アビ:「・・・だから、そう言うたやん!」① | マイノリティのお話

マイノリティのお話

ずっと人前で自分を出せない、自分でいてはいけないのだと思ってました。カウンセリングを受けたら、育った環境に原因がある事がわかりました。

私以外全員ASDだった。

ASDについて勉強したら、今まで見えてなかった事が見え始めた、そんなブログです。

アビから「Sangoのキャリアについて」というタイトルでミーティング招待状が来ました。

 

 

そして、メールも。そのメールには、キャリア・ディヴェロップメントと題した空っぽの表があり、そこに、今までの自分の目標、自分の強みや今後の課題などを書く欄があった。で、それを、ミーティングまでに「出来たら」埋めてね、「完璧じゃなくていいから」とメッセージが添えてあった。

 

 

なめんなよ。出来たら?まったく同じ内容、さらに突っ込んだ自分の問題点、今の役職での制限、諸々書き込んだパワポを用意してあるわ。ってか、それを使ってリズと話をしたんじゃ。

 

 

アビ: まずは、表を埋めてくれたんだね。ありがとう。時間かかった?

私: ううん。リズと話した時に使ったやつをコピペしたから、30秒でした。

アビ: そうなの?

私: うん。リズと話をするのに、きちんと筋道立てて話をした方がいいし、彼女は視覚優勢だから。それに、本部長クラスと話をするのに、手ぶらもなんでしょうし。問題点も洗い出して、書いたけど。

アビ: ・・・そう。僕はこのパワポは読まないからね!

 

 

・・・ははぁ・・・なるほど。大ボス風吹かせたまま、このキャリア・ディヴェロップメントの会話をしたいのか・・・。まぁ、大ボスですので。ぞんぶんに風を吹かせてください。どうぞ・・・。

 

 

私: ハイ。

アビ: あと、このミーティングにちょっと遅れてごめん。さっきまで、別の人のメンタリングをしてたんだ。

私: そうなんや。

アビ: 「今後の面接において、どういう事を気を付けるべきか」って聞かれたから、それについて30分ほど話した最後に。急に言い出したんだ。「これから5時間後に、Aさんの面接なんだ」って。で、「は?Aさんと?何の面接?なんの役職?」って聞いたら、ようやくその話をしだしたんだ。で、僕は言ったんだよ「君ね、それが君が気を付けるべきところだよ!このミーティングをする前に、もうすぐAさんとの面接があって、それがどういう役職で・・・って事を言ってくれたら、君、面接すらしなくてよかったよ?僕が推薦できたのに!」って。

私: ですよね。

 

 

・・・なんや、この下り。私のキャリアの話に必要か?いや、なんか「オレは、いいアドバイスをしてやったぜ」的な、前置きをしたいんか・・・?なんじゃこれ。

 

 

私: 確かにそうですね。

アビ: 30分無駄にしたよ!

私: あ、私、おじい本部長とのメンタリングは、10分でしたよ?

アビ: え?

私: 速攻でした。

アビ: 何を話したの?

私: え?ひみつ。

アビ: ・・・君さ、そういう事は話してくれないと。

私: 別に、アビに問題にはならないから、大丈夫。

アビ: そういう事じゃなくて!わかってる?もともとおじい本部長の下に居たのに、僕の所に移動して。今度は僕の所に移動したら、おじい本部長の下に移動したいって?それが、どういう事かわかる?

私: ウン。別に、Chief of Staffじゃないよ?

アビ: そういう問題じゃないよ。君は、乗り換えようとしてるって事だよ?おじい本部長のレベルを捕まえて。

私: ウン。信用失ったような気がするよ(笑)。もう気が付いてる。でも、いいの。

アビ: 良くないよ!君はわかってないんだ!

私: わかってるよ。何をしたかって事ぐらい。

アビ: リズとうまく行ってないって言ったのか?

