「ニーチャンこっちにおいでよ。」
ガホに案内され少し登ると山肌が出たひらけた場所に着いた。見上げたその山肌には円から幾つかの線が伸びている模様が描かれていた。
アレフガルドに住む者なら何度となく目にしている書の表紙だ。
「ロトの…紋章…」
おもわず口から声が漏れていた。
「驚く事なの?“ロトの祠”だもん、紋章があってもおかしくないよ。」
そうガボが振り向きながら言ってきた。
「そうだけど、下の池が祠の入り口じゃないのかい?」
「ジーチャンから聞いた話だと、ただの中腹だった所から水が噴き出してきて、最初は湧き水程度だったのが段々溜まって池になったんだって。」
「そうすると本当の“ロトの祠”の入り口はここに在るのか。」
僕は少し驚きを感じた。
「……ふ…る…」
「?ガボなにか言った?」
声が聞こえた気がしてガボに聞いてしまった。
「何も言ってないよ、どうしたの?」
「なにか声が聞こえたような気がして。」
「あっ風が吹き抜けるからなのか、前から聞こえるんだよ。」
「そっなんだ…」
なにかひっかかる気がしたがロトの紋章にむかいルビスに祈りをする事にした。