賞40周年 新風を吹き込んでこそ続く/2012/11/20 北國新聞
▲文学賞の話題は、69-10.今年の本屋大賞は「言葉の海」の物語(2012.05.03 中外日報)などでも採り上げました。泉鏡花は、一般の認知度は低いですが、大変すぐれた、重要な作家です。



この記事は、以下に掲載したものです。
http://www.tops-kyoto.com/blog01/cat16/000288.html

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先日、女優の森光子さんが亡くなりました。

彼女は旧制高等女学校である「京都府立第一高等女学校」を中退していますが、
同校は明治5年に開設された日本最古の女学校である、「新英学級及女紅場」を前身としています。

その第一高等女学校が、昭和23年に新制高校とされたのが、今の「鴨沂高校」です。

「新英学級及女紅場」は最初、九条殿河原町邸跡に造られたので、九条家の門を引き継いだのですが、
それが現在地に移る際に、門も移築されたため、今の鴨沂高校には立派な門があります。

それだけ歴史の古い学校ですから、色々な武勇伝があって、
日本で最初の室内温水プールの授業が行われたとか、ヘレン・ケラーが講演をしに来たとか、
明治天皇が行幸したとか、かつては京大進学者数が全国一だったとか。

卒業生も多岐にわたりますが、国語教師的立場からすれば、山崎正和、李良枝の両名ですかね。

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山崎正和さんは、言わずと知れた、大学国語入試問題の定番です。
元は演劇が専門(?)ですが、巨視的な視点にたった文明評論で知られます。
「水の東西」は、高校現代文の教科書の定番素材ですし、
『劇的なる日本人』『柔らかい個人主義の誕生』『社交する人間』などの著作は、しばしば入試問題の出典になります。

論理的にはしっかりしており、内容も知的に充実している上に、贅肉のない、密度の高い文章なので、高校現代文の教材としては最適なわけです。

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李良枝さん(イ・ヤンジ)は、在日韓国人2世の作家です(9歳の時に日本国籍取得。田中淑枝)。
1989年、『由熙』(ユヒ、유희)で第100回芥川賞を受賞しています。
デビュー作で、第88回芥川賞候補作になった「ナビ・タリョン」を始め、在日韓国人として日本で生きることの問題や、逆に、「祖国」韓国で生きることの難しさを描いています。
彼女が観光旅館に住み込みで働きながら、高校3年の時に編入したのが、鴨沂高校でした。
そこで、彼女は次第に民族の問題を考え始めたようです。
大変、期待された作家でしたが、1992年に37歳で亡くなっています。

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鴨沂高校のグラウンドの南側に、本当にひっっっそりと立っている石碑があります。


実は、これは、「法成寺址」(ほうじょうじあと)を示す石碑です。

法成寺とはあまり聞きなれないと思いますが、藤原道長が建立し、晩年を過ごした寺です。
絶対的な権力者だった道長が、阿弥陀信仰に傾倒し、全精力を傾けて造営した寺でしたから、
それはそれは豪勢なものだったことは、容易に想像されます。
極楽浄土に行けるよう、極楽浄土の法主である阿弥陀如来にすがるのが阿弥陀信仰ですが、
道長は、その目的で、九体阿弥陀堂(無量寿院)を作ったとされます。

なお、道長の日記『御堂関白記』の「御堂」とは、この法成寺のことを指します。

 法成寺模型

しかし、すでに鎌倉時代には荒廃していたようで、以下に示す、『徒然草』第二十五段の、子細に渡る描写ぶりからは、兼好法師がその荒廃ぶりにかなり強い感慨を抱いていたことが分かります。

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なお、鴨沂高校から北に300mほどのところにある「廬山寺」(ろざんじ)は、『源氏物語』を著した紫式部の邸宅跡に比定されます。
紫式部は、道長の娘・彰子に仕え、道長の支援を受けながら物語を書いたと考えられますから、
この一帯は、道長関係者の住まう地域だったのですね。
 廬山寺の「紫式部邸宅址」の朱印


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『徒然草』第二十五段

京極殿・法成寺など見るこそ、志留まり、事変じにけるさまはあはれなれ。御堂殿の作り磨かせ給ひて、庄園多く寄せられ、我が御族のみ、御門の御後見、世の固めにて、行末までとおぼしおきし時、いかならん世にも、かばかりあせ果てんとはおぼしてんや。大門・金堂など近くまでありしかど、正和の比、南門は焼けぬ。金堂は、その後、倒れ伏したるままにて、とり立つるわざもなし。無量寿院ばかりぞ、その形とて残りたる。丈六の仏九体、いと尊くて並びおはします。行成大納言の額、兼行が書ける扉、なほ鮮かに見ゆるぞあはれなる。法華堂なども、未だ侍るめり。これもまた、いつまでかあらん。かばかりの名残だになき所々は、おのづから、あやしき礎ばかり残るもあれど、さだかに知れる人もなし。
 されば、万に、見ざらん世までを思ひ掟てんこそ、はかなかるべけれ。

