家康「・・・・・・無事じゃなかったら、ただじゃ置かないから」

 

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ふたり分の荒い呼吸の音だけが、川のせせらぎに混じる。息も絶え絶えで、政宗と二人、川岸に仰向けに寝そべり、私は呆然と、綺麗な星空を見上げていた。


政宗「おい、生きてるか?」


疲れきってはいるけれど明るい政宗の声が、隣から飛んでくる。


「し・・・・・・死ぬかと思った」


崖から飛び込んだ私達は、下を流れていた川に流され・・・・・・私は、ずっと私を腕に抱えて舵取りをしてくれた政宗のお陰で、こうして穏やかな川岸にたどりつくことができていた。


「が、崖から川に飛び込むなんて、無謀すぎる・・・・・・」


政宗「ちゃんと高さは確認したぞ、崖際に立った時に。あの程度の高さなら前に飛び込んだことがある。・・・・・・顕如が一瞬ためらうことは、話しててわかった。あとは隙をついて飛び込めるかにかかってたが・・・・・・お前の度胸に賭けて、正解だったな」


「ふわって・・・・・・お腹がふわってした・・・・・・」


政宗「はは、まあまあ高かったからな」


隣で政宗が軽快に笑う。それを聴きながら、私は身体中がくすぐったく疼くのを感じていた。

(どうしてだろう・・・・・・ものすごく、怖かったのに、手も、足も、まだ、震えてるのになぜか笑いがこみ上げてきて、こらえ切れない。


「・・・・・・ふっ、はは、あはは・・・・・・っ」


政宗「な、なんだ急に。頭打ったか・・・・・・?」


急に笑い出した私を、政宗が身体を起こして覗き込む。


「っ、ううん、ごめん、違うの。すっごく、怖くてたまらなかったのに、うまく、説明できないんだけど、今、すっごく、楽しいの」


政宗「・・・・・・!・・・・・・奇遇だな、俺もだ」


ふっと笑った政宗と顔を見合わせていると、また笑いがこみ上げてきて、ふたりして吹き出してしまう。


政宗「おい、人の顔見て吹き出すな、失礼だぞ」


「ふ、ふふ・・・・・・っ、政宗こそ」


全身ずぶ濡れで少し寒い。河原の草が素肌にちくちくしてくすぐったい。満点の星空が綺麗。隣で

笑う政宗の笑顔が眩しい。ありふれた風景が、全部キラキラして見えた。

(どんなピンチや、怖い目にあっても、乗り越えればこんな風に、笑い飛ばせちゃうんだ、きっと)


「政宗、あのね・・・・・・」


政宗「ん・・・・・・?」


(政宗と一緒なら、どんなことも、乗り越えられるから。きっと一生、笑っていられる)


「私・・・・・・政宗に恋して、よかった。政宗を好きになって、よかった」


政宗「・・・・・・!・・・・・・不意打ちで口説くの、やめろ」


あふれてくる想いを言葉にすると、政宗は気恥ずかしそうに顔をしかめた。

(あ・・・・・・照れてる)


珍しい姿に、胸がきゅんと疼く。

(いつもは自分が不意打ちで口説いて来るくせに)


1. 照れてる


2. どうして?      ♡


3. 可愛い


「どうして私は口説いちゃだめなの?」


「・・・・・・どうしても」


むにゅ、と頬を片手で挟まれて、ぐっと顔が近づいた。政宗の濡れた髪から、冷たいしずくが頬に落ちる。

(あれ・・・・・・この感じ、前にも・・・・・・)


政宗「この状況、前にもあったな」


「うん・・・・・・いつだっけ」


政宗「・・・・・・お前と出逢ったばっかりの頃、湖に落ちた時、か?」


「あ、それだ!・・・・・・懐かしいね」


(大名の謀反騒ぎで、命を助けてくれた政宗にお礼がしたいって申し出て、言い合いしてる内に、湖に落ちたんだっけ・・・・・・まだここに来たばかりで、ちょっと落ち込んでた私を・・・・・・政宗が、励ましてくれたんだった)



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「生まれたからには、全力で生きることを楽しむべきだ。命ある限り、自分自身の信条に恥じない生き方をするべきだ。そうしないと、絶対後悔する。怖がって隠れてても、楽しんでても、どうせ腹が減る。脅えて食う飯よりも笑って食う飯の方がうまいに決まってるだろ」


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(あの時、政宗が・・・・・・結局は、飯が美味いか否かだ、みたいな話をしてくれたおかげで、気が抜けて・・・・・・この時代に来て初めて、心から笑えたんだったっけ)

あの時の気持ちがよみがえって、また口元が緩むと、濡れた私の髪を、政宗の指先がそっと払った。


「政宗・・・・・・?」


政宗「・・・・・・あの時、初めてお前のその笑った顔見て、ただ触れたいって思ったんだ」


微笑んだ政宗の濡れた唇が、いつかのように私の唇に重なった。


「・・・・・・っ、ん・・・・・・」


(あの時から、何度もキスした。気まぐれなのも、特別なのも、たくさん・・・・・・)


