中国  自信を強める「特色ある社会主義」体制 地方政府改革の取り組み | 碧空
2018-06-04 22:55:04

中国  自信を強める「特色ある社会主義」体制 地方政府改革の取り組み

テーマ:中国

(海口市美蘭地区では、政府当局者が住民に意見を求めている【6月2日 WSJ】)

【「天安門事件」から29年 事件の風化を意図する中国 米国務長官は実態説明を求めるものの・・・】
29年前の6月4日、中国・北京の天安門広場で多くの若者がむき出しの権力のによって犠牲になりました。
その残虐さもさることながら、そこに至るまでの若者らの熱気に「ひょっとしたら中国は変わるのでは・・・」といった思いも抱き、また、政治混乱から内戦の可能性すら言及される状況に、TVニュースにくぎ付けになりました。

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天安門事件****
1989年6月3日深夜から4日未明にかけ、中国政府が軍を動員し、北京の天安門広場などで民主化を求めて集まっていた学生や一般市民のデモ隊を武力弾圧した事件。

当局の発表だけでも事件全体で約300人が死亡。死者約2600人、負傷者約1万人などとする説もある。最高指導者のトウ小平氏らが運動を「動乱」と断定したことが弾圧の引き金となった。【6月3日 産経】
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例によって、国内外の目がこの事件に向くのを嫌う中国当局は厳戒態勢を敷いています。

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天安門事件29年で厳戒 北京、警官多数を配置****
中国で民主化を求める学生らを当局が武力弾圧した1989年の天安門事件から4日で29年となった。当局は北京市中心部の天安門広場や事件の発生地に多数の警察官らを配置。習近平指導部は追悼や民主化要求の活動を警戒し、厳戒態勢を敷いている。
 
最も多くの犠牲者が出たとされる北京市西部の木セイ地では3日夜、こん棒を持った警察官らが通行人に目を光らせ、訪れた記者を尾行。事件が注目されることに神経をとがらせていた。
 
事件で子どもを亡くした親の会「天安門の母」は5月31日に事件の責任追及を訴える声明を発表したが、当局は黙殺した。【6月4日 共同】
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ネットでも事件関連のことは検索が禁じられているような当局の神経質な対応(うしろめたさの表れでもあるでしょうが)を考えると、「天安門の母」のような活動が黙認されていることは不思議でもありますが、国外の目を考えれば黙殺するのが一番・・・との判断でしょう。

中国の若者の多くは事件のことを知らないとも言われていますので、ことは“時間とともに風化する”という中国当局の意図する方向で進んでいるようです。

ポンペオ米国務長官の「十分な説明」を求める声明にも、中国側は「内政干渉」と一蹴しています。

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米国務長官、天安門事件の実態説明を=中国反発「内政干渉****
ポンペオ米国務長官は3日、中国で民主化運動が弾圧された「天安門事件」から4日で29年を迎えるのに合わせて声明を出し、事件の死者・行方不明者、拘束された人の数に関する「十分な説明」を中国政府に要求した。
 
この中でポンペオ氏は、昨年死去した中国の民主活動家、劉暁波氏がノーベル平和賞受賞の際に語った「6月4日の魂は今なお安らかに眠れないでいる」という言葉を引用。

事件の実態説明に加え、民主化運動に参加した人と家族に対する嫌がらせをやめるよう求めた。また、人権擁護は全ての国家の責務だとし、「中国政府に普遍的な権利と自由を尊重するよう要請する」と述べた。
 
これに対し、中国外務省の華春瑩・副報道局長は4日の記者会見で、「米国は中国政府にいわれのない非難を行い内政に干渉している」と反発した。華氏は「強烈な不満と断固とした反対」を表明し、米側に抗議したと明らかにした。【6月4日 時事】 
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トランプ大統領は選挙中のテレビ討論会で、天安門で起きたことを支持していないと強調した上で、「(中国政府は)暴動を抑え込んだ」と発言し、若者らの民主化運動を「暴動」と表現しています。

アメリカ大統領がそうした見識ですから、国務長官が何を言ったところで真実味がありません。


【中国 「特色ある社会主義」体制の西側民主主義体制への優位性を主張】
「天安門事件」を封印した中国は、習近平主席のもとで民主化要求・人権弾圧を一層強めていると指摘されています。そのたりの話は今回はパスします。