(口語訳:京極殿(きようごくどの)や法成寺(ほうじようじ)などを見るにつけて、建てた人の願いは今に残っているのに、その遺業はこんなに変って面影をとどめていないのは、まことに感慨深いものである。御堂殿(みどうどの)が、りっぱに造営なさって、私領をたくさんご寄進なされ、自分のご一族だけが、天皇のご後見役、天下の重い鎮めとして、将来までもと考えておかれたとき、たとえどのような世になっても、これほど変り果てようと思われたであろうか。大門(だいもん)や金堂(こんどう)などは、近ごろまであったけれど、正和(しようわ)のころに南門は焼けてしまったし、金堂は、その後倒れ伏したままで、再建のこともない。無量寿院(むりようじゆいん)ばかりが、法成寺の形見として残っている。堂内には、一丈六尺の弥陀如来像(みだによらいぞう)が九体、まことに尊いお姿で並んでおいでになる。行成大納言(こうぜいのだいなごん)筆の額や兼行(かねゆき)の書いた扉の文字が、今でもはっきり見えるのは、まことに感慨深いものである。法華三昧堂(ほつけさんまいどう)なども、いまだに残っているようである。これもまた、いつまで残るものであろうか。この程度の遺跡さえ残っていない、あちらこちらでは、たまたま土台石だけ残る所もあるが、それが何の跡であったか、たしかに知っている人もない。
 こういうわけであるから、何事につけても、自分の死後のことまでを、あらかじめ考えはからっておくようなのは、まったく、頼りないことというべきであろう。)

今週の『高校生のための社説集』です。
『高校生のための社説集』専用ページは
にあります。


1.12月16日衆院選 政治をリセットせよ/2012年11月15日 沖縄タイムス
▲他紙が「論点を明確にせよ」など無味無臭なものが多い中、どうして首相は解散を急いだのか、という観点がユニークだったので、採用しました。

2.除染特別手当 不払い許さぬ仕組みを/2012年11月18日 朝日新聞
▲いくら東京で、脱原発や福島廃炉を議論しても、現場で働く人がいてこそです。あの過酷な環境で働く人々のことをあまりに軽視していないでしょうか。

3.週刊朝日問題 報道の自覚に欠けた/2012年11月14日 朝日新聞
▲今回の扱いはあまりに軽率で、政治家の橋下氏はともかく(氏曰く、政治家は選挙があるから他人の中傷すら容認されるらしいですから)、同様の境遇の人すべてに対する偏見・差別である点が問題でしょう。ただ、政策が公平なものか、身内を利するのが目的なのかを見張ることも必要ですから、ある程度は家族のことを知っておく必要もあるでしょう。

4.ストーカー殺人 法改正は当然だが運用も問題/2012年11月12日 愛媛新聞
神奈川新聞は不祥事の常連・神奈川県警に慣れてしまっているのか、県紙として県警との関係に遠慮したのか、「猛省を促したい」と書いているものの、いまいち深刻さが伝わらないので、舌鋒鋭く、明快な愛媛新聞を採りました。

5.[400字] 新出生前診断 社会の理解と支援深め慎重に/2012年11月18日 愛媛新聞
▲きわめて重要な問題なのですが、今週は衆院解散や中国新指導部などの大事件が並んだためか、取り上げる新聞はわずかでした。愛媛は、「障害は、不便ではあるが決して不幸ではない」と原則も明確で、多くの人に読んでもらいたい内容です。

6.政治と核廃絶 被爆国の原点 見つめよ/2012/11/13 中国新聞
▲こういう所に橋下氏の軽薄さを感じます。「無理」だと思っていたことがあっという間に現実になるのが国際社会のダイナミズムです。誰が、ソ連の崩壊や、黒人の米国大統領を予想したでしょう。核の傘に守られていても、核廃絶を唱えられる。それを、日本にしか出来ない特権的立場と考えることはできないのでしょうか。

7.日朝局長級協議 成果焦り相手の術策に陥るな/2012年11月13日 愛媛新聞
▲他紙が平凡無難なことを書く中で、交渉をめぐる政治的環境など、いろいろ踏み込んだことが書かれていて良いです。

8.動物保護強化 飼育放棄の抑止力に/2012年11月12日 高知新聞
▲殺処分低減に向けては、工夫をしている自治体もあるようですから、その言及があってもよかったと思います。

9.瀬戸内の将来像 恵みを育む「豊かな海」へ/2012/11/14 神戸新聞
▲富栄養化防止の反動で貧栄養化気味になり、また別の問題が生じてきています。環境のデリケートさが、瀬戸内海という閉鎖海域で分かりやすいという例です。

10.歯と口腔健康条例 県民運動で健康長寿を/2012/11/18 秋田魁新報
▲超高齢社会にむけた取り組みは積極的に取り上げたいと思います。1989年に愛知県で始まった8020運動は有名ですね。

11.ガザ地区侵攻 即時停戦を最優先せよ/2012年11月18日 琉球新報
▲世界有数の人口密集地域を爆撃し、多くの無辜が犠牲になるという、本当におぞましい出来事です。記事にもあるように、こうした憎悪の再生産が、対イスラエル報復の原動力です。

12.ブラック企業対策 社会から締め出す強い姿勢を/2012年11月16日 愛媛新聞
▲こういうことがあるから、「働いたら負け」というような一部の風潮が助長されますし、「使い捨て」的に働かせることは、日本の国力を減退させる悪質な行為です。

13.[400字] 公債法案合意 財政運営のたがが緩む/2012年11月14日 信濃毎日新聞
▲何のために財政法が赤字国債を禁止しているのかを考えれば、記事の主張は至極もっともです。今回の特例公債法騒動を理由に、「3年間自動承認」の措置を容認するような雰囲気があるのは納得できません。

14.米国大統領選にみる宗教的「常識」の変化/2012年11月17日 中外日報
▲世界の動きはどうしても表面だけを追いがちですが、こうした背景に言及した記事は貴重だと思います。

15.習近平政権 長老支配に戻った中国/2012年11月16日 毎日新聞
▲他紙以上に踏み込んで、中国政治の件直争いの面から切り込みました。せっかくまとまった字数が使える社説ですから、こうした内容のある記事を望みたいと思います。