後出しジャンケンするひとは・・・。 | ーとんとん機音日記ー

ーとんとん機音日記ー

山間部の限界集落に移り住んで、
“養蚕・糸とり・機織り”

手織りの草木染め紬を織っている・・・。
染織作家の"機織り工房"の日記


養蚕で忙しくしている間に、
世の中では、いろんなことが起きている。

とくに、わたし達とかかわりが深いのは、
食品に関する問題ですが・・・

●基本的な考え方

2011/3月・食品安全委員会「放射性物質に関する緊急とりまとめ」

LCRPは、1954年に「すべてのタイプの電離放射線に対する被ばくを可能な限り低いレベルに低減する為に、あらゆる努力をするべきである。」と提言し、
1997年に「経済的及び社会的な考慮を行った上で、合理的に達成可能限り低く維持する。」との勧告を行っている。

食品安全委員会としても、食品中の放射性物質は、
可能な限り低減されるべきものであり、
特に妊産婦若しくは妊娠している可能性のある女性、乳児、幼児等に関しては、十分留意されるべきものであると考える。

・・・というのが、妥当な基本的な考え方だと思います。

しかし今日のように、残留放射性物質による内部被曝の問題。
食品の流通を介して高濃度な放射性物質に汚染された地域以外のところに住んでいる人にも内部被曝のリスクが広がるかもしれないという問題。
そういう国民の不安が引き起こされて、「食品の残留放射能などの基準値と安全管理に国民の多くが不信を感じるようになっているのは・・・」、ひとえに現民主党政権の初動の政治対応の拙さに起因していると捉えることができます。


なぜなら、初期から一貫して、現民主党政権は、「原発事故災害から国民の命や生活を守る」という明確な観点を持たなかったことは、・・・
事前に緊急時対応マニュアル(防災基本計画)に設けられているプロセスを無視して、対応を行った。(新設された部署・機関の乱立など)」こと、「緊急時対策支援システム(ERSS)や、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)などに代表される緊急時システムの情報を関係市町村や国民に知らせず隠蔽し住民が避難できる機会を阻害した。」こと、「原子力災害対策特別措置法に明記されている緊急事態応急対策拠点設置や原子力災害対策本部の事務の一部をおこなうところの国の原子力災害現地対策本部が設置、関係機関及び職員が情報を共有するための原子力災害合同対策協議会の設置などが混乱をきたし、実質的にできなかったか、あるいは迅速な調整・対応が阻害された。」
・・・などの諸相から、その点を明らかに認めることができます。

また、常識的には、ベントと呼ばれる放射性物質が含まれている水蒸気の放出(圧力開放による調整)や、原発施設内に蓄積された放水冷却による汚染水の海洋放出などは、「短期間には、近隣環境や近隣住民に対しての汚染や健康被害、また、長期間には放射性物質拡散による広範囲の環境汚染と食物連鎖による生物濃縮が懸念されるので、一業者、一事業所の判断に負わせるべきではない問題」として捉えるべきであり、また、「事前、事後の、住民の命や生活を守る観点での万全の対策」が、政治及び行政の立場から講じられなければならない性質上、「原子力災害対策特別措置法」が定めるところの「原子力災害対策本部」の長である内閣総理大臣と副本部長経済産業大臣が、有機的な連携を執るべき地方公共団体との調整のうえ、最終的に 「原子力災害対策本部長・内閣総理大臣」が、政治的な最終責任を負った上で決する「政治的な判断の問題である。」・・・が、民主党政権の首相及び閣僚などの発言では、「東京電力側にその判断責任、行為の責任があるとしています。」


そういうところがおかしいですし、・・・
そういう、判断関係、責任関係の整理という視点を離れて考えても、
なぜ、ベントの事前に、十全な避難の完了と避難している住民への万全のバックアップが手当てできていなかったのか。
関係市町村への情報共有、双方向の情報交換を確立できないままの状態で、東京電力側に、その責任を押し付けて、そのような処置に至ったのか。・・・など、不可解な部分が多いのです。