私: 言ってないよー!さすがに言わないよ。ただ、もともと予定していたプロジェクトも終わったし、もう、組織の諸々は出来たかなと。で、リズとも話をして、リズも「プロジェクトは終わり」って事を言ったので、「じゃあ、そろそろ次探すかな」ってなってますって。

アビ: 君さ、おじい本部長の下に居た時に、事務作業みたいなのばっかりでいやだって言って、僕の所にうつったよね?で、今度は、リズからおじい本部長へ?

私: おじい本部長に、そんな事言うてないもん。「どうしたらいいんかな」って相談しただけやもん。

アビ: おじい本部長に?!

私: そう。

アビ: あのランクの人に?!

 

 

ああ。そうか、おじい本部長は、アビを採用した人だった。だからか。私は、おじい本部長は、おじい本部長なんやけどなー。

 

 

私: まぁ、多少評判は落ちたと思うけど。おっしゃる通り、「短期間で飽きすぎやろ」って思うやろうから。でも、そもそもあのランクの大物やもの。私みたいな小物の評判が落ちようが、どうだろうが。かまへんやろ。

アビ: 君ね!!!!!!!はぁ・・・!まったく!君の悪いところだよ!

私: 何がでしょう。

 

アビ: 君、ステフやメガネ兄さんの所にも行って、仕事探しただろ?君、水辺をばしゃばしゃしすぎなんだよ!もっと水面下でやらないと!君は、そういう所あるよ!

私: ステフとメガネ兄さんの所には、行ってないよ?

アビ: え?そう言ってたじゃないか。

私: 行ってない。だって、あの人達に「仕事頂戴」って言ったら、すぐにくれちゃうもん。行かないよ。

アビ: メガネ兄さんと話をしたって言ったじゃないか。

私: うん。メガネ兄さん、久々に話したら、4時間ずーっとお話してた。いかに、アビの部署でもっと色々ちゃんと業務プロセスを改善しなきゃいけないかって事。

アビ: ・・・。

私: そんで「Sangoぐらいしかできる人いないんじゃないの?アビに言いなよ!」っていうから。「やだよぉ。確かにできるけど。やりたくないもぉん」って言う話を、数時間したって言うただけやで?「仕事くれ」なんて言うてないし。

アビ: ・・・。

 

 

アビ: ステフは?

私: ステフ、今、いっぱい人探してるから。じゃんじゃん雇ってるから。だから、最悪ステフのところにやったら、いけるかも。って、言うただけやで?

アビ: 言ってないの?

私: 言ってない。みんなに言われるけど。「Sango、ステフから声かからないの?」って。やんわりかかるのを全部交わしてるから、声かかってないよ。私から行けば、一発で仕事くれるけど。

アビ: ・・・。

 

アビ: じゃあ、おじいは?

私: おじい本部長は、セシルが抜けたから、組織編制を変えるんやって。だから、組織編制が変わった時に、もしかしたら私みたいなのが必要になるかもしれないって。「マリアと連絡取り続けなさい」って言われた。まぁ、だから「そんな事で、今後僕に連絡してくるな」ってメッセージだと受け取った。でも、仕事はもらえそう。

 

アビ: ・・・君、なんでそんな事したの。はぁ!君、本当に!そういう所あるよ!Self-regulation (自制心)。君は、自制心が足りないよ。

私: ウン。知ってる。

アビ: Emotional intelligence (エモーショナル・インテリジェンス)には、2つのパートがある。一つは、self-awareness(自覚)そして、二つ目が自制心だ。君は、自覚はあるが、自制心が足りない!

私: ウン。知ってる。ADHD脳だもん。

アビ: ・・・(一瞬目が泳ぐ)で、ええと。

 

 

どう反応するかなーと思ったけど、そこスルーしやがった(笑)。この人も、まだNeuro-diversityについて話すのは、心地良くはないのだな。

 

 

私: あ、スルーるんや(笑)。ADHDスルーされた(笑)。

アビ: ・・・(ちょっとバツが悪そう)とにかく、自制心。いいね、君は自制心を養いなさい。この、君が今後改善しなきゃいけないところに書いておくから。いいね。

私: ハーイ。

 

 

アビ: ところで、リズには、もう君の事については、同意してるから。

私: ・・・ハイ。

アビ: リズにも、同情の余地はあるんだ。ってか、僕はリズに同情するよ。正直、リズのチームは子供っぽすぎる。リズ自身は本部長どころか、部長みたいな行動をするし。リズの下の部長たちは、みんなマネージャーみたいな言動をする。もっと全員がエグゼクティブみたいに仕事をしなきゃいけないのに!

