not to sayとnot to mention

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Q168) 今回は的外れな質問かと思ったのですが、よろしければ 教えてください。
 
not to speak of ,
not to mention
not to say
 
形は同じですが、3つ目だけ 「~とは言わないまでも」という意味になります。
(「~いうまでもなく」で sayを使った熟語は “to say nothing of“ になります。)
 
形は同じで sayだけ扱いが違うのは 文法的に なにか 理由があるのでしょうか?
 
もちろん 全て熟語として 暗記すればよいのでしょうが、なにか 生徒に説明できれば 印象に残り 混乱しないかと思いましたので、質問いたしました。
 
よろしくお願いします。
 
A) まず、not to sayの意味に関して勘違いをされています。「英語語法レファレンス」(柏野健次著)(三省堂)の197ページのnot to sayに詳しく書かれています。以下長くなりますが、引用します。

not to sayは英和辞典では「…とは言わないまでも」という訳語が掲載されていることが多い。
He is frugal, not to say stingy.(彼はけちとは言わないまでもとても倹約家だ)
しかし、これは正しくない。A, not to sayBは事態を説明するのに「Aという形容詞よりも(それより意味の強い)Bという形容詞のほうがふさわしい」ということを表している。したがって、not only A but also Bのような意味に解釈する必要がある。[ミントン 2004] 
(中略)
したがって、「彼は倹約家だが、けちと言ってもよい」という意味に解釈するのが妥当である。
 not to sayとよく似た表現に、not to mention, to say nothing of, not to speak ofの3つがある。英和辞典には「…は言うまでもなく」という訳語が共通して掲載されている。Kahino Databaseの調査では、頻度がnot to mentionが群を抜いて高い。続いてto say nothing of で、not to speak ofは古い言い方で、今はほとんど用いられない。
ここでは、最も頻度が高いnot to mentionを取り上げ、not to sayと比べてみよう。
A, not to mention Bの表す意味についてはネイティブスピーカーによってとらえ方が異なり、A, not to sayBと同じ意味を表すという人もいれば、A, not to mention Bは単にA plus Bを表すという人もいる。


まとめるとこうなります。
①A, not to sayB「Aだが、Bと言ってもよい」
②A, not to mention B「Aだけでなく、Bも」または、「Aであり、Bでもある」
③A, not to speak of B ―古い言い方で無視してよい。
①と②は、似ていますね。ただし、注意点はあります。同書にこう書かれているからです。

なお、A, not to say Bでは、AとBは、通例、形容詞であるが、A, not to mention BではAとBには、名詞を用いることも可能である。

念のため英英辞典の定義を見てみましょう。Oxford現代英英辞典(OALD)第9版です。


①not to say: used to introduce a stronger way of describing sth.
 a difficult, not to say impossible, task
②not to mention: used to introduce extra information and emphasize what you are saying.
 He has two big houses in this country, not to mention his villa in France.
③not to speak of:掲載されておりません


①のnot to sayは「あることを描写するより強い言い方を導入するために用いられる」とありますね。a difficult, not to say impossible, taskは、「困難な、不可能と言ってもよい仕事」となります。
②のnot to mentionは「追加情報を導入し、今述べていることを強調するために用いる」とあります。He has two big houses in this country, not to mention his villa in France.は「彼はこの国に二軒の大きな家を持っているだけでなく、フランスには別荘も持っている」となります。
 ただ、辞書で例文を調べていると次のようなケースもあります。


I can speak German, not to mention English.(英語は言うに及ばず、ドイツ語も話せる)(Wisdom英和辞典第2版)
I do all the housework, not to mention the gardening.(ぼくはガーデニングは言うまでもなく、すべての家事をします)(ロングマン英和辞典)


これは、A, not to mention Bで、Aに重点が置かれていますね。ですから、「Bは言うまでもなくAも」と訳すとしっくりきます。
 そこで以下のようにまとめたいと思います。

①A, not to sayB「Aだが、Bと言ってもよい」―ただし、AとBは形容詞で、Bの方が程度が強いものがくる。
②A, not to mention Bは二通りある。
(a)「Aだけでなく、Bも」―Bに重点が置かれている。頻度はこちらの方が高い。
(b)「Bは言うまでもなくAも」「Aが[を]、もちろんBも」―Aに重点が置かれている。
③A, not to speak of B ―古い言い方で無視してよい。

さて、あなたが質問されている①と②の意味の違いがどうして生まれたかは、私にもわかりません。宿題にさせていただきます。もし読者の方でご存知の方がいらっしゃったらぜひ教えてください。