バリ(♂)の朝は、平日でも、早い

「基本週末しか釣りに行けないから、折角の釣行日に眠たくて起きれないとか、釣りしてるのに眠たいとか、それじゃまるでボリ(♀)みたいじゃん?!」

彼はそう喋りながらも、その視線はスマホの画面を一身に見つめている

ほどなくして、満足した笑みを浮かべ、ゆっくりとタバコを口に運ぶバリ(♂)

「とりあえず今日のブログをアップした、どれくらいの人達が読んでくれるか分からないけど」

その目は、笑っている様でもあり、
どこか物悲しい感じでもあった

タバコを吸い終えた彼は早速着替える、まだ会社に行くのには早い時間だ、着替えたのはスーツでは無く、ジャージ

「じゃあ、ちょっくら行ってくるっす!」

と言い放ち、彼はジョギングに繰り出した、30分程経っただろうか、爽やかな汗をかいて戻ってきたバリ(♂)に、毎日残業や飲み会とかもあるのに、毎朝早くて大丈夫なのか質問をぶつけてみた

「たかが釣り、されど釣り、でも体力があった方が良いよね、遠征とか長距離運転とか疲れにくくなるし、後これ」

と言って彼は首もとを指す、その先にはコラントッテ(これです)が

「前も紹介したけど、体が軽くなった、自己責任とか良く言うけど、やっぱり釣りして疲れて、周りに迷惑かけるなんて、最低だよね」

湯沸かしポットのスイッチを押し、颯爽とシャワーへ入る彼を待つ、暫くして水浴びした子供の様な笑顔で出てきた彼は

手際よく、コーヒーを、入れ始めた

「釣り場に着いてからの準備も、平日の朝の準備も基本は一緒、如何に無駄を無くして時間を効率的に使うかだよね」

なるほどと思いながら彼の動きを追うと、まだグースカピースカ寝ているボリ(♀)を優しく起こしている

「リリースする魚と一緒、優しく扱ってあげなきゃ」

と、駄々をこねてなかなか起きたがらないボリ(♀)に、聞こえない声で、彼はそっと教えてくれた

一緒に朝食を食べた後は、会社へと向かう、混んでいる電車の中で早朝には見せなかった真剣な眼差しでスマホを弄っている

「車通勤が楽な時もあるけれど、やっぱりこの通勤時間って大事」、「ニュース読んだり、他の釣りブロガーさんの最新の記事をチェックしたり、次のブログ記事書いたり出来るからね」、「やっぱビジネスマンしながらだから、ね」

他人を寄せ付けない、
オーラを出しながら、
電車に揺られているバリ(♂)

恐らくこの時間だけが彼にとって集中出来る唯一の時間なんだろう、何か良いブログネタが思いついたのか、1本記事を書き上げたのか分からないが、彼は嬉しそうに

「じゃ、行ってきます!」

とホームに降り立ち、会社へ向かった、それを見送り、また仕事が終わった頃に会社の前で落ち合うことにして一旦別れる

朝の通勤ラッシュでビジネスマン達がごった返す駅で、人混みの中に消えていくバリ(♂)が、見えなくなるまで我々スタッフは立ち続けていた

これから待ち受けるであろう過酷な業務に立ち向かうその姿は、荒波や悪天候でも釣りに行く釣り人の姿そのものだった…

~次回へ続く~