BANANAFISH二次創作  短編小説「俺が守りたかった世界、願った未来」(4)最終 | BANANAFISH DREAM
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もっと人生を充実させたい! 自分が本来持っている才能を活かし、心身共に豊かで満たされた生活を送りたい!と以前から興味のあったことに挑戦中★ 趣味の漫画二次小説から海外交流など日々更新中♩

らぶばなですほっこり。みなさまお元気ですか? 引きこもり生活は精神的に辛いですが、コロナに負けずにがんばりましょうチュー。アッシュ視点のお話を創作しております。このシリーズも今日で最終話です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですドキドキ

今までの二次小説の目次(インデックス)はこちらをご参照ください


 

「俺が守りたかった世界、願った未来(4)」最終話

 

 

光と緑に囲まれた幸せな風景から、突如血と埃まみれの汚れた世界に俺は落とされた。手のひらについた血は生あたたかい。悲しいことに俺はこの感覚を覚えている。ドクッドクッと鼓動が速くなり、頭もズキズキと痛み出した。

 

 

「何だよコレ。。。英二はどこへ行った?」

 

 

頭を抱えながら俺は周囲を見渡したが、ただの灰色の世界で誰もいない。

 

(英二はどこだ? 俺たち、さっきまで一緒に居たじゃないか。。。) 

 

 

少し前に英二が アートスクールで出された課題のタイトルが「あなたの愛」であり、その答えが「俺」だとあいつが言ってくれたことを思い出した。

 

 

「置いていかないでくれ、英二。。。いったいどこに行ったんだ?」

 

 

ふと血だまりは沼のように広がっていて、俺の膝くらいの深さにまできていることに気がついた。このまま体ごと飲み込まれるんじゃないかと不安になり、沼から出ようとすると突然誰かが俺の左足を掴んだ。足首を思い切り手のひらで強く握ってこられて俺は体勢を崩した。

 

 

「ウワッ! だ、誰だ?」

 

 

気味が悪くてゾッとした。慌てて足を振り飛ばして逃げようとしたが、今度は右足を掴まれた。しかも手のようなものは1つではなく、いくつもあって俺の体をつかもうとしてきた。

 

 

「バケモノめ!!」

 

 

蹴り飛ばしながら血沼から這い上がり、俺は様子を伺った。すると沼からそのバケモノ達は正体を現した。全身血だらけで俺に向かって手を伸ばしてくる。恐ろしかった。それは俺の命が脅かされるからではなく、そのバケモノ達は俺のよく知る連中だったからだ。

 

 

「ショーター? スキップ? 。。。どうして。。。?」

 

 

俺はものすごく大事なことを忘れていた気がする。その時、頭を思い切り殴られたような痛みが俺を襲った。思わず俺はその場に座り込んでしまった。

 

 

(何かがおかしい。確か。。。あの時。。。)

 

 

もう一体のバケモノが沼から現れた時、俺は目を疑った。

 

 

「そんな。。。なんであんたが。。。グリフ。。。」

 

 

グリフは俺に手を伸ばしながら言った。

 

 

「バナナ。。。フィッシュ。。。」

 

 

その時、俺はもうこいつらがこの世にいないことを思い出した。

 

 

 

 

***

 

 

 

「。。。。ハッツ。。。ハァッ!!」

 

 

 

気がつくと、俺は机の上で突っ伏して眠っていた。

 

心臓がバクバクいっている。背中は汗でびっしょりで、へばりついたシャツが先ほどの血の池での感触を思い出して何とも不快だった。

 

 

まだボーッとするが、周りを見渡すと薄汚れた壁に沁みの所々ついた床、窓からは小汚い雑踏が見えた。

 

タブレットの画面には、ディノ・ゴルツィネの関連会社の株価チャート、NYの不動産情報などが表示されている。タブレットの下にはここ数日間の新聞が重ねられていた。

 

 

「イテテテ。。。」

 

 

肩と腕が痛む。確か英二が手当てをしてくれた箇所だ。

 

 

 

(英二!!)

 

 

俺は後ろを振り返った。ベッドの上で英二はスヤスヤと心地好さそうに寝息をたてていた。

それを見て俺は心底安堵した。

 

 

 

「世界中がきみの敵にまわっても、ぼくはきみの味方だ」

 

 

 

元男娼で犯罪者の俺に最高の言葉をかけてくれたかけがいのない存在だ。俺に残された最後の希望だ。

 

 

 

罪深い俺を肯定し、何があっても味方だと言ってくれた俺の親友を失う訳にはいかない。

俺は唇をギュッと噛み締めた。

 

 

(何としても。。。戦いに勝つんだ! 死んだあいつらの為にも、俺自身の為にも!) 

