映画評 「あさひなぐ」~糞ではなかったが全く分かっていない駄作:後編 |  書店員バツ丸の気ままにエンタメ

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最終回となる今回は主要役者に対する寸評を行っていきます。

映画やドラマにおいて、主要役を演じる役者の魅力や実力、存在感の重要性が高いのは言うまでもないが、こと今作のような矢口スタイルの作品においては、その比率がさらに高まる。

というか、そこのところがきちんとしていないと、もはや作品として成立しない。「スウィング・ガールズ」の上野や本仮屋、「シムソンズ」の加藤ローサや藤井美菜、「書道ガールズ」の桜庭ななみ&山下リオ、「表参道高校合唱部」の芳根&柴田杏花、「チア☆ダン」の広瀬&中条らといった

女優らが明確にそのことを示し続けてきたと言える。

では、今作はどうだったのだろうか・・・。

実質のW主役に相当する西野&白石に関しては上々であったと言える。

西野には原作東島のような小ささはないが、弱弱しい雰囲気や親近感のある外見がそれを補って余りある良さを見せた。懸念していた演技に関しても、流石に絶賛とまではいかないが、作品を十分成立させるだけのものはあったと思う。声を張り上げるシーンやコミカルなシーンにおいて思った以上に西野の魅力が出ていた言えよう。

白石に関してはどこを見ても女子高生に見えないのがネックではあったが、彼女の美しさが宮路の持つ孤高で人を寄せ付けない凄みを体現していた。


そして、敵方最強となる一堂を演じた生田。事前評価ではかなり懸念していたし、実際外見や雰囲気は原作の一堂とは欠片も似ていないが、しかし、演技面でその問題を低減させていた。特にクライマックスとなる練習試合敗退直後の演技は白眉。

どうあれ、乃木坂最強の女優適性が如何なく発揮されたと言えよう。


部長の伊藤はまあ及第点より少し上といったところか・・・。演技面は良く、作品の導入部分を担う責をしっかり果たせた。だが、いかんせん太ったことによるビジュアルレベルの低下が終始気になった。この手の作品は演技力はもちろん、ビジュアルが有す説得力がかなり重要となる。

残念ながら伊藤はこの点に関してのみ、求められる水準に達していなかった。


薙刀シーンに対する不満はあったが、この4者に関しては概ね良かったと言える。それがなぜかと言うと、曲がりなりにもアウェーの環境で重要役を担った経験があったからだ。下手なりにも積んだ経験がこの作品でまずまずの実を結んだということだ。


大倉役の富田は可も負もないといったところ。今作だけならともかく、「チア☆ダン」での演技や存在感があっただけに、今作での演技には満足できなかった。本人の問題もあるが、制作側がそのポテンシャルを引き出せなかったからだと思う。

懸念の1つであった寿慶に関しては、妖しい美しさこそなかったが、確固たる信念と厳しさ、そして懐の深さで部員を導く先達としての存在感はしっかり出せていたと言える。流石の演技経験といったところだろう。

さて、まあここまでは許容範囲。

で、今作で完全にそれを超えただめっぷりを見せたのが八十村役の桜井と紺野役の松村だ。

桜井演じた八十村は、そもそもヤンキーテイストのギャルという雰囲気が根本的に間違っている。八十村はヤンキーでもギャルでもない。剣道経験者という経歴も作品を通して何ら出せず、それ以前に西野より背が低い桜井をこの役に据えたこと自体が全く理解できない。

今作での江口や生田のようにビジュアル的な合わなさという劣勢を覆すに足る演技力は、桜井にはない。桜井自身の能力や魅力もさることながら、彼女をこの役に据えた関係者が悪い。

そもそもこの役を演じられる者は乃木坂内には居ない。一期に関して高身長のものが斎藤以外に居ないという実情を鑑みても、キャストに関して意味不明な1期縛りなど設けず、相楽や梅澤といったメンバーを起用すべきであった。というか、大倉の富田のように外部からの招聘にすべきであった・・・。

