夕の空 (朱音の空想想像小説) -92ページ目

『王の血脈』 第6章 3


カリエはその日、マリュウの命令でレイネードの山荘近くに来ていた。

レイネードは、ザノ=ンで唯一三家あった伯爵家の中でも、第一伯爵と呼ばれる男だった。
爵位は低いものの、前国王の嫡子であることから国内においての発言権は決して無視できる物ではない。

現に今日、レイネードの山荘を訪れる客は公爵の身分にありながら、レイネードには意見すら出来ない名ばかりの貴族だ。

レイネード自身も、相手の位が自分より高いからと言って卑屈な態度は一切とらない。
礼節は護るが、ただ、人間性で自分より劣る人間には一切の妥協をしないのだ。

カリエは幼い頃からギルドに育てられ、ごく普通に暗殺者となったが、ギルドがこれほどレイネード暗殺に執着する事情については何も知らなかった。

レイネードがザノ=ンでの要人であるからなのか、ギルドに勝る≪闇狩人≫の保有者であるからなのか。

しかし、カリエにも分かっている事がある。
今のギルドでは、戦力的にすでに≪闇狩人≫に劣っている。
西から雇われたシェイド・ブレイドが居なければ総崩れになる、と言う事を。

今日がある意味、一種の基点となることも。

カリエが任された仕事は、日中の監視と、いざ双方がぶつかり合った時の後方支援だ。
その任務を果たすべく、山荘周辺に張り巡らされたトラップと敵の配置を把握していた。

が、自分以上に上手く気配を殺し、背後に立った人物には気づけなかった。


「ねぇ君さぁ、前に一回会ったよね」

キルシェは口唇をぺろりと舐めた。
カリエがその場を飛び退る。

目の前に天使の笑顔をした猛獣が迫っていた。





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カリエvsキルシェ再び。



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