祈ること。ひとにしかできないこと。

 

(長田弘「立ちつくす」より)

 

私は無宗教人間です。信仰心のカケラもなく、神社仏閣といったパワースポットの類ともすこぶる相性が悪く、うっかり足を踏み入れたら悪いことばっかり起きるという神にそっぽ向かれた悲しい人種です。幼い頃はピンチの度に神頼みを頭の奥で壊れたレコードプレーヤーのように鳴らしてみるのですが、救いが訪れた記憶はありません。

そんなわけで宗教には興味ありませんが、宗教がもたらした文化の恩恵には日々あずかっております。

私はキリスト教宗教曲が大好きです。落着きたい時や気分が優れない時はミサ曲をとにかく聴きます。典礼文をテキストにして、何万何千と今も世界の音楽家達が曲をつけています。それを毎年発掘するのが楽しみの一つなのです。

今回のBGM20世紀の作曲家フランツ・ビーブルの「Ave Maria」でございます。数多の作曲家が傑作を残したAve Mariaの中でも傑作中の傑作。自分の中では5本の指に入るくらいの名曲です。

この曲との出会いはかなり前に遡りまして、多分れあたんを知る前だったのではないかと思います。大阪のいずみホールで行われたプロムジカの日本公演でした。ちなみにいずみホールの最寄り駅は「大阪城公園駅」でして、駅の階段を降りる時に「タッキー&翼 のチケット譲ってください」のボードを持ったお姉さんが立っていたのを覚えています。奇しくもその数年後に私はれあたんを見るため、大阪城公園駅を再訪したのでした(Sexy Zoneコンサートin大阪城ホール)思い出深い地です。

 

と、前置きが長くなりましたが本題です。

今回のストーリーは約三年ほど前に構想し、書き始めました。「We beheld…」が煮詰まった時に気分転換として並行しておりましたが長らく頓挫しているうちに颯も挙武も事務所からいなくなってしまい、Princeはデビューしてしまいました。そして少しの期間を経てれあたんは7 MEN侍結成…となかなかに激動です。

元々その時点でいない栗田と郁は登場させない、回想だけのつもりでしたが郁はついに回想にすら登場させられませんでした。一応留学中という設定は考えたのですが…

 

前々回の蛇足の間でも申した通り、和製モダンホラーという世界観が好きすぎるため、ややもするとそればっかりになりがちなので今回は学園ものを書いてみようと思い至りました。でも皆生徒じゃつまんない、よし最年長を教師にしてやろう…といった具合に組み立てていきます。

そして今回、ミッション系の学校を舞台にするにあたって一つの野望が駆け巡りました。

『よし…ここは一つキッツイBL書いてやろう』

キリスト教的禁断の少年愛…なんという官能的な、悪魔的な響きなのでしょう…エロシーンとか入れてさぁ…こりゃあマリア様も赦しまへんでぇ…なんてぐへぐへしながら執筆したのですが…

 

あ、これ無理

 

長所は諦めがいいところ、短所は諦めが良すぎるところ。すぐに敗北宣言とあいなりました。それもそのはず、案外こう見えてその手の作品は片手で数えるくらいしか読んだことがないのです。知識も技術もセンスも圧倒的に足りません。儚い野望でした。

潔く諦めて書き進めていたらなんとまあなかなかのバッドエンドテイストに…無理矢理纏めたものの、苦し紛れ感は否めない…己の無力を数ヶ月に渡って再認識しただけでした。

まあ、そもそもキリストの生涯自体がバッドエン…おっと誰か来たようです

 

そんなこんなで、失敗のごった煮のようになってしまった今作ですが、BGM(ビーブルのAve Maria)のおかげでなんとか書き切り、なんとなくエピローグからの派生も思いついてしまったのでこの後に載せます。完全に蛇足中の蛇足ですが、新型肺炎の影響で世界が混沌とする中でどうしても暇な時にでも読んでみて下さい。

それではまた。