「・・・・・・あれから政宗とは、口づけ

ばっかりしてる気がする」


政宗「嫌なのか?」


吐息の触れ合う距離で囁くと、政宗が下唇を食んでくる。


「ううん、・・・・・・もっと、いっぱいしたい」


首に腕を回すと、政宗がおかしそうに笑った。


政宗「・・・・・・あの時は、呆然としてた

だけだったくせに」


「・・・・・・政宗だって、気まぐれでしただけのくせに」


政宗「まあ、それについては否定しない」


額をくっつけると、あの頃と同じ、政宗の青い綺麗な瞳の奥に、あの頃とは違う、あたたかい熱が見える。


政宗「あの頃は、ただ、お前の笑顔が眩しくて、どうしてそんな風に笑えるのかすら、知らなかった」


「・・・・・・ん」


政宗「今はちゃんと、わかってるつもりだ。わかってるから・・・・・・なおさら、あの時より

お前の笑顔が眩しい」


私の身体の真上で、星空を背に、政宗が微笑む。

(悔しいくらい、かっこ良いなあ・・・・・・)


政宗の瞳にとらわれて、さっきから鼓動がずっと

高鳴っている。


政宗「お前の笑顔は俺が守る。・・・・・・約束だ」

 

「・・・・・・うん」


笑顔で頷くと、政宗の唇がまた、ほほ笑みとともに降りてきた。


政宗「・・・・・・俺も、お前を愛してよかった」


慈しむように、額に押し当てられた唇があたたかい。

(うん・・・・・・ありがとう、私も・・・・・・)


「・・・・・・好き・・・・・・政宗、大好き」


(政宗に出逢えて・・・・・・幸せだよ)

抱きしめてくれる腕が、重なった胸が、川の水に冷えた身体を、夜風から守ってくれている。ただ嬉しくて、幸せで、私も腕を政宗の背に回した。


(あ・・・・・・冷たい)

その時ようやく、私は政宗の身体の冷たさに気がついた。


「っ、政宗、交代しよう」


政宗「・・・・・・交代?」


「今度は私が、あっためてあげる」


政宗「あっ、こら」


ぐい、と私の上にある身体を横に引っ張ると、案外簡単に、政宗の身体は隣の草むらに転がった。

(私の身体じゃ、覆いきれないけど・・・・・・少しは風よけになるよね)


政宗の身体を夜風から守るように、覆いかぶさって抱きしめると、政宗が笑いながら髪を撫でてきた。


政宗「なにしてんだ、お前」


「風よけ・・・・・・の、つもり」


政宗「お前が寒いだろ、交代しろ」


「やだよ、まだ交代したばっかりの・・・・・・っ、あ」


ぐい、と身体を転がされて、また上を取られる。


「力技は卑怯だよ・・・・・・!」


政宗「悔しかったらまた上取ってみな」


さっきのように政宗の身体を引っ張ってみても、今度はびくともしない。


「・・・・・・っ、もう」


政宗「拗ねるなよ。お前の可愛い気持ちだけ、受け取っとくから」


(・・・・・・そういうの、ほんと、ずるい)


「そうやって甘やかして・・・・・・私がわがままになっても、知らないから」


政宗「別にいい。お前のわがままなら大歓迎だ」




長いよ。この感想な長いよ、ゆうちゃん 


政宗、ずっと川の中でゆうの腕に抱えて舵取りしてくれたのね〜 

じゃなきゃ死ぬよね。そのまま浮いてこなそう 


政宗「ちゃんと高さは確認したぞ」とか、軽い感じだし。。。


「お腹がふわってした」とか可愛言い方してるし。。。


まあまあ高かった?どのくらい高かったのかしら?


二人とも笑ってるって、すごいよ。この二人。


でも・・・・・・この二人のこんな和やかな関係と雰囲気が好き 


むにゅ、って頬挟まれちゃうんでしょ?


こんないたずらな感じの政宗が好きだな 


ゆうもさ、「もっと、いっぱいしたい」なんて、言えちゃうんだもんね。凄いお似合いだよ〜


何気にね、さりげなく、風よけで、濡れた身体を夜風から守ってくれてる政宗って、かっこいいよね〜。

愛してるから、自然とそうなるんだと思うけど、男らしいよねー。。。 


ゆうもさ、交代 とか言って❣️


政宗の「悔しかったらまた上とってみな」って。。。

この二人のこのやり取り、凄い好き


お互いがお互いを思い合ってるのを、茶目っ気たっぷりで笑いあえる二人は魅力的だと思う。


信長様幸福の恋ルートの最後の宿屋での二人のやり取りも、茶目っ気たっぷりで、ゆうはこういう二人のやり取りが好きみたい