食品の残留放射性物質によるリスクの問題も、
現政権の原発事故対応の姿勢と無縁ではありません。

この点についても振り返ってみれば・・・


●ヨウ素は現状維持 野菜や水の安全基準 食品安全委
2011年3月28日21時37分


●食品の放射線基準値「厳し過ぎ」 8知事が見直し要望
2011年3月29日0時18分


東京、千葉、茨城、栃木、群馬5都県の知事は28日、枝野幸男官房長官と蓮舫・食品安全担当相を訪ね、現状の暫定基準値は「非常に厳しい基準だ」として、食品安全委員会の評価に基づく新たな基準づくりを急ぐよう求めた。福島、埼玉、神奈川の知事も加わった8知事でまとめた緊急要望書も手渡した。 知事たちは、農産物の出荷・摂取制限についても、基準値を下回った場合は解除を急ぐとともに、制限方法を県単位ではなく一部地域にとどめる形に変えるよう求めた。
蓮舫氏への要請後、大沢正明群馬県知事は報道陣に「風評被害がひどい。数値が下がったのにいつ解除してくれるのか、しっかり示してほしい」と述べた。石原慎太郎東京都知事は「日本一の消費地の東京でもモノが足りなくなり、上がってきている。県単位でバサバサ切るのではなく、政府はもう少しきめの細かい措置をとってほしい」と語った。


●食品衛生法の放射線規制値「見直し必要」 戦略相が見解
2011年3月29日12時22分


●セシウムも暫定基準支持 食品安全委員会
2011年3月29日20時56分



・・・というような流れで、現状に至っています。

この問題を考えるときには、
まず、「暫定基準値」というのは、「緊急時対応の場面で暫定的に設けられた値である。」と言う点。
また、「経済的及び社会的な考慮を行った上で決められた政治的な値である。」と言う点に留意する必要があります。
わたしは、専門家のいう、それぞれの見解を、それぞれの学問的な立場に基づく良心的な見解と基本的に捉えているので、一概にそれを退けるものではありませんが、・・・

しかし、「実際に十分な知見が得られていない領域の問題や、微量な内部被曝が長期にわたって繰り返された場合のリスク分析など、実際に研究対象として実証データが得られていない部分に対する推測」には、自分の立場がそのリスクの渦中にある問題として聴いていると、「わからない部分について、楽観的な推測を加えるのは妥当なのだろうか」と思うこともあります。

・・・しかし、
もっとよく考えれば、前述のように、この数値は、「緊急時対応の場面で経済的及び社会的な考慮を行った上で決められた政治的な値である。」のです。


だから、極論ですが、学術術的なデータ上の安全値以上に厳しくするということも、国民総意の下でリスクマージンを大幅にとった規制値・安全値を決めると言う立場が支持されれば、それも可能なことです。
もともと海外で日本産の食品が人気であったのは、化学物質・食品添加物・衛生管理などについて総合的に日本の基準値が厳しかったからだということもありますから、輸出面での信用回復のためにも、この選択はアリですね。

また、逆に、
経済的及び社会的な考慮を、『食品の放射線基準値「厳し過ぎ」』と要望を出した、東京、千葉、茨城、栃木、群馬知事のような生産者側の立場に傾けて、緩めてしまうということも可能なことですが、・・・。
とくに放射性物質飛散による汚染を経験した生産者側の立場からは歓迎されることですが、しかし、生活者側の立場では、諸手を挙げて歓迎できることではありません。



このように、食品の残留放射性物質の安全性と、その規制値・安全値を決めるとことには、
それぞれの立場からの利害がからむので、『専門家の諸々の意見を参考にしながら専門委員会で検討のうえ、国会の議決を経て政治的に解決すべき問題です。』

ただ、わたしが思うのは、『厳しくする』あるいは『緩める』という、
そのどちらにしても、『産地表示に加えて放射線値表示の管理を徹底した上』で、『最終的に、買う・買わないを決めるのは、買う側の判断に委ねるべきだ。』と思います。
なぜなら、『風評被害』という言葉が独り歩きして、
不透明なリスクにさられれる側が、
『食品中の放射性物質を、可能な限り低減することを選択をすることが阻害される圧力になっている』という風潮を感じます。

加えて、政府も、『風評被害』という事を理由にして、暫定基準値の安全に疑問を感じる人々の声を圧しようとし、実際に資源エネルギー庁長官官房総合政策課が、「平成23年度原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)」という事業を行い、「風評被害」を理由にした言論統制を行おうとしております。


