枚方市議会議員 ばんしょう映仁です。
2022年9月15日に行いました令和4年9月定例月議会の一般質問の項目2をまとめました。
食べる側である生徒の意見が一番尊重されるべき!
豊かな社会・豊かな食を目指すという学校全体の合意、社会的合意が根本に必要ではないか
食缶方式の全員給食を目指す!どのようなプロセスで進められきたのか?
教育子育て委員協議会で「今後の中学校給食に関する方針(素案)」について説明があったが、食缶方式の全員給食を目指すとされているが、これはどのようなプロセスで進められきたのか?
枚方市中学校給食あり方懇話会、小中学生・保護者アンケート、市長との意見交換、議会報告など順次行ってきた
今後の中学校給食に関する方針の策定までのプロセスにつきましては、令和3年11月から令和4年3月まで5回にわたり開催した「枚方市中学校給食あり方懇話会」においてご意見を伺い、6月定例月議会での市議会からの意見や7月8日から21日まで市立小中学校生及びその保護者を対象に実施した「中学校給食に関するアンケート調査」の結果を踏まえ、7月28日の教育子育て委員協議会(所管事務調査)において、「今後の中学校給食に関する方針(素案)骨子」を示し、意見を伺った。
これらの手続きを経て、「今後の中学校給食に関する方針(素案)」をとりまとめ、8月9日の教育委員会臨時会での議決を経て、8月12日開催の総合教育会議で市長と教育委員会の意見交換を行い、8月26日の教育子育て委員協議会において、報告した。
現在、「今後の中学校給食に関する方針(素案)」のパブリックコメントを実施しているが、その結果とこれまでの市議会からの意見を踏まえた上で、10月の教育委員会および11月の教育子育て委員協議会において、「今後の中学校給食に関する方針(案)」を報告し、いただいた意見を踏まえながら、12月に「今後の中学校給食に関する方針」を策定する予定としている。
教育委員会は教育委員の課題認識を全員給食で解決できると考えているのか?
今後の中学校給食に関する方針の進め方は改めて確認したが、その重要な意見交換の場であった総合教育会議を傍聴した。その場では、教育委員の全員が食缶方式の全員給食を求められていたと認識していますが、現状の選択制給食の課題としてどのようなことが挙げられたのでしょうか?また、教育委員会事務局では、その課題に対して食缶方式の全員給食で解決できると根拠を持って考えているのか?
食缶方式は、コスト面でも持続可能性が高く、全員給食にふさわしい提供方式
教育委員からは、「成長期の子どもたちに栄養バランスが考えられた給食はとても重要」「栄養バランスがとれた食事を1日1回は最低限必要」「食事の量はそれぞれ違うので、選択制ではなく、ランチボックスでもなく、生徒間の格差をなくす食缶方式の全員給食が必要」「中学校においては時間割の調整は必要だが食缶方式になっても配膳にそれほど問題はないのではないか」「中学校の全員給食は、家庭の共働き世代のニーズ、コロナ禍での経済格差の課題も含め、生徒の食育の観点からも、本市においても早急に取り組むべき教育課題」「SDGsの学習でフードロスの問題を考えている中学生も多くいる中これほど給食を残していることは問題」「食育の推進と充実を図るには、全員給食が一番の手段」などの課題への指摘がされている。
教育委員会事務局としても、個々の食事の量の調整が可能で、保温がしっかりとでき、生徒がみんなで協力して配膳する食缶方式は、コスト面でも持続可能性が高く、全員給食にふさわしい提供方式であると考えている。
もう一度聞かせていただいても、私には教育委員の意見が、全員給食、食缶方式ありきに聞こえる。(また、その意見が全員給食に真っ直ぐにつながるため、臭いものに蓋をするようにも聞こえる)教育委員さんの挙げられた課題は、全員給食、食缶方式だけで本当に解決できるように思えません。それら課題の多くは、別の対応が同時に必要なのではないか。教育委員会事務局の今後のコストに対する認識ということについては一定理解した。
食べる側の生徒の声をどのように捉えているのか?82.8%が現行の制度を希望している
では一方で、食べる側の生徒の声をどのように捉えているのか?アンケートに回答した9.4%の生徒の内、82.8%が現行の選択制給食を希望されている。総合教育会議では、教育長は「子どもたちは同調圧力で給食を食べない方にいっている」と発言されたように記憶している。「子どもたちの声を聞かずに全員給食を導入する」というように私には聞こえた。この発言の趣旨を教育長に聞きたい。