 

 

 

モニター画面に映ったアパートメントの詳細を眺めながら、俺は携帯を手にとった。

 

 

「。。。。俺だ。いいか、まずは今から言う住所を控えろ。 XXXXXXーだ。そこにマックス・ロボというジャーナリストがいるから、俺の名前を出してそいつとコンタクトを取るんだー」

 

 

 

電話の後、俺は窓辺に近づきふと空を見上げてみた。雲はほとんどなく、どこまでも青々と爽やかな空が広がっている。当然だがこの空は英二の故郷である日本と自分のいるNYと繋がっている。英二の住む日本は清潔で犯罪率が少なく平和だと聞いている。

 

 

先ほど俺が見た夢は何だったんだと気になってきた。正直夢の最後は最悪だったが、中盤まではすごく良かった。あんな幸せな夢を見たのはいつ以来だろうか。

 

 

NYに来てからずっと悪夢でうなされてきているだけに、先ほどの体験は甘美でいつまでもその世界で眠っていたかったと思うほどだ。あまりに良くできた夢だった。ひょっとして俺の願望が夢という形になったのかもしれない。

 

 

 

(同じ空の下で暮らしているのに、現実はこんなにも違うもんだな)

 

 

俺は窓の下を見下ろした。灰色の薄汚れた雑踏とビルディング。割れた酒瓶、落書きだらけの壁、ビリビリに破られたポスター、うずくまるホームレス、漂ってくる油と埃と泥の混じった匂い。。。

 

 

(俺の住む世界は。。。)

 

 

お世辞にも褒める部分が全くない。アッシュは思わずため息をついた。

 

 

「う。。。ん。。。」

 

 

英二の声が聞こえて、アッシュはハッと振り向いた。

 

(やばい、起こしたか?)

 

モニョモニョと口を動かしていたが、英二は寝返りをうって再び静かに寝息を立て始めた。

 

 

彼を起こしてしまったかとアッシュは焦ったが、どうやら大丈夫のようだ。アッシュは静かにそっと英二の眠るベッドに近づいていく。アッシュは膝を床について英二の顔をじっと覗き込んだ。

 

自分より年上だが、眠る英二の姿はかなり幼く見えた。

 

 

(どう見てもガキじゃん。。。)

 

フッとアッシュは微笑んだ。

 

 

英二が水道管を使って壁を飛びこえたあの瞬間、アッシュには英二が青々とした空で自由に羽ばたく鳥のように見えた。

 

 

 

(俺は必ずディノやオーサーに勝ってみせる。必ず英二を守って見せる。そして戦いが終わったら、俺は。。。。)

 

 

ふと自分に違和感を感じてアッシュは我に返った。

 

「俺は何を望んでいるんだ。。。あの夢みたいな世界をもう一度体験したいって? どいつもこいつも死んだってのに?」

 

 

現実主義でないと生き残ることはできない。それはアッシュもよく分かっている。油断をすれば命を落とすことになる。特にオーサーは危険だ。いま、自分や英二を見つけようと躍起になって探しているはずだ。一刻も早く新しいアジトを見つけなければいけない。

 

こんな緊迫した状態で、あんな夢を見たことが自分でも信じられなかった。冷静に考えればおかしいところはいくつもあったのだが、夢の中の俺はお花畑状態だったらしい。

 

 

兄貴に生きていて欲しかった。スキップやショーターともっと一緒にいたかった。あいつらの未来を間近で見ていたかった。どうやらそういう思いが夢になったのだろう。

 

「チッ。。。こんな時に俺は何を。。。」

 

 

一番驚いたのは英二のことだ。たとえ夢だったとしても、無意識のうちに、俺は英二とこれからの未来を歩みたいと思っていることに気づいてしまった。それがどれだけ困難で険しい道であるかだなんて分かっているのに。

 

 

 

深いため息をついた後、俺はベッドに近づき英二の寝顔をもう一度覗き込んだ。おまえとの未来の夢を見ただなんて、絶対におまえには言えない。だけど1つだけ誓わせて欲しい。小さな声で、囁くように俺は呟いた。

 

 

「俺は結局あいつらの未来を。。。命を守ることができなかった。。。だけどせめておまえだけは。。。俺が守りきって見せる」

 

 

失敗は許されない。俺は強く決心して、もう一度机に向かい、タブレットを手に取った。

 

 

 

 

*終*

 

 

(あとがき)

お読みいただきありがとうございます爆笑。お楽しみいただけましたでしょうか? 全てはアッシュが見た夢(願望)でした。現実逃避も入っているのかもしれません。もしもこんな風にみんなが生きていて、綺麗に問題が解決できていれば。。。。アッシュの後悔や罪の意識が夢になって現れたということでしょうか。アッシュは悪夢ばかり見ていましたよね。なかなか幸せな夢なんて見れない状態だと思います。英二の存在が、アッシュ自身が未来(希望)を抱けるように変化してくれたら嬉しいなと思いました。ショーターを失った時は絶望どん底なだけに、現実逃避したくもなっただろうなと。。。結局は夢だったんですけど、改めて英二を失うものか、希望を失うものかと決心してくれれば嬉しい。。。。ニコニコ

 

お付き合いいただきありがとうございます。よければ小説へのご感想、リクエスト等お聞かせくださいね。フィッシャー様とのおしゃべりから素敵なネタが浮かぶことも多いですので。。。お気軽につぶやいてくださいませ!!

 

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もしバナナフィッシュがハッピーエンドで終わるなら~365日あなたを幸せにする小説■BANANAFISH DREAM

 

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アッシュ & 英二 1/8スケール フィギュア

 


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