ババモンの最期の数日間、病院で、酸素マスクを装着しながら、あまりにも苦しそうな呼吸をするババモンを見ていられなかった。早く苦しみが終わってほしい、と私は願った。

 

 

 
 

 

 

ホスピスを舞台にした、安楽死がテーマの医療小説。

 

ホスピスの医師の神崎は、3件の安楽死に関与したとして起訴される。患者本人や家族の懇願に負けたのか? ミステリー要素もある。


 

ホスピスというと、痛みをやわらげてくれ、平和に逝けるというイメージがあった。しかし、この小説に書かれているように、実際には、そんなに安楽なものではなさそうだ。

 

読んでいて辛くなる描写が続くので、夜に読むのはやめよう、と思い、昼間に少しずつ読み進んだ。

 


安楽死についてのいろいろな議論が盛り込まれていて、考えれば考えるほど、何が正解なのかわからなくなる。

 

実際にそういう状況になったときの、患者や家族の気持ちを尊重してもいいのではないか、とは思う。ただ、実際にその行為を行う医師や看護師の精神的な負担を考えると、やはり無理か。

 

日本では、安楽死についての法整備はとても難しそうな気がする。けど、現在の法制下で、すぐ逮捕、殺人罪というのはどうかと思う。ヨーロッパの国のようには割り切れない日本人だから、多少グレーなところがあってもいいのに、と思う。

 

 

暖かい気分になれる、次のようなホスピスを舞台にした小説は、単なる理想のフィクションでしかないのか?