ホロコーストを題材にした映画は観たい気持ちが抑えられないのはなぜ。
関心領域
実在の人物、アウシュビッツ収容所の所長であったルドルフ・ヘスの一家の日常を描いた作品。
ただ、彼らの家はその塀を隔てた隣にアウシュビッツ強制収容所があったのだ。
美しい邸宅、食材に溢れた食卓、広い庭、プールで遊ぶ子供たちの
極々幸せそうな映像なのだけど、違和感があるのは塀に巡らされた鉄条網。
そして灰色の煙やら、人の声やら、発砲の音など、
その隣の建物が何を意味するものか、知りうる私たちにはこの環境が異様なものでしかないのです。
しかし、住んでいる家族は何も疑問も持たず・・・・
もしかして、隣で行われていることを知らないのでは?と思いきや
ヘスの妻は確実にそれを知っている発言をする。
彼女のその発言に、観客はぞっとして、背中にゾワゾワという気持ち悪さを感じるのです。
(要約ですが、「知り合いが今、(塀の)向こう側にいるのよ、その人の家のカーテンがステキだったから
貰いたかったのに、他の人に取られちゃった」云々と楽しそうに言うヘス妻・・・)
無関心、という言葉で片付けていいものか?
これは確実にアウシュビッツにいる人たちは自分と同じ人間と見ていない、
彼らの身に起こっていることに心を寄せることもしない、という心境はどういうものなの?
ユダヤ人を排除するというドイツの当時の考え方には恐ろしさしか感じません。
この映画は、直接的な残虐シーンはないけれど、
音や登場人物の行動を見ているうちに、真綿で首を絞められるような
気持ちの悪い怖さを感じさせるという、ある意味斬新な演出でした。
ところどころ理解できない部分もあったので、いろいろな人のレビューを読み漁り
それを踏まえて、もう一度観たいような、、
でもやっぱり観たくないな。
次は口直しではないですが、少し明るい元気が出る映画、心温まる映画が観たいです。