そして今や、中国の経済成長・政治安定を背景に、その「特色ある社会主義」への自信を強め、欧米的「民主主義」への優位性を主張するまでになっています。

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【環球異見・イタリア連立政権発足】ポピュリズムへの反省徹底を チャイナ・デーリー(中国)****
中国政府系英字紙チャイナ・デーリーは5月31日付の社説で、イタリア政治の混乱は、欧州連合(EU)が依然としてポピュリズムにもろい現状を表していると指摘した。
 
社説は、ユーロ離脱を主張するサボナ氏の経済財務相起用をマッタレッラ大統領が承認しなかったことについて「英国に続いてイタリアがEUを脱退することを防ごうとした」とし、「もしそうなれば、ヨーロッパ経済圏にとっては英国の脱退よりも大きな打撃となるだろう」と言及した。
 
さらに、EUの統一を守る必要があるのであれば「なぜポピュリズムが多くの欧州諸国で急速に躍進したのか」について、指導者たちが徹底的に反省する必要があると主張。「欧州の統合が所期の目的を達成したのか、もしそうでないならなぜなのかを反省しなければならない」と強調した。
 
では中国が欧米諸国に求める「反省」とは具体的に何なのか。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は3月にイタリアの総選挙が行われた直後、ポピュリズムの興隆は西側の民主主義体制自体に問題があると主張する社説を掲載した。
 
社説は、総選挙では伝統的な政党の衰微や極端な思想を持つ勢力の台頭、投票棄権者の増加など「西側の民主主義の危機」のあらゆる症状が表れたとする政治学者の指摘を引用。

「ここ数年、西側諸国の内部では民主主義体制への反省と批判が顕著に増加しており、以前の自負や楽観はなくなった」と論じ、暗に中国の「特色ある社会主義」体制の優位性を主張した。
 
「西側諸国の伝統的な政治勢力はいずれも、民衆との乖(かい)離(り)という危機に直面している」との指摘も同じ文脈の上にある。

「いかなる政治体制も、もし時代とともに前進しなければ、早晩、退場することになる」。中国の政治体制こそが時代に応じた変革を遂げていると言わんばかりに、「改革能力こそが国家の競争力を図る指標だ」と結んでいる。【6月4日 産経】
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「民主主義」国が“反省しなければならない”ことが多々あるのは事実でしょう。民主化要求・人権弾圧を続ける中国にそうした“上から目線”の発言をする資格はないのは当然ですが。


【リベラルな民主主義を危機にさらしているのは誰か?】
いすれにしても、民主主義、特にリベラリズムは今や中国、ロシア等権威主義諸国の台頭で脅かされているとも言われていますが、下記はそうした見方への“米国の碩学”ジョセフ・ナイ氏の反論です。

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中国、ロシアに脅かされる「リベラリズム****
米国の碩学ジョセフ・ナイが、5月9日付けでProject Syndicateに掲載された論説において、リベラリズムは、中国、ロシア等権威主義諸国の台頭で脅かされているが、意を同じくする諸国と共に頑張れば大丈夫である、と述べている。論説の要旨は以下の通りである。
 
1948年の「世界人権宣言」が述べているようなリベラルな国際秩序に死を宣告する者がこの頃多い。ロシアと中国という2大強国(注:ロシアのGDPは韓国以下であるが)がリベラリズムに反対している現在、リベラリズムを維持することはできないと言うのである。

5年もすれば、「自由でない」諸国のGDP合計は、西側のリベラル民主主義諸国のGDP合計を上回るだろうと、彼らは言う。
 
しかし、それは購買力平価でGDPを測った場合の話しであろう。実際には米国のGDP20兆ドルに対して中国は12兆ドル、ロシアは2.5兆ドルしかない。しかも、中ロはその性質、国益を大いに異にし、これを「権威主義枢軸」と一括りにとらえるのは適当でない。
 
ロシアの海外宣伝工作能力の脅威がこの頃喧伝されているが、ロシアのメディアは外国にさしたる影響を与えていない。ロシアはソフト・パワーも欠く。

中国はその資力をソフト・パワーとして使い、巨大な国内市場へのアクセスを調節することで、諸国を従えている。
 
しかし、中国の力を過大視するべきでない。米国は民主的な日本、豪州との同盟を維持し、インドとの関係を促進すれば、アジアでの立場を維持することができる。

軍事バランスで中国は米国にはるかに劣り、今後の人口構成(注:中国で老年人口が増える反対に、米国は若年人口が多い)、科学技術、世界通貨体制、エネルギー自給度等で、米国は中国よりはるかに優位である。しかも、習近平の力がいつまで続くかわからない。
 
