雑誌の休刊の報せを聞くのはいつも残念な事で、ましてその雑誌が以前購読していて何となく読まなくなったものだと、僕が購読続けてたらなあと夢想しなくもない。

売上が一冊増えたぐらいで持ちこたえる事なんて、まあ無いだろうけども。


この年末発売の2024年冬号を以て、自作PC専門情報誌「DOS/V POWER REPORT」(通称:パワレポ)が、休刊になった。 

僕はこの雑誌、働き始めてPC自作を始めてから、ライバル誌の日経WinPC(2013年休刊)と併せて読んでいた。


全体的に硬いWinPCと違い、いい意味でおおらかというか適当なパワレポの方を好ましく思っていて、こちらの購読を優先していたのだが、あんまり自作PCの構成を入れ替える事も無いし、PCにおける技術的な進歩が誌面を読んでいて感じなくなった。

だからまあ、サブスクに読み放題で入って気が向いたら読む程度の感じではあった。


ただこうして改めて休刊の報せを聞くとそれなりにショックであり、最終号ぐらいはせめて売上に貢献しようと思い立って書店に向かう事にしたのである。


自作PC雑誌が10年代以降に勢いを無くしたのは、ゼロ年代から10年代初頭程の技術的進歩を感じづらくなったからである。


先に挙げた年代は、シングルコアCPUからデュアルコア・クアッドコアへの進化、32bitから64bitへの切替で大容量のメモリを利用出来る様になり、PCのスペックが飛躍的に上昇した。

そしてそのスペックを体感する為には、割高な、いや超絶に割高なメーカーPCを買っていたらいくらお金があっても足りやしなかった。

だからその指南書とか、パーツトレンドを知る為に自作PC雑誌のニーズが強かったのだ。


ただ現在ではドスパラやマウスコンピューターに代表されるBTO(スペック指定しての受注生産)メーカーが勢いを強めており、メジャーメーカーよりも遥かに安く、ひょっとしたら自作よりも安く上がる状況も出て来た。


致命的なのは、紙媒体での情報更新だとネット時代の情報量を拾い切れないのもある。

パワレポの発行元のインプレスは、AKIBAPC HOTLINEという秋葉原や自作PCのトレンドを扱うサイトがあり、僕も自作の情報はそちらを見て追っていたのである。


様々な理由を書き連ねると、休刊は妥当では、ある。

でもビジネス的にはそう理解出来ても、心情的にはそうもいかない。


そう思いながら書店の雑誌コーナーを探したのだが、全く見当たらない。

ガジェット誌だろと思ったが、訪れた書店のカテゴリ的にはPC書籍の扱いらしい。

やれやれとエスカレータを登り、6階のコーナーまで向かい目的のパワレポ最終号を確保した。

相変わらず広告が多くて何だか懐かしいのだが、こういう雑誌も当分見ないのだろうと思うと、少し悲しくもなる。

ただパワレポが見当たらずに右往左往してた際に、ブルータスのムック「珍奇鉱物」ハンドブックを見付けた。 


何かの終わりに自分なりに立ち合ったら、また思いもしない何かに出会う。

こうしたセレンディピティが年末にあると、何だか嬉しいものである。


そんな細やかな幸運が、この年の瀬にこうしょーもないブログに行き着いた方に、本年であれ新年であれ、訪れる事をお祈りして色々しんどかった2023年のシメようと思う。

皆様、本当にお疲れ様でした。