ご覧ください。これが名農名物「花の卒業式」。2018年のものです。
長い長い雛壇に並んでいるのはサイネリア。演台脇には松の盆栽もあります。
もちろんすべて名農が第2農場で大切に育てているものです。
それにしても自家製といいながら、とんでもないスケールです。
ではこのステージはいつ作られるのでしょう。
それは卒業式当日の午前中。前日も卒業証書以外の賞が伝達される
賞状授与式があるのですが、その時、花はまったくありません。
なぜならサイネリアは代表的な冬の鉢花といわれますが
耐えられる気温は5度程度。もし氷点下になるかもしれない体育館に
一晩おいたら次の日はもう萎れているからです。
雛壇は特製。名農のステージに合わせて製作されたもので
農場の先生や農業教員が3年生のために総出で組み立て花を並べます。
園芸科学科があった時代は草花班の2年生が早めに出校し共に作ったこともあります。
プロデューサー兼ディレクターとして指揮をとるのは草花部門の農場の先生。
まずは決めてきた配色の指示にしたがって先生方が並べます。
だいたい色が決まったら、個々の鉢のチェック。
姿が美しく見える鉢の正面を探して並べ直します。
遠くから見たら分からないと思う小さなところでも直すあたりに
花のステージ作りにかける職人魂を感じます。
この美しいステージを見ることができるのは、名農生と保護者と来賓だけ。
式が終わるとすぐ撤去されるので一切外部の人が見ることはありません。
でも数年前、ある教科書会社が「花の卒業式」を噂で聞きつけ
ステージの写真を中学校の技術家庭科の教材として載せています。
また地元のTV局がステージを紹介するため卒業式にやってきて
卒業生も保護者もTV出演するというサプライズをしたこともあります。
さらに卒業式直後、あまりにこの風景がもったいないので
ステージを撤去する前に最後のクラスや学年写真を撮影したこともありました。
さて3年間、名農はコロナのため在校生を参加させない卒業式をしてきました。
したがって今、卒業する3年生の多くは、このステージの存在を知りません。
名農といえば緑育心、その名農渾身の「花の卒業式」を楽しんでください。