従って、環境問題や国際金融問題について中国との協力を続けることで、現在の世界秩序のいく分かを維持していくことはできるだろう。

問題は、リベラリズムをどうやって維持するかということだ。米国政府はEU等、立場を同じにする国々と、「人権問題委員会」のようなもの、例えば世界の主要な民主主義国を集めたG10を形成し、非民主主義の中国、ロシア、サウジを含むG20 の枠内で、経済に焦点を当てながら価値観の問題を話し合っていくことができよう。

Samuel Huntington教授の言う民主主義の「第三の波」(注:民主化の反動としての権威主義台頭)がリベラルな民主主義に及ぼす脅威には留意するべきだが、それが人権を見限る理由にはならない。【6月4日 WEDGE】
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上記主張の内容はともかく、リベラリズムを脅威にさらしているのは中国・ロシアではなく、当のアメリカの最近の言動ではないか・・・というのが、正直な印象。

その意味で、上記ナイ氏主張への【WEDGE】の評論には同意です。

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ナイの趣旨には賛成である。しかし、いくつか留保を付したい。
 
まず、リベラリズムとは何なのか? 何よりもそれは個人の自由を意味するが、他人の自由も尊重することによって、文化的多様性の許容、他者の価値観への寛容性にもつながるものである。

それは、かなり「貴族的」とも言えるものであり、衣食住足りた者でなければ、リベラリズムなど標榜できたものではない。

産業革命以後、衣食住足りた者が飛躍的に増大し、皆選挙権を与えられたが、それによって問題が生じている。経済状態が悪くなり、格差が広がれば、往々にして、人間はポピュリスト、ファシストの政治家に煽動されて、リベラリズムを圧迫するに至るのである。
 
また、リベラリズムは、それを標榜する者のエゴイズムと偽善をヴェールの裏に隠していることがある。米国・西欧の「民主主義促進NGO」は独善主義、かつ利己主義に陥ることも少なくない。(中略)

さらに言うならば、リベラリズムを支えてきた米国でトランプ大統領が当選したことが、リベラリズムの復活を最も難しくしている。

彼は、少数者の権利が向上する中で自分達の権利は制限されてきた白人男性等、リベラリズムの「被害」を受けた者達の支持で当選した人物である。ナイの言う、「民主主義を奉ずる国の集まりG10」にトランプが入る図は想像できない。
 
ことによると、この一文におけるナイの目的は、「権威主義諸国がこれから世界の主流になるのだから、米国も彼らと同じように力を前面に出して振る舞えばいい」とする、米国内部での一部論者を戒めることにあるのかもしれない。

「民主主義の『第三の波』がリベラルな民主主義に及ぼす脅威」に言及したくだりは、暗にトランプ政権を批判しているとも読める。それならば賛成できる。

しかし、いずれにしても、日本が戦後築いた自由で格差の小さい豊かな社会は、米国を凌ぐものとなっており、これを守るのは将来の世代に対する義務である。米国がどうこうと言うより、日本自身の利益として、これを確保していく現実的なやり方を考えていくべきであろう。【同上】
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【中国指導部の一党支配延命の取り組み 地方政府の改革】
中国共産党政権の非民主的体質については指摘すべき点は多々ありますが、彼らも馬鹿ではないので、延命のための彼らなりの取り組みは行っています。

習近平政権が力を入れる「反腐敗闘争」もその一つでしょう。

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中国官吏の自殺相次ぐ 1週間で4人…「反腐敗」成果急ぐ****
中国で今月下旬、北京市政府の幹部ら各地の官吏が1週間足らずで4人自殺した。

習近平指導部は今年3月に「反腐敗闘争」を制度化する監察機関「国家監察委員会」を新設したばかりで、各地の出先機関が成果を挙げるために汚職摘発を強化している影響の可能性がある。(後略)【5月29日 産経】
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また、中央の党指導部の危機意識が地方に共有されず、地方政府の在り様が中国社会の問題を大きくしているとも見られており、党中央としては地方政府の改革が急務となっています。

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<中国>農村部の教師らデモ 報道容認、地方へ警告か***


(中国のネット上で話題になった、数人の警官がデモに参加した女性教師を取り押さえる様子)