私: ハイ。

アビ: だから、リズがあんな風になるのも同情できるんだ!

 

 

と、ここで数分かけて、リズがいかにかわいそうかをお話しだした。私はそれを聞きながら、「あー。アビ。引っ張られてる。引っ張られてるよ?この人も、私と同じぐらいHSP濃いめなので、相手に同調しすぎるもんなぁ。」と思っていた。

 

 

アビ: だから、正直、リズを僕はかわいそうに思うんだ!

私:うん。同意します。今度は、1分、私から言われてくれる?

アビ: ・・・ウン。

 

私: それは、一番最初に聞いてたし、だから、リズに私はパートナーシップを提案した。「私はChief of staffとして、あなたのパートナーになる。あなたが作りたいチームを作っていくパートナーになる。だから、私を信じて、私に任せて、私にそういうチームを作る手伝いをさせてね」って。だから、初顔合わせはうまく行ったんやで。リズが私に任せたから。リズも、めっちゃ満足だった。

 

私: でも、多分、リズ自身が不安になるにつれて、自分が何もかもコントロールせなあかんって思い出すようになったんやと思う。で、めっちゃマイクロマネジメントになるねん。その度に、私も話をして、リズに気が付いてもらおうと思ったけど。すればするほど、もう余計にマイクロマネジメントになるし。しまいには、ラニさんと私の事も、しょうもない事まできっちりコントロールしようとする始末。そんなんに時間かけんと、本部長の仕事に専念せぇよ・・・と何度も思ったし、婉曲にだけれど伝えようとした。

 

私: でも、もう無理やねん。リズは自分の不安をコントロールできんし、その不安をコントロールできないから、私の仕事をコントロールする事で、不安を解消しようとしてる。彼女が本当に必要なのは、確かに、私のように彼女のパートナーになって、チームを持ちあげられる人やし、私もそれができると思ってる。でも、リズが、私にそれをさせてくれへんねん。

 

アビ: まぁ、リズっていうより、この会社全体がそういう文化なんだよ。

私: どうかな。文化っていうより、脳の傾向じゃないかな。知ってる? Neurodivergent って。

アビ: ・・・ええと。まぁ、とにかく。

 

 

ああ。アビは、まだこの話、スルーか。これだけ感覚的にそれをつかむ事が出来ても、やっぱり、Neurodivergentではなく、「障碍特性」として受け取りがちで、話すのはタブーとしてしまうんやなぁ。正直、Neurodivergentという考えを理解したら、割とすっきりと色々説明つくねん。レオナルド・ダヴィンチも、エジソンも、ビルゲイツも、イーロンマスクも、スティーブ・ジョブズも、多分、ドナルド・トランプも、みんな何かめちゃくちゃ秀でてる代わりに、どっかが「うっそぉ?」というぐらい凸凹な奇才や。それを知って、自覚して、その上でその人をサポートしたら、上手く行くと思うねん。

 

 

アビ: 確かに、こういうリーダーにはセラピストは必要だよ?

私: ・・・(セラピスト?)。

 

 

はぁ?そういう事いうてるんちゃうわ。発達障碍を受け入れるのと、セラピストはまた別の話じゃ。この人、あんまりこの辺の話、詳しくないんやな。でも、知ってる風にしておきたいのか・・・。ってか、これも、私と同じ脳の傾向なのになぁ。どうしても、「知らない」は言えないんやな。どうしても負けられない。どうしても勝っておきたいんやなぁ(笑)。

 

 

まだまだ続く。