しかし、今作においてとにもかくにも酷かったのが紺野を演じた松村に他ならない。

そもそも、美形のお嬢様で手足が異常に長く長身コンプレックスでもある紺野を、ずんぐり体形で西野や白石とさして変わらぬ身長の松村に演じさせる意味が分からない。
当然、その体格が故に培われた薙刀スタイルは微塵もなく・・・。

しかし、ビジュアルの問題を葬り去るぐらいに酷かったのが、松村の演技だ。

他のメンバーが彼女の演技に関し、「松村そのまんま」との評があったが、言いえて妙だろう。


紺野の持つ一面の一つであるわがままさやぶりっこぶりがことさら強調された演技、と言うより、乃木坂結成当初より見られた松村の異常なぶりっこさ及び、ライブパフォーマンスの質の低さやロチュー事件が明確に物語る彼女のモラルのなさや、自意識過剰ぶりやプロ意識のなさなどが出ただけに過ぎない。

性悪な金持ちではあるが、一方でずる賢く、頭の回転も速く、観察力に優れ要領もいい紺野の人間性や能力を微塵も出せてはいない。

松村は紺野役を演じたのではなく、ただ自己を出したに過ぎない。

終始醜悪で文字通り演技を舐めているとしか言いようがない。

こんな演技?をして平然といられる松村のサイコパス的メンタルにはただただ驚愕しかない。彼女を起用し、さらにこの内容でOKを出した関係者の正気を疑わざるを得ない。松村をこの役で起用した時点で、今作はまともな作品になる機会を永久に失したのだ。


ロチュー事件で乃木坂の人気や信頼や貶めたのと同様、それなりに努力したメンバーの成果を松村一人でほぼ台無しにしたと言える。


そう、

西野・白石・生田らのそれなりの健闘があったとは言え、薙刀と言う極めて日本的で魅力的な題材を扱った「あさひなぐ」という一級の原作を土台にしたにも関わらず、

この程度のものしか提示できなかったことが根本的な問題なのだ。

アイドルメンバーが主軸であるが、そんなこと関係なく最高の作品を提示しよう、というプロとしての気概を全く感じ取ることが出来ない。

あるのは、出来がどうあれ絶対に観に来、金を落としてくれる「オタ」への甘えや依存、舐め切った態度だ。

乃木坂メンバーや推しメンが出てさえいれば、何でもかんでも評価するオタ相手の商売であるのなら、今作は成功と言えるのかもしれない。

しかし、かなりの公開規模を誇る矢口スタイル的作品であることや、当然乃木坂ファン以外の映画好き女優好きも観る商業作品であることを考えると、今作はお話にならない。


そもそもの上記冒頭にあるように、比較評価対象が矢口監督作品であり、更にはこの手の作品を通して評価を得、躍進した、

上野樹里、本仮屋ユイカ、桜庭ななみ、山下リオ、芳根京子、広瀬すず、中条あやみ、柴田杏花、

といった女優らであるからだ。西野や白石や生田の健闘も、あくまで乃木坂メンバーとしてのそれ。とんでもなく厳しい若手女優シーンにおいては評価・論評に値するレベルに達してはいない。

結局の所、メンバーに実力も魅力もない、という根本的なところのマンパワーの欠如。


それのみならず、制作側に関しても、メンバーの撮り方1つ見ても徹底的に魅力的に撮ろうとする意識や工夫が感じ取れない。試合展開のシーンを見ても、八十村や紺野のキャスティングを見ても、薙刀や原作への理解や敬意を感じ取れない。当然乃木坂メンバーに対してもだ。


「チア☆ダン」や「表参道高校合唱部」といった作品のように、業界や大手事務所が誇る魅力や才覚や野心に溢れる役者らに、最高の演出、最高の撮影らをして、「ぐうの音も出ない」程の大傑作にしてほしかった・・・。然るべき役者が演じ、しかるべき製作者らが作る最高の「あさひなぐ」を私は観たい。

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