ベネズエラ大統領選挙 投票日は28日 野党候補が大きくリードした状況でマドゥロ大統領の対応は? | 碧空

ベネズエラ大統領選挙 投票日は28日 野党候補が大きくリードした状況でマドゥロ大統領の対応は?

(ゴンザレス氏のキャンペーン【76日 ブラジル日報】 最近まで「無名の存在」だったため、ググってもあまり画像がありません)

 

【無名の存在だった野党候補が大きくリード マドゥロ大統領がこのまま選挙での敗北を認めるのか?】

アメリカ大統領選挙に関して、トランプ前大統領銃撃に続くバイデン大統領の辞退が大きく取り上げられていますが、その前に、残り1週間もない今月28日には南米ベネズエラで大統領選挙が「予定」されています。

 

世論調査によれば現職マドゥロ大統領を数か月前までは無名だった野党候補が大きくリードしており、このまま選挙が公正に行われれば、政権交代が予想されます。

 

独立系世論調査会社ORC6月後半の調査によると、14.2%のマドゥロ大統領に対し、野党候補ゴンザレス氏の支持率は58.6%大きくリードしています。ほかの複数の調査でもゴンザレス氏が優位に立っています。

 

しかし、マドゥロ大統領雄強権的政治スタイル、今回選挙にあたって有力野党候補の出馬を妨害阻止した経緯を考えると、このまま「負け戦」を淡々と実施するのか・・・確証がなくカッコ付きの予定と表記した次第です。

 

これまでの経緯や公正な選挙がおこなわれるかどうかの懸念については、74日ブログ‟ベネズエラ大統領選挙 野党候補が支持率で大幅リード・・・とは言うものの、結果は・・・・”でも取り上げたところです。

 

*****ベネズエラ政権交代に現実味? 3選狙う独裁者マドゥロを「無名の存在」が大幅リードも一切油断できない理由****

<マドゥロ大統領に挑むのは4月まで無名だった野党統一候補のエドムンド・ゴンザレス。支持率では現職を引き離しているが、「極端な戦術」を発動して選挙を阻む可能性も>

 

「変化を起こしたくて来たんだ」──5月のある日、ベネズエラの首都カラカスの西に位置する町ラビクトリアで選挙集会に参加していたバイク配達員のエリクソン・パチェコは言った。

演説していたのは、中道右派野党のリーダー、マリア・コリナ・マチャド。隣にいるのは、728日の大統領選に臨む野党統一候補のエドムンド・ゴンサレスだ。

 

大統領選は、3選を目指す反米左派のニコラス・マドゥロ大統領とゴンサレスの争いだ。元外交官のゴンサレスは、マドゥロ独裁政権により大統領選への立候補を阻まれたマチャドの代役として出馬した。

 

「初めて選挙集会に参加した」と、パチェコは言った。「これまでマドゥロに投票していて、マチャドは好きでなかった。でも今は大好きだ」

そう感じているのは、パチェコだけではない。いまベネズエラの政治に地殻変動が起きようとしている。

 

大統領選で政権交代が起きる可能性が現実味を帯びている。マドゥロの支持率が1020%にとどまっているのに対し、ゴンサレスの支持率は5060%に達しているのだ。

 

物静かなゴンサレスは、駐アルジェリア大使や駐アルゼンチン大使を歴任した経験こそあるが、4月に野党統一候補に決まるまでは国内でもほぼ無名の存在だった。しかし今では、幅広い野党勢力がゴンサレスを大統領に押し上げるべく一致結束している。

 

数カ月前まで、野党がここまで勢いを増すとは考えにくかった。ウゴ・チャベス前大統領の死を受けて2013年に大統領に就いたマドゥロは、次第に独裁的な傾向を増し、国内の締め付けを強化した。

 

近年も数百人の野党活動家を拘束したり、検閲を強化したり、不正選挙を行ったり、人気野党政治家の立候補を禁じたりしている。

 

その一方でベネズエラはこの数年間、極度の経済悪化に見舞われて、人道上の危機に陥っている。基礎的な公共サービスが崩壊し、この10年間で800万人近い国民が国外に脱出した。

 

この状況下でマドゥロ政権は昨年10月、アメリカによる経済制裁の緩和と引き換えに、自由で公正な大統領選挙を実施することを受け入れた(その後、同政権が合意を破ったとしてアメリカ政府は制裁緩和措置を停止している)。

 

現時点で野党陣営が選挙戦を有利に進めているが、投票日まで何があるか分からない。マドゥロ政権が極端な戦術を実行する可能性は排除できないと、専門家は指摘する。

 

例えば、ゴンサレスの候補者資格を停止したり、選挙を延期したり中止したりすることもあり得る。

 

