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信長「いや。最後にもうひとつ秀吉に贈るものがある。ついてこい」

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信長様に連れられて、皆で家の裏口へ行くと、そこには低い木が一本植えられていた。

「あれ?ここに木なんてなかったはず・・・・・・」

信長「貴様らが馬の世話をしている間に、俺と三成と光秀が用意した。秀吉。貴様の、誕生日の記念だ」

秀吉「・・・・・・!」

(もしかして、お祝いの記念樹ってことかな)
思わぬサプライズに驚く。

三成「ゆう様の言葉を聞いて、信長様が思いつかれたそうですよ」

「私の?」

信長「言っていただろう。皆が秀吉を祝う気持ちも、ここに残したいと」

(あ・・・そうだ・・・・・・)


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「皆が秀吉さんをお祝いする気持ちも、形で残していけたらいいのにな」

信長「形か。なるほどな」

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信長様が、秀吉さんを真っ直ぐに見据える。

信長「この木がこれからも成長していくように、織田軍一同、今後の貴様の働きに期待している」

秀吉さんは、信長様に深々と頭を下げる。

秀吉「そのようなお言葉を頂けるとは、身に余る光栄でございます。この秀吉、今後も一層精進し、織田軍を支えて参ります!」

(秀吉さん、すごく嬉しそうだな。素敵なお誕生日になってよかった)

三成「秀吉様、これからもどうぞよろしくお願い致します」

光秀「たまに庭の手入れをしにきてやってもいいぞ。さて、何を植えようか」

秀吉「遠慮しとく。お前なら、今度こそ人参を植え付けそうだ」

光秀「さあ、どうだかな」

いつものように飄々と受け流す光秀さんに、秀吉さんは眉をひそめていたけれど、すぐにふっと表情を和らげた。

秀吉「でもまあ、ありがとな」

(この木は、皆と秀吉さんの絆なんだ)
胸に広がる感動を味わっていると、そんな私に信長様が何かを差し出した。

信長「これはふたりで育てろ」

受け取って、紙に包まれた中身を覗く。

「これは・・・・・・木の苗、ですか?」

信長「ああ。時々、ふたりでこれの世話をしに来るがいい」

光秀「仕事人間の秀吉には、良い休養になる------という信長様のお気遣いだ」

三成「秀吉様、私からはこちらを」

三成くんは大量の書物を渡した。

三成「植物に関するものを集めました。よかったらご参考に」

秀吉「さすが三成だな。助かるよ」

「皆さん、ありがとうございます・・・・・・!」

(育てるの、楽しみだな)
慈しむように苗を見つめていると、私の手を、秀吉さんがそっと包む。

秀吉「皆の木と同じくらい、俺たちで大きくしような」

「うん・・・!」

光秀「やれやれ、お熱いことだ。では我々は失礼しますか、信長様」

信長「そうだな」

秀吉「・・・?もうお帰りになるんですか?お疲れでしょうし休憩していかれては・・・・・・」

信長「いや、俺たちのやることは終わった。後はふたり水入らずで過ごせ」

そして、皆は秀吉さんにお祝いを告げて、安土城へと先に帰っていった。

秀吉「さてと」

穏やかな笑顔を向けながら、秀吉さんは私の髪に指をすべらせた。

秀吉「せっかくだから、今夜はここに泊まっていくか」

「・・・!いいの?」

秀吉「ああ。お前も確か明日は休みだろ?」

「うん」

秀吉「それなら問題ない。家ができた記念すべき一日目は、お前と過ごしたいんだ」

「秀吉さんとふたりで、ここでゆっくりできるんだね。嬉しいな」

秀吉「当たり前だろ。お前と俺の家だからな」

その後、泊まるのに必要なものを買うために、私たちは城下へ出かけた。

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夜になり------食事を済ませた私たちは、綺麗になった部屋でくつろいでいた。
(ここで飲むお茶も美味しい)

「秀吉さん、お誕生日おめでとう」

秀吉「おう。ありがとな」

「そういえば・・・・・・この家、風が入らなくてあったかいね」

秀吉「ゆうが心地よくすごせるように、色々工夫した造りを考えたんだ」

「・・・!そうなんだ。ありがとう」

(ふたりで過ごす日を想像して建てられたんだと思うと、もっとこの家が大好きになるな)

秀吉「そろそろ眠るか」

「うん」

馬で運んできた布団を出し、ふたりで敷いていく。終わってから秀吉さんの隣に腰を下ろすと、幸せそうな眼差しに見つめられる。

「どうしたの?」

秀吉「いや、もしかしたら・・・・・・こういうこじんまりした場所でお前と家庭を築く、そんな未来もあったのかもしれないと思ってな」

(家庭、か・・・・・・)
想像すると照れてしまうけれど・・・・・・

「私もよく想像するよ。秀吉さんとの未来には、どんなことが待ってるのかなって」

甘くて淡い気持ちを素直に伝えると、秀吉さんの手が私の頬に触れた。

秀吉「どんなことって、怖いことも考えるか?」

「もちろん、戦とか怖いことはあるだろうけど・・・・・・」

(秀吉さんとの未来で一番に思い浮かぶのは、一緒に笑ってる私たちの姿だから)

「秀吉さんが幸せな時間をたくさんくれたから、これからもきっと幸せだって信じられるよ。ありがとう」

笑顔で告げた私に、秀吉さんがふっと目元をゆるませる。そのまま顔を傾けて------・・・

「ん・・・・・・」

私の唇に優しくキスを落とした。

「・・・、ふ・・・・・・」

何度か唇を食んだ後、秀吉さんは甘く溶けた眼差しを向ける。

秀吉「幸せな時間をくれたのは、お前の方だ。これからどこでどんな風に生きようと、これだけは言える。お前の代わりなんていない。お前じゃなきゃ、だめなんだ」

熱を帯びた眼差しに射抜かれて、高鳴る鼓動が体中に響き渡る。

「私も、秀吉さんじゃないとだめ。秀吉さんさえいれば、どんな未来も生きられるよ」

秀吉「ゆう・・・・・・今すぐ、お前を抱きたい」

優しさの中に滲む男らしさが、私の熱を煽る。

「うん」

(今日は秀吉さんの誕生日だけど、私も生まれてきてよかったって思う。だって、秀吉さんと出逢えたから・・・・・・)
とろけるような口づけに翻弄されながら------・・・これから訪れる甘い夜の予感に、胸が震えた------