中国で農村部の教師らによる待遇改善を求めるデモが相次ぎ、関心を集めている。

警察官が強引に教師を取り押さえる映像がインターネット上に流れ、非難が殺到した。国内メディアも地方行政の不備を批判し、地元政府が対応の非を認める事態に発展した。
 
◇警官が強引取り押さえ ネットで流れ非難集中
厳しい情報統制の対象となるデモの報道が一部容認されたのは、批判の矛先を地方にとどめるガス抜きと共に、中央集権を強める習近平指導部が、地方政府の引き締めを図る意図もありそうだ。
 
ネット上の情報を総合すると、4月以降、内陸部の陝西省、湖南省、安徽省などで教師たちのデモが発生。安徽省六安市では5月27日、農村部の教師ら約200人が、他地域で支払われている年間2万元弱(約30万円)の手当が未払いなどとして市庁舎へ向かった。

警察側ともみ合いになり十数人が連行され、警官が女性教師を後ろ手にして押さえつけたり、男性教師が手錠をかけられたりする映像がネットで拡散した。
 
当局の横暴な振る舞いは波紋を広げ、28日に大手紙の光明日報が電子版の論評で「未払いは憲法や関連法に違反し、責任者にわずかな法治意識さえないことが背後にある」と痛烈に批判。六安市政府は29日、手当の未払いは否定しながら、「少数の警官による粗暴な対応を心から謝罪する」と表明した。(中略)

共産党機関紙・人民日報系のネットメディアは30日、教育専門家の分析として「国家の統一的な政策と、地方政府の執行力のずれが浮き彫りになった」と伝えた。

習指導部は中央主導で農村を中心に民生向上に力を入れているが、一部地方の執行力に問題があり、不満を招いているという論理だ。習指導部は今年1月、地方の公立小中学校の教師に「国家の公職員」の地位を与える方針を示した。国家が教師を直接的に管理し、統制しやすくする狙いがあるとみられる。【6月2日 毎日】
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また、一部地方政府では、地方政府の評判を改善させるため、地方政府予算の使い道について住民投票が実施されるとか。

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中国で住民投票、「実行可能な」改革とは****
地方政府の評判を上げ、それに伴い権威強化も狙う

中国の緑豊かなある臨海都市で、同国では珍しい試みが行われようとしている。地方政府予算の使い道について、住民投票が実施されるというのだ。
 
中国の複数の都市では現在、市民に発言権を与えようとする取り組みが進められており、海南省・海口市もその1つだ。こうした都市は一方で、地方政府の評判を上げ、それに伴い政府の権威を強化することも狙っている。
 
海口市美蘭地区は、公園や高齢者向けサービスなど、生活の質向上に向けて、住民から意見を公募。予算の1%程度を占める1200万元(約2億円)の使途を巡り、住民から寄せられた提案について今週、住民投票を実施する。

中国国民の不満は、とりわけ地元関連の問題に集中する。世論調査によると、中央政府の指導部は国民から幅広い支持を集めているが、治安や住宅といった日常に根ざした政策を担当する地元当局者への満足度はかなり低いもようだ。中国では多くの地域において、汚職、無関心、過度な官僚主義といった問題への不満が目立つ。
 
中国の習近平国家主席はこうした市民の懸念に対処する必要があると主張しており、公務員に対し、サービスに力を入れるよう促している。(中略)

海口の地元当局者は、それがたとえ予算全体の一部に過ぎなくても、使途について住民投票の実施を認めることで、公務員に対する市民の評価を上げる一助になると考えている。(中略)

海口のプログラムの助言役を務めるウー・ハイニン氏は、こうした試みは、中国にとって実行可能な政治改革を体現すると述べる。つまり、市民に声を与える一方で、政府を脅かさないという微妙なバランスの上に成り立つ改革だ。
 
「住民が投票を行うのは、鶏の羽やニンニクの皮(ささいなことを指す慣用句)に関するものだ」と述べる。「状況の不安定化を招くものではない」
 
習主席は中国の政治制度について、「人類の政治文明に対する多大な貢献」だと述べている。
また同時に、中国国営メディアは、英国の欧州連合(EU)離脱決定やトランプ氏の米大統領当選といった事例は、欧米の政治制度がいかに社会の分断を招き、国家の問題解決に対する備えが欠如しているかを浮き彫りにしていると指摘し、「民主主義の危険性」に触れている。(後略)【6月2日 WSJ】
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“政府を脅かさない”という前提での“鶏の羽やニンニクの皮”に関する住民投票で、13億国民の心をつなぎとめることができるのか・・・注目に値する試みではあります。

 

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