その口実をつくるために、領土問題で対立する隣国ガイアナと武力衝突を起こす可能性もある(マドゥロ政権は、ガイアナの国土の半分以上を占める資源豊かな「エセキボ地域」を自国領と主張している)。

 

しかし、それ以上に大きい脅威は、投開票日当日の不正だろう。ベネズエラの選挙管理委員会は、マドゥロ政権の与党に牛耳られている。そこで、野党側は地滑り的な圧勝を遂げることにより、不正選挙で結果が動かされる余地を減らしたいと考えている。

 

政権交代を望む国民の多くは楽観的だ。「ベネズエラ社会は、目覚ましい回復力と自由への意欲を示してきた」と、政治学者のパオラ・バウティスタ・デ・アレマンは述べている。「その点は、政治組織にも市民社会にも、そして街頭にも見て取れる」【722日 Newsweek

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一番あり得るのは投票結果の不正操作です。

2017年の制憲議会選挙に関し、電子投票機を提供した企業が「政権が結果を改ざんした」と告発した事例もあります。

 

また、ベネズエラでは最高裁判所や選挙管理委員会は政権の影響下にあるとされ、選挙結果が無効にされることも十分にあり得ます。理由は・・・どうにでも捏造できるでしょう。

 

ただ、あまりに大差がついた状況で行うと、国民の大きな怒りを招くリスクがあります。そこまでやるのか・・・。

 

【マドゥロ大統領 野党勝利なら「血の海」と脅し すでに野党関係者拘束も】

一方、マドゥロ大統領は「血の海」という言葉を用いて脅しともとれるような発言をしています。

 

****マドゥロ氏、「血の海」避けるため再選が必要と主張 ベネズエラ大統領選****

南米ベネズエラのマドゥロ大統領は16日、首都カラカスのイベントで、支持者に対し、今月28日に予定されている大統領選をめぐり、「血の海」が引き起こされる可能性を避けるためには、自身の再選が必要だと述べた。

 

マドゥロ氏は「ベネズエラを血で血を洗う内戦に陥らせたくなければ」、与党が大統領選で勝利しなければならないと訴えた。

 

マドゥロ氏は、与党の勝利だけがベネズエラの「平和」を確保できるとし、「不可逆的な結果」を期待していると言い添えた。

 

ベネズエラでは前任者のウゴ・チャベス氏が2013年に死亡して以降、独裁色を強めるマドゥロ氏が10年以上にわたり実権を握っている。マドゥロ政権はこの間、不正投票や野党への弾圧をめぐり、批判を受けることも多かった。

 

マドゥロ氏は18年の大統領選でも勝利して再選を果たしたものの、中南米14カ国や米国、カナダがこの選挙を正統なものとは認めず、野党勢力の大部分も参加しなかった。

 

今年の大統領選は違ったものになるとの期待もあった。これは、マドゥロ政権が昨年、米国との間で、制裁の緩和と引き換えに自由で公正な選挙を実施するとの合意に達したためだ。

 

だが、最近になり野党勢力はこの合意をマドゥロ氏がほごにしたと批判している。野党の主要な候補者だったマリア・コリナ・マチャド氏とコリナ・ヨリス氏の2人は出馬を禁じられているほか、人権団体が先に発表した報告書によれば、選挙戦が始まった今月4日以降、「恣意(しい)的な拘束」が相次いでいるという。【718日 CNN

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“「ベネズエラを血で血を洗う内戦に陥らせたくなければ」、与党が大統領選で勝利しなければならない”・・・・もし野党が勝利したら、たとえ内戦状態になったとしても、自分たちは暴力で結果をひっくり返す・・・という表明に他なりませんが、こうした発言がまかり通るのがベネズエラです。

 

すでに野党関係者の拘束も行われています。

 

****ベネズエラ野党関係者、当局が拘束 28日の大統領選控え****

ベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏の治安担当責任者が17日に拘束された。同氏の政治活動団体ベンテ・ベネズエラが明らかにした。7月28日の大統領選を前にした拘束となる。(中略)

 

ベンテ・ベネズエラは、当局がマチャド氏の治安責任者ミルシアデス・アビラ氏を連行したと述べた。

 

マチャド氏は「マドゥロ大統領が選挙活動に携わる人々や国内のあらゆる場所で我々を支援する人々に対する弾圧をエスカレートさせていることについて世界に警告している」とXに投稿した。

 

米国務省報道官はアビラ氏の逮捕を懸念していると述べた。【718日 ロイター

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今後何が起こるかはわかりませんが、もし何事もなく投票が行われ、野党候補勝利による政権交代が起きたとしたら、そして、それをマドゥロ大統領が認めたとしたら、それが一番の大ニュースでしょう。