「なぁ…もう半年になるよ…」
放課後
教室の隅で
机挿んで
向き合って座ってる
俺達
そう言う話題なら
少しは
こちらの気持ち
酌んでくれるだろうか?
「半年ってさぁ
半分な訳じゃん
って事はよぉ
365日の半分だから
…あ~……182?3?」
俺が話しかけても
彼は
集中すると
聞こえないのか
黙ったまま
机に向かっている
その手元では
忙しなく動くシャーペン
勉強してる訳じゃない
彼は
写真と見紛う
クオリティーで
無罫のノートに
自分の右手を
描いている
「…よぉ…
それ まだやんの?」
充分
凄い画力だと思われる
絵の
何が気に入らないのか
何を目指しているのか
黙々と
飽きもせず
睨めっこして
続けているデッサン
その
体のパーツが
描かれてるノートも
もう3冊目だと言う事を
俺は知っている
そして
デッサン中の
このタイミングでは
相手にされないと
言う事も
分かっていながら
こうして
かまって攻撃
仕掛ける俺は
彼の彼氏だ
…の はず…
ちゅぅ しか してないけど
多分……
「…お前さぁ
俺の事
ほったらかし過ぎくね?」
好きだのなんだのと
先に言いだしたのは
彼なのに
全然
関係の発展を
仕掛けてこない奴の言う
好きの意味が
最近
俺のそれとは違うのか?
とか
謎と不安しかない
この関係
只でさえ
クラスが違って
ほぼほぼ
一緒に居ない学園生活
せめて
登下校だけでも
ご一緒しましょうって
わざわざ
階数の違う
この教室まで
俺様が お迎えに来てる
…って言うのに…
いつも
絵ばっか描いてる
奴のつむじ
正面から眺めつつ
独り言気分で
思いの丈を
口にする
毎度の事とはいえ
最近
この放置プレイに
通過儀礼と言うか
儀式的な要素
感じたりなどしつつ
「まだ終わんないの?
なぁなぁ なぁ~~~~」
と
そろそろ
集中力も
切れて来た頃合いだろうと
目の前のつむじ
ツンツンしては
猫のように
なぁ―なぁー言ってれば
視線が
こちらに向いて
やっと
目が合う
色素の薄い
彼の
ヘーゼル色の瞳
今日は緑色に見えるなぁ
…とか 思いながら
見惚れていれば
不意に 彼が
「今日さぁ
…俺ん家 来いよ」
来る?とかの
選択肢のない
命令口調が
口をつぐんだ俺に
たたみ掛ける様に
「昨日シーツ換えたから 綺麗だぜ」
そう 付け加えられた申告は
特典って事か?
なに?急に
プレイ内容を
変更する事にしたのだろうか?
一足飛びな お誘い文句に
彼の
はしばみいろの虹彩を
まじまじと凝視しながら
え?
って顔して
「…いや その 別に
いいけど… 急だなぁ…」
確かに
構えよぉ~って迫ったのは
俺だし
もう半年
何事も無かった訳だし
結構 我慢はしてたし
キスだって
数えるくらいしか
まだ やってないけど
一応
知識としては まぁ
それなりに
番うべき行為の所作
調べてあるし
…と
頭ん中
グルグルさせれば
耳が熱くなってくるから
ちょっと
声を潜めて
「…俺 ゴムの予備
今日 持ってないからさぁ…」
薬局寄ってっていい?…と
囁けば
「…真に受けるなよ
エイプリルフールだ バカ」
そう言って
芸術家モドキが
酷くエロい顔して
ふふんと笑うと
俺の唇に 噛みついてきた
エイプリルフールだって
言ってるけど
どの点が嘘だったんだ?
家に誘った事?
それとも
シーツを変えたって事?
と
彼の舌に
翻弄させられながら
引っ掛けてやった感が
まるで無い
彼の言うところの
エイプリルフールを持ち出した
サプライズの意図
理解できないまま
結局
…って事は
また
キス止まりって事か…と
悶々とする 腹の奥の慾
踏みつけながら
「…教室でさぁ
キス以上の
スリルある事 したいと思わない?」
無駄と知りつつ
「嘘だよ」って
言えば
無かったことに出来る
免罪符の今日を
ダメもとで
活用してみようと
彼を真似て
試す事にした
そう
充分エロい
彼を相手に
ダメもとでね
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嘘も一日にしてならず

