昨日色々話題の「INTO THE WOODS」を観劇してきました。

そうです。あの話題作です。

 

今回の「INTO THE WOODS」は、

予備知識はディズニーの映画版のみだったので

「舞台でどんなふうに描かれるのか知りたい!」という気持ちと

「昨年宝塚を退団された望海風斗さんの魔女が見ていたい!」という気持ちで観劇しました。

大学の学期末試験期間でもあるので、とりあえず1回分だけチケットは抑えました。

 

しかし、2022年になって幕が開き、さまざまな評判がTwitterで流れてきて、楽しみだった気持ちがだんだんと不安に変わってきました。

最低限歌えてこそミュージカルだと言ったツイートもあり、そこまで酷いのか?となっていました。

 

そして迎えた当日、評判が悪いとはいえ期待を胸に観劇してきました。

しかしながら、感想としては期待は無惨に切り刻まれ、酷意の一言でした。

ミュージカルの休憩時間で帰りたいと思ってしまったのは人生で初めてでした。

ただ、1幕だけで駄作と判断して帰るの失礼だと思い2幕も見ましたが、最後の一時間は早く終わることだけを願っていました。

 

パンフレットを見てみると、

ミュージカル出たことがない人がほとんどで大丈夫か?となってました。

だって「INTO THE WOODS」って激ムズ曲だらけだったよね?大丈夫?

ソンドハイムだったよね?と私の中で思考がぐるぐるしていました。

 

そして、開演直後

シンデレラの「I wish」でため息が出てしまいました。

「ああ、これは、、、。歌じゃない。セリフじゃん。」

 

メインキャストの感想を言うと、

 

赤ずきん役の羽野昌紀さん

役者は悪くないんですけど、ミスキャスト感が拭えなかったです。

羽野さん自身の赤ずきんは解釈が深くて面白かったんですけど、ただでさえ他のキャストの歌唱力で生きる屍となっていた私に終始あの金切声が重なってくるとストレスに感じてしまったのが正直な感想です。

赤ずきんのあの思春期っぽい危なさ、不安定さが無邪気として雑に描かれているような気がしてなんか勿体無いなぁと感じました。役者さん自体は悪くないんです。

 

シンデレラ役

歌が、、、。歌えないじゃなくて、下手の領域だったと思います。

役者としての活動の幅を広げるためにこの仕事を受けたとしたら、もっとミュージカルに対して敬意を持ってボイトレなりなんなりして欲しかったです。

シンデレラの役の掘り下げ方もやや雑というか、、、。

全体的にふわふわしていて、、、。

ただただこの役にあってない人なんだなぁと思ってしまいました。

 

ジャック役

他のメインと比べると歌唱力も演技も安心と安定感がありました。

ただ、「別にジャックじゃなくてよくない?」というか、ジャック役が福士さんじゃなきゃいけなかった理由が見当たらなかったというか、他に向いている役があったのでは?と感じてしまいました。

 

そして、パン屋夫妻の二人

この役には荷が重すぎたと思います。

歌も難しいし、役も複雑。

なかなかのスキルがないと演じきれない役なので、可哀想でした。

(ただこっちはお客さんとしてお金を払って見にきているので、役者に可哀想と思わせるのはいかがなものかと思いますが)

これも例によって他にこの役に合う人がいるでしょ。と思ってしまいました。

 

このキャストに共通するのが、役にはまっていなかったと言うことです。

百歩譲って、歌唱力はなくても(いやだけど)

演技や解釈が素晴らしかったら、ミスキャストとは思いません。

でも今回に関しては完全にミスキャストだったのです。

 

全員が悪かったわけではないです。

楽しみにしていた望海風斗さんの魔女は期待以上で素晴らしかったです。

歌で完全にステージを自分のものにしていたし、魔女という役への解釈や研究が徹底されていたし、かなり荷が重い役なのに完璧にこなされていて感動しました。

本当に元男役の方ですよね?めちゃくちゃ妖艶でした。

王子役の二人もミュージカルで何度も拝見していますが、やはり歌やキャラクターへの取り組み方が素晴らしかったです。

三時間AGONYだけでも聞いていられたと思うというくらいです。(訳詞はちょっと???という感じでしたが)

とは言っても素晴らしかった!と感じられたのはこの御三方のみになるのですが、、、。

 

キャストに対する文句を散々言ってきましたが、この作品で特にいやだったのが舞台セットの安っぽさです。

森を表現するためのディスプレイがニコライバーグマンの劣化版にしか見えない。全く洗練されてない巨大版ニコライバーグマンでした。

 

そして三つの枠。

登場人物の物語の枠組みとして、小劇場とかなら観客の想像力で世界観を生み出せるかもしれません。

ただ、日生劇場で後ろがごちゃごちゃしている中であの枠組みを出されても邪魔でしかなかったです。

ただ、あの枠組みだけで徹底するならいいんですけど、いらない上にダサい小道具もどんどん出てきてストレスになるばかりでした。

二幕に出てくる黒板もいらないし、情報量増えているだけだし。

 

 

足し算しか知らないのかなっと言った演出でした。

どこをとってもごちゃごちゃしていて、イライラしてしまいました。

 

ミュージカル初演出と書いてあったので不安ではあったのですが、ここまで酷いとは、、、。

演出における空間の構築が気持ち悪いし、いらない小ネタ多すぎだし、「INTO THE WOODS」という作品への敬意が個人的には感じられませんでした。

 

「INTO THE WOODS」って元々カオスみたいな内容だし、それをソンドハイムの楽曲や役者の力量でなんとか形になる作品だと思っていたので、ただでさえ難しい作品なのは重々承知しています。

しかし演出にせよ、役者にせよ、もっと他になんかあったでしょと叫びたくなるような仕上がりになってしまったのは非常に残念でした。