動画「知っていますか?妊婦・授乳婦と新型コロナワクチン」テキスト版
みなさん、こんにちは。
今日は現在妊娠中の方、あるいは授乳中の方へ、
コロナワクチンについてお話いたします。
私は、聖路加国際大学の助産師の堀内成子と申します。
コロナワクチンを摂取した方がいいかどうか、悩んでいるあなたに、
意思決定の紹介をいたします。
<目次> ※上の画像をクリックすると動画をご覧いただけます。
1.ワクチン接種の現状
2.接種を迷う時の意思決定エイド
①2つの選択肢
②妊娠中のコロナウイルスのリスク
③コロナワクチン接種のメリット
④コロナワクチン接種のリスク
⑤専門家の意見
3.Q&A
Q「授乳中にワクチンを接種して母乳から出るのではないか?」
Q「妊娠初期にワクチンを打っても大丈夫なの?」
Q「ワクチンの副反応での解熱剤を使用できますか?」
Q「3回目の追加接種による副反応は強くなりますか?」
★アンケート(自由記入式) この資料のご感想やご意見をリンクのフォームからぜひお聞かせください!
1.ワクチン接種の現状
〇アンケートの概要と参加者
まずはじめに、現状をお話しします。
これは2021年の10月から11月にかけて、
現在妊娠中の女性にアンケートを行った結果です。
厚生労働省の班研究が行ったデータです。
6,576人の方から回答を得ました。
そのうち「まだワクチンを接種していない方」は、1179人。17.9%でした。
「ワクチンを1回または2回接種したことがある方」は、5,397人。82.1%でした。
①ワクチンを摂取した方の妊婦さんの特徴
ワクチンを摂取した方の妊婦さんの特徴では、
20歳以下の妊婦に比べて30歳以上と年齢が高い妊婦では、
摂取率が高いことがわかりました。
職業については、
専業主婦に比べて会社員、医療関係者で割合が高く、
また自営業では低い結果でした。
妊娠の時期についてみると、
初期に比べて中期や後期のワクチン接種率が高かったです。
②ワクチン接種後の副反応
副反応を見てみましょう。
「接種部位の痛み」が、約9割の方に起こりました。
また「発熱、倦怠感、疲労感など」の反応が出た方が多くありました。
1回目より2回目で多く認められました。
しかしこのような副反応は、
他の妊婦の調査や妊娠していらっしゃらない方の同じ年代の方と、
ほぼ同様であることがわかりました。
③接種後の産科的症状の出現
妊婦におけるワクチン接種後の産科的な症状を見ると、
「お腹が張った」というようなことが見られた方は1~2%。
その他、
「出血、胎動減少、浮腫、血圧上昇、破水など」の重大な症状は、
共に起こった方は1%以下でした。
このような実態を理解した上でそれでは考えてみましょう。
2.接種を迷う時の意思決定エイド
①2つの選択肢
「私は妊娠中または授乳中です。
コロナワクチンの接種を受けた方がいいのかな?どうかな?」
と迷うあなたの選択肢は2つあります。
「1」は、できるだけ早くワクチンを接種する。
「2つ目」は、ワクチンの接種は妊娠・授乳が終わるまで待つというものです。
②妊娠中のコロナウイルスのリスク
妊娠中のコロナウイルスに関するリスクを、まず見てみましょう。
感染した妊婦のほとんどは症状が軽く完全に回復しますが、
「2~30%は、入院が必要となる中等度から重症な感染症を起こす」
と言われています。
その場合は入院し、集中治療室での治療が必要となります。
また、肺炎が治癒した後も、
多くの方が継続的な健康上の合併症を抱える結果となります。
妊娠中にコロナ感染症にかかった場合では、
死産、早産、高血圧、帝王切開、低出生体重児などのリスクが
高まることがわかります。
③コロナワクチン接種のメリット
それでは、コロナワクチンを摂取することによるメリットを考えてみましょう。
ワクチンを接種すると、
妊娠している・していないに関わらず、
コロナ感染症にかかるリスクを低くする効果があります。
つまり、コロナ感染症の発症、重症化、入院の確率が低下します。
妊娠中に摂取すると、
抗体が胎盤を通じて移行し、新生児の感染予防が期待できます。
授乳中に摂取すると、
抗体が母乳を通じて移行し、乳児の感染予防が期待されます。
この2つの点が重要なこととなります。
④コロナワクチン接種のリスク
コロナワクチンを接種することのリスクはどうか、
副反応はどうかということですが…
アメリカの研究では、一般的な副作用として
「注射部位の痛みや頭痛、倦怠感があり、発熱を経験した人」は10%未満でした 。
アレルギーやアナフィラキシーなど重篤なアレルギー反応は、稀に起こりました。
⑤専門家の意見
専門家の意見では、
現在のところアメリカ、カナダ、日本においては、
妊娠中または授乳中の女性がワクチンを接種することを強く勧めています。
妊娠時期を問うことなく、妊娠初期からの摂取を勧めています。
また、妊婦が感染する場合の8割はパートナーからの感染ですので、
一緒に暮らすパートナーのワクチン接種も勧められています。
3.Q&A
よく出る質問を見てみましょう。
「授乳中にワクチンを接種して母乳から出るのではないか?」
と考える方がいますが、
ワクチン接種後に母乳中に抗体が移行するということが示されています。
なので、授乳中にコロナワクチンを摂取しても母乳育児を妨げることはありません。
いつでも母乳は飲ませてあげてください。
また
「妊娠初期にワクチンを打っても大丈夫なの?」
という質問がありますが、
ワクチン接種による胎児の奇形が起こりやすいという報告は、ありません。
いつでも接種可能と言われています。
「ワクチンの副反応での解熱剤を使用できますか?」
という質問があります。
妊婦さんの場合には、アセトアミノフェン(カロナールなど)は使用可能ですが、
妊娠後期の妊婦さんには、
非ステロイド性抗炎症薬(ロキソプロフェン、イブプロフェンなど)は避けるべき
とされています。
授乳中の方は、
アセトアミノフェン(カロナールなど)、
非ステロイド性抗炎症薬(ロキソプロフェン、イブプロフェンなど)
どちらとも使用できます。
また、産後はいつでも摂取が可能だと言われています。
「3回目の追加接種による副反応は強くなりますか?」
という質問に関しては、
2回目の接種後と比較しても概ね同じような反応と言われています。
そして大体3日後には、ほとんど消失されると言われています。
この意思決定支援の資料は、
カナダで作成されたものをもとに日本語に翻訳して作成しました。
ここに示してあります QR コードから読むことができます。
★こちらからも、ご覧いただけます。(ダウンロードも可能です)
情報を得て、2つの選択肢から納得して1つを選んでみてください。
今あなたにできる方法はどちらでしょうか?
よく考えて決定してください。
以上、堀内先生のお話しでした。
先生、ありがとうございました!