そもそも、このような『風評被害』というようなものが起こりえるのは、
『民主党政権の初期対応の拙さによって、暫定基準値の安全性に疑問を感じるような土壌をつくったこと』に起因しています。
その点の反省なく、言論統制を行おうとしている『資源エネルギー庁』は、いったいどのような役所なのでしょう。
資源エネルギー庁長官・細野哲弘氏、参事官(エネルギー政策担当)・ 飯田祐二氏、エネルギー情報企画室長及び総合政策課長・後藤収氏、長官官房総合政策課長・小宮義則氏、経済産業省原子力発電立地対策・広報室長・杉本孝信氏. 経済産業省原子力地域広報対策室長,・山川稚文氏などの諸氏が関わっているかと思われますが・・・

そういうことに予算を取って、言論統制を行おうとしているより、
その予算を、『国民誰もが安全だと感じられる基準づくりに向けての研究費の一部』として用いたらいかがでしょうか。

繰り返しますが、『風評被害』というものが起きるのは、
・信頼できない政権が、拙い初期対応を繰り返したこと。
・首相や閣僚が、一貫しない発言を繰り返したこと。
・首相が原発事故の責任を、原子力安全・保安院や東電になすりつける言動を繰り返していること。
・SPEEDI情報の隠蔽や住民避難についての対応の拙さが、政府に対する不信を招いたこと。

・・・というような背景の下に、『政府が国民の健康や生命の安全を慮った対応をしないこと』への不満があって、『政府の暫定基準などを信用していると、内部被曝の危険にさらされる』と考える人が増えてきたからです。

そのうえ、『政府の定めた暫定基準は不適切だ。』と言う意見は、科学的な見解について争っているのではなく、政治的な対応として、『リスクマージンの設け方が適切なのだろうか』と言う点に疑問を呈しているのですから、この場合の資源エネルギー庁がいう『不正確情報』とは、どのような内容の『ツイッター、ブログなどインターネット上に掲載される情報なのでしょうか。』
たとえば、『この件について、首相はじめ政府の対応が不適切だと批判する記事が不正確情報ということなのでしょうか。』

・・・だとしたら、資源エネルギー庁の予算で、『政治批判に対する情報をリサーチし管理する』というような事業は、資源エネルギー庁マターを逸脱していませんか。?

また、不正確情報の基準と言うのはどのように決められているのか。
資源エネルギー庁に於いて、このような事業を行う法的な根拠などを、明らかにしていただきたいものですが・・・。

しかし、今の日本の中で、一番の影響の大きい『不正確情報』を発信されていらっしゃる方は、
首相である管直人氏です。
先ごろも、首相会見で『脱原発を目指す』と発言なさって、すぐさま『あれは、個人的な思いの発露』と言い換えたことなど、『まさに、後出しジャンケンするひと』ですね。
子供の世界でも、そういうズルイ子は、仲間はずれになりますよ。
ぜひ、「平成23年度原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)」によって、
管直人氏の発言を監視していただいき、
資源エネルギー庁さまの御力で、首相辞任に導いていただいた方が、
ネット監視よりも国民にとって功が多いことと思います。

この案いかがでしょうか。?
ぜひ、資源エネルギー庁さまに於かれましても、ご検討いただけたらと思います。



・・・・・・・・・・≪参考資料≫・・・・・・・・・・
資源エネルギー庁が実施する
言論統制・世論操作事業についての情報

●平成23年度原子力安全規制情報広聴・広報事業
(不正確情報対応)

事業目的
ツイッター、ブログなどインターネット上に掲載される、
原子力等に関する、不正確な情報又は不適切な情報を、
常時モニタリングし、それに対して速やかに正確な情報を提供し、
又は正確な情報へ導くことで、
原子力発電所の事故等に対する風評被害を防止する。


●資源エネルギー庁が原発報道監視
税金使い「不適切情報」収集 全国紙・立地県地方紙・ネットも




PS/拙い内容の当ブログですが、経済産業省さま、国土交通省さま、文部科学省さま、日本原子力研究開発機構さま、東電グループさまなどの、原発災害に深く関係がある部署の方々からアクセスを賜りまして誠に光栄に存じます。
拙い内容ではございますが、今後ともよろしくお願いいたします。