
欧州連合(EU)が通商政策で中国に攻勢をかけている。
太陽光パネルに続き、中国製の通信機器についてもダンピング(不当廉売)の疑いで調査を開始すると決定した。
貿易摩擦の激化が予想される上、米国との自由貿易協定(FTA)締結に向けた動きも圧力となり、中国側はいらだちを強めているようだ。
欧州委員会は15日、中国製通信機器について、不正な輸出補助を受け、不当な安価で輸出されている疑いが強いとして調査開始決定を発表した。
対象は携帯電話などの端末の製品ではなく、通信ネットワークに使われる設備や部品。
輸出総額は年間10億ユーロ(約1300億円)に上る。
欧州委はすぐには調査を始めず、当面は交渉による解決を目指すことで是正への圧力をかける考えだ。
ただ、今回の決定は欧州企業の申請を受けずに欧州委が独自で判断した異例の措置で、「中国当局が真剣に取り組むよう望む」(報道官)と強気の姿勢だ。
欧州委は今月、中国製太陽光パネルに対して47%の反ダンピング関税を暫定的に課すため、加盟国に提案する方針を決めたばかり。
さらに16日からは中国製の陶磁器や台所用品に最大36%の同関税を適用した。
欧州委がダンピングなどで調査している31件中、18件に中国が絡んでいる。
最大の輸出先であるEUでこうした事態が続けば中国側の打撃は小さくないとみられ、中国商務省の報道官は16日、「中国とEUの貿易関係を著しく損う」と、対抗措置をとる可能性を示唆して牽(けん)制(せい)した。
李克強首相も訪中したギリシャのサマラス首相に、「EUで前向きな役割を果たせる」として、課税や調査回避に向け協力を要請した。
一方、EUは米欧FTA締結のため、6月末までの交渉入りを目指す。
世界全体の貿易量の約3割を占める巨大FTAの創設は、貿易・投資促進による双方の経済効果だけでなく、世界経済で影響力を増す中国など新興国に対抗する狙いもある。
通商担当のデフフト欧州委員はこれまでに、米欧FTAは「世界の政治・経済における欧米という自由世界の影響力にかかわる問題」とも指摘している。
ロイター通信などによると、中国側はこれに対し、EUの幹部が訪中した際などに、米欧の市場から隔離されることへの懸念も伝えているという。
2013/05/18
[Newsweek]