シェアさせていただきました。
出典(著者の許可を得て掲載しています)
僕がまだ風呂なしの家賃1万6千円のアパートに住み、荒んだ生活をしていたとき。
仕事にもろくに行かず、毎日波があれば海で波乗りをしてました。
仲の良かった会社の上司が
「卓ちゃん、俺の知り合いで波乗り始めた子おるんやけど、教えちゃってくれへんか?」
ということで、僕の家で会うことになったのです。
正直、はじめはあまり紹介っていうことは好きではないので、気乗りしなかった僕はボロボロの短パンに寝グセ、Tシャツ姿でアパートの下まで出て行きました。
そしたらね。
笑顔のキラキラした女の子が、白い車に乗ってやって来ました。
僕は二度見をし、目をうたがった。
まさか、こんなかわいい子がくるとは思っていなかったので少し躊躇しました。
それから、家に上がることにはなっていたのだけれど…
全然、ウェルカムではなかった僕の家の中は散らかしっぱなしで汚いし、僕も少し開き直って本音で話したら、これが本当に、笑顔がひまわりみたいにパーッと明るい。
今もよく覚えています。
髪を一つにまとめて紺色のTシャツを着て、Gパン姿でサンダルを履き、オレンジジュースが好きな子。
100%還元しか飲まないと言っていた。
それを聞いた僕は、少しわがままな子だなと思った。
でも、ご注文通り100%還元のオレンジジュースを買ってきてあげたら、とても嬉しそうに飲んでいました。
風呂なしの小汚いアパートが急にパーッと明るくなる感じでした。
この子だ!と本当に勝手に赤い糸を感じた、そんな出会いでした。
でも…そこからは散々でした。
告白したけれど…
「卓ちゃん??? いやいや…むりむり!友達としては、最高なんやけど…付き合うとかは、はっはっは~~~」
みたいな感じで、3回ふられて。
最後の告白の日。
その日は、僕の家があまりにも汚いということで、友達といっしょに家の中を片付けてくれることになりました。
あとで聞くと、みんなおぞましい経験をしたそうな(笑)
その日の夜、一人だけ残った彼女に最後の告白を…
そうして結婚し、2人の子供を授かりました。
2011年3月5日、僕はガンの宣告を受けました。
手術をして、再発予防の抗ガン剤治療を行うことにしました。
途中、肺炎にもなりました。
この肺炎が本当に辛かった。
今まで病気1つしたことのなかった僕は本当にしんどそうな人を見ても、どこか心の中で「大げさだなぁ」と思ったりしていました。
しかしこの肺炎で、本当の辛さがわかりました。
辛そうな人には優しく接することができるようになりました。
この経験で、人の気持ちがわかる人間になれたような気がします。
それから、追加の抗ガン剤治療も終わり、僕は今まで以上に会いたい人にはどこへでもドンドンと会いに行くようになりました。
「無理しないでね」と色々な方に、ご心配をおかけしながらですが…
それは本当に何かに取りつかれたように人に会いに行きました。
今まで、押さえ続けてきた夢をかなえるために。
いつこの世からいなくなってしまうかわからない状況を、後悔はしたくなかった。
短い人生ならそれを受け入れて前進しようと心に決めました。
正直、僕は本当は長生きをしたいです。
しかし確率的には低いでしょう。
時間というものは万人に平等ですが、分数の分母が小さい人もいれば大きい人もいます。
100歳生きる人の1日と50歳生きる人でも過ぎ去る1日は同じですが、僕は同じではないような気がする。
あと50年生きる人と、あと50日生きる人の24時間は違う。
もし明日あなたがこの世からいなくなるとしたら、あなたは今何をしますか?
僕は、明日死ぬかもしれないと、恐怖におののいて過ごすのではなく、明日死ぬかもしれないけれど後悔などしない。
今を一生懸命に生きたい。
一秒、一秒を大切に生きる。
そう心に決めています。
いつ死ぬかわからないということで、自分のやるべきことに期限を付けることができます。
出来るだけ頑張らないとできない期限を。
そうすることにより、とても充実した1日になるような気がします。
昼寝やうたたねをしてはいけないと、言っているわけではありません。
その時間も大切だと感じることが大事だと思います。
これが正解だなんてないと思うけど、
今日を精一杯生きなきゃって、すごく思いました…