セーフティネットの視点で全員給食が必要。現状の選択制給食では、同調圧力で給食を食べないほうに行ってしまうことも考えられる
アンケート結果から寄せられた「選択制給食がよい」という子どもたちの「給食当番が面倒」「昼休みが少なくなる」「嫌いなものが出てくる」などといった声にはしっかりと対応していく必要があると考えている。
その考えに立ったうえで、総合教育会議における発言の趣旨を説明させていただく。
まず私からは、新型コロナとかウクライナ情勢の影響というようなことも、しっかり考えていくべきではないかということ、また、災害時のバックアップ機能という視点で、全員給食はセーフティネットになるという趣旨も非常に大きいのではないかということを申し上げた。
2点目には、少なくとも枚方市の中学校の生徒が誰一人取り残されることなく、1日1食でも栄養バランスの取れた食の確保ということがやはり重要と思っておりますので、中学校給食というのはセーフティネットの役割という面も含めて、非常に大きくなっていることを述べ、早急に全員給食に向けて取り組むべきだというふうに申し上げた。
3点目には食育の関連で義務教育という観点からいきますと、少なくとも中学校までは生徒全員が同じような機会をもって学んでいくという意味でも学習指導に含めて、食の自立に向けた取り組みが重要という流れになっていることから中学校までの全員給食の必要性を述べている。
これらを前提とした上で発言した内容は、新学習指導要領に基づいた児童生徒の資質・能力の育成に向けて、これまで以上に「個別最適な学び」を充実することが重要であり、また、総合科学技術・イノベーション会議でも、同調圧力からの脱却が求められるということも示されている。現状の選択制給食では、同調圧力で給食を食べないほうに行ってしまうことも考えられることから、子どもたちを一旦開放するためにも全員給食が必要だということを申し上げた。そのほか、先に申しあげたとおり、セーフティーネットとしての給食という意味からも、全員給食に取り組んでいくということが大事だという趣旨で意見を述べた次第。
「同調圧力からの開放」「心理的安全性の確保」は全員給食では解決しない。教育長と共有。
教育長の発言は理解が難しい。もう一度お話し頂いて、私としても理解が深まりましたが、まだスッキリしない。私は、今の中学校に一番必要なことは、「同調圧力からの開放」「心理的安全性の確保」だと考えてきました。そのために、不登校支援やスポーツ・文化のまちへと訴えてきたつもりです。今回の答弁で、その認識は教育長と似たようなところがあるということが分かりました。この件については、全員給食では根本的に解決しないとの認識も共有されましたので、今後の取り組みを大いに期待します。
戦後すぐの栄養が必要だという感覚で導入することについては私は今のところ否定的です。さらには、全員給食の導入が教育委員が述べられている子どもたちの課題、社会課題に蓋をする(見ないでよくなる)という理由で行われることは、絶対にあってはなりません。今すぐにでも取り組まなくてはならないことがあるはずです。
給食については、食べる側である生徒の意見が一番尊重されるべき
給食については、食べる側である生徒の意見が、一番尊重されるべきではないでしょうか。アンケートの結果を重く捉えて、意見表明権としてしっかりと考えていただき、丁寧に進めて頂きたいと要望しておきます。 食育というのであれば、今のあれもこれもという教育環境から脱却し、豊かな社会を目指し、食事の時間を、教育の時間としてきっちりと取るという学校全体の合意、社会的合意が根本に必要ではないでしょうか。
加えて、誰ひとり取り残さない、セーフティーネットとおっしゃるのならば、別室登校している生徒、不登校の生徒への対応をどうするかという課題も併せて頭の片隅に入れておいて頂きたいと要望しました。
参考文献:子どもが作る弁当の日 城戸久枝著
私としては、急に出てきた中学校給食の選択制給食から全員給食への変更論議。大前提として、食べる側の意見をどう受け止めていくのか。おとなの事情で押し切るのか。誰のための給食なのか。意見表明権とは?同調圧力からの開放??一人ひとりの子どもたちの今も未来も笑顔に!との思いで疑問を提起しました。