「国の借金1千兆円」は不正確 | already read‐news。ο

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「国の借金が初めて1000兆円を超えた」と報道された。
財務省が9日、「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」の数字が1008兆6281億円と発表したからだ。

これを「国の借金」というのは、会計的には不正確だ。
国のバランスシートをみると、その負債合計は国の借金を包括的に表しており、それがふさわしい数字だ。
国のバランスシートは毎年公表されているが、2011年6月28日に公表された「平成21年度国の財務書類」では、2010年3月末現在の負債総額は1019兆173億円となっている。
この時点で既に負債は1000兆円を超していた。

こうした事実はあまり報道されずに、国の負債の一部にすぎない「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」が大々的に報じられるのは、マスコミの不勉強もあるが、財務省もあまり「国の財務書類」をプレイアップ(強調)していない。
というのは、「国の財務書類」のバランスシートには、財務省にとって不都合な事実が書かれているからだ。
12年3月末現在のバランスシートでは、負債総額は1088兆円、資産総額は629兆円だ。

実は、国のバランスシートを財務省で初めて作成したのは筆者だ。
借金が大きいことを主張し財政再建の重要性を訴えてきた主計局は、資産総額が明らかになることに反対で、筆者が国のバランスシートを実際に作ってから、政府として公表されるまでに10年程度の時間を要した。

IMF(国際通貨基金)などの国際機関では、国の負債の大きさを見る時に、資産を引いたネット債務でみるのが普通だ。
資産を無視して負債だけを見るのは適切でない。

しかも、日本の場合、資産の中身が問題だ。
現預金18兆円、有価証券98兆円、貸付金143兆円、運用寄託金111兆円、出資金59兆円の計428兆円が金融資産だ。
運用寄託金は年金資産だからまだいいとしても、有価証券は外為資産、貸付金と出資金はいわゆる特殊法人等への資金提供だ。
変動相場制の国では、これほど大きな外為資金を持たない。
また、いわゆる特殊法人等は官僚の天下り先として問題になっており、先進国でこれほど広範な政府の子会社を持っている国もない。

1000兆円の負債を抱えていると、金利上昇した時の利払費が大変になるという。
その時には税収が増えているが、それを横に置いても、資産を処分して負債圧縮すればいい。
貸付金と出資金はいわゆる特殊法人等を民営化すれば処分できる。
でも、日本では天下り先確保のために民営化は頓挫している。

その一方で、財政危機といって、資産の処分を回避して増税の動きだ。
それは国民を苦しめる一方で、官僚は天下り先を確保することになってしまう。

国の資産処分は財政危機に陥った国ならどこでもやっていることだ。
それをやらないというのは、財政危機とはいえないのだろう。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


2013/08/18
[サンケイ]