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前記事の続き。

NewsWeek10/17 軍事ジャーナリスト カーク・スピッツァー


尖閣諸島の防衛については資金面の問題もある。

2013年度の防衛予算の概算請求は4兆6536億円。昨年からは1.3%減で、この10年で5%減っている(物価上昇からみれば異状な数字だと思う)

新たな大規模な活動や高額な装備に費やせる資金はほとんど無い。

その代わり自衛隊は既に所有しているもので賄う計画だ。

新たな揚陸艦を建造するかわりに「おおすみ」級の艦艇を運用する予定だ。


ただし、カネをかければ良いという問題ではない。

海兵隊の合同演習を統括する連絡将校のグラント・ニューシャム大佐

「驚くべきことに、日本は上陸作戦に必要なハードの約80%を持っている。それらを再編し、使い方を教えればいいだけだ。それなら無償でやってあげられる」と語った。


防衛体制の再編が進まない原因の一部は、政府の指導力欠如にある。

野田首相は防衛問題に積極的と見られているが就任以降の時間の大半は東日本大震災からの復興と民主党の内紛、そして中国・韓国との領土問題への対処に費やされている。


現防衛大臣の森本敏は有能と見られているが前任の2人が酷すぎた。

一川保夫と田中直紀は防衛改革を邪魔しただけでなく無知な発言と手際の悪い対応で普天間基地移設問題とオスプレイ配備をめぐる状況を悪化させただけだった。

結果、現大臣の森本は関係修復のために東京~那覇~ワシントンの往復に時間を費やすことになった。


沖縄に駐留する15000人の米海兵隊員と、横須賀に配備されている米海軍の第7艦隊は中国が日本の領土に対する領有権主張で軍事力行使を抑制する強力な存在ではある。今のところ中国は尖閣諸島周辺海域に巡視船を侵入させる程度で満足しているようであり、海保でも適切に対処できそうだ。

だが中国の巡視船に代り軍の艦艇がやって来ないという保証ははない。

中国軍の艦艇でなくてもゴムボートに乗った中国人たちがライフルを手に日本の離島に上陸しないとも限らない。


元海上自衛隊司令官の香田洋二氏は、

「我々は中国に匹敵する能力を備えなければならない。有事の際どう対応するのか?と聞かれたとき、申し訳ないが備えが無いと答えることは許されない」と語った。