リビア  12月の大統領・議会選挙実施で分裂状態に終止符を・・・・とのことだが、実現には紆余曲折 | 碧空
2018-05-31 23:04:26

リビア  12月の大統領・議会選挙実施で分裂状態に終止符を・・・・とのことだが、実現には紆余曲折

テーマ:中東情勢

(リビアの首都トリポリの殉教者広場で、ムアマル・カダフィ政権打倒につながった大規模デモ7周年を記念する祝賀行事に集まった人たち(2018年2月17日撮影)。 【2月18日 AFP】

“祝賀”とは言うものの、長引く混乱とテロの拡大、経済情勢の悪化などから「独裁者の時代の方がましだった」という気分が広がっても不思議でもない現状です。

そのように「アラブの春」を全否定するのもいかがなものか・・・という感もありますが、少なくとも今のリビアは、後先考えず独裁権力を力で打ち倒すだけでは、さらなる混乱につながりかねないという実例ではあります。)


【統一的国家権力が機能せず、無法地帯と化すリビア】
最近、北朝鮮問題でよく目にする「リビア方式」という言葉。

リビアのカダフィ政権が2003年12月、米英の圧力を受け核兵器や化学兵器、弾道ミサイルなどの大量破壊兵器の一括放棄に応じ、その代わりに制裁解除を取り付けたことを指すもので、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)らが主張。

しかし、少しずつ状況を変えて、抵抗を少なくする「サラミ方式」と呼ばれる手法により、体制保証や経済支援などの見返りの最大化を狙う北朝鮮の基本的スタンスと異なるだけでなく、大量破壊兵器の放棄に応じたカダフィ大佐はその後、米英仏が武力加担する形で権力の座を追われ死亡したこと、すでに核保有国に達したとする北朝鮮を開発初期段階だったリビアと比較することが「侮辱的」と北朝鮮側にとられたことなどで、北朝鮮が激しく反発して米朝首脳会談が中止される・・・・といった事態にもなったことは周知のところです。

それはそれとして、その「リビア」がその後どうなったのか・・・という情報はあまり多くありません。

基本的には、これまで何回か取り上げてきたように、東西に政権が並び立つ分裂状態にあり、国家としての機能がまともに働かない状況にもある訳ですが、特に最近の状況に関する情報はほとんど目にしません。

“分裂状態”に関しては、1年前の2017年5月25日ブログ“リビア 分裂状態の統一に向けた動きも見られたものの、事態はむしろ逆行 内戦再燃の懸念も”で取り上げましたが、その後の動きはよくわからない・・・というか、あまり大きな変化はない・・・・というか、どうにもこうにもならない・・・というか、国際的にも大きな話題にならないといった感じのようです。

そんな情報が少ないなかで、今年2月には下2行ほどの短い記事が。

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リビア首都、カダフィ独裁崩壊につながった大規模デモから7年を祝う****
リビアは17日、最高指導者ムアマル・カダフィ大佐の独裁体制崩壊につながった大規模デモから7周年を迎え、首都トリポリで行われた祝賀行事には大勢の市民が参加した。【2月18日 AFP】
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西の自称“統一政府”が主催した行事でしょうが、今のリビアは“祝賀”というにはあまりに縁遠いような印象が正直なところです。

政府がまともに機能していないため、欧州を目指す難民の規制もままなりませんが、それだけでなく、アフリカ各地から命がけで集まる難民が人身売買組織の手にかかり、不当に監禁されたり、奴隷市場で売られたり・・・という話もよく聞きます。

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リビア、人身売買組織に拘束されていた移民100人以上が脱出****
リビア北西部バニワリドで23日夜、人身売買組織に拘束されていたアフリカ東部からの移民100人以上が組織の収容所から脱出した。国際団体や地元の情報筋などが26日、明らかにした。

移民たちは地元の団体や住民らによって市内のモスク(イスラム礼拝所)に保護された。
 
脱出したのはエリトリア、エチオピア、ソマリアからの移民たちで、収容所では拷問を受けていた。バニワリドの病院によれば、拷問によって負傷した約20人が治療を受けた。
 
国際緊急医療援助団体「国境なき医師団」は目撃者の話として、脱出の際、移民15人が殺害され25人が負傷したと述べた。地元筋からの確認情報はまだない。
 
脱出したのはほとんどが10代半ばの若者たちで、3年も人身売買組織に拘束されていたとMSF職員に話した移民も複数いるという。
 
MSFによると、病院に搬送された移民のうち7人は銃で撃たれており重傷だという。
 
リビアで長年にわたって独裁体制を敷いてきたムアマル・カダフィ大佐が2011年に失脚し殺害された後、首都トリポリは危険な航海で欧州を目指す移民たちの主要出発港となっている。

トリポリの南東170キロに位置するバニワリドでは、人身売買組織や誘拐組織が約20か所に収容所を設けており、拘束した移民の家族に身代金を要求するなどしている。【5月27日 AFP】AFPBB News
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“人身売買組織や誘拐組織が約20か所に収容所を設けている”とわかっていながら放置されている、取り締まる公権力が機能していないのが、リビアの現状です。

“政府”と称するものを支える勢力自身が人身売買組織や誘拐組織とつながっているのでは・・・とも想像してしまいます。


【12月の大統領・議会選挙で合意したものの、紆余曲折も 「リビアの統一と安全は軍が確保する」】
そうした無政府状態にも近いリビアで、大統領選挙と議会選挙を12月に実施することで、東西政府が合意したとか。

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<リビア>大統領選と議会選、12月実施で4者合意*****
国家分裂状態が続くリビアの安定化を目指し、西部の首都トリポリを拠点とするシラージュ暫定首相と、東部で武装組織「リビア国民軍」を率いるハフタル将軍ら4者が29日、パリで会談し、大統領選と議会選を12月10日に実施することで合意した。

当初は今春の予定だったが、延期されていた。会談はマクロン仏大統領が仲介した。
 
各勢力は選挙実施に向けて国連と協力し、選挙結果を尊重することを確認。だが対立は根深く、実現までには曲折も予想される。
 
リビアは2011年のカダフィ政権崩壊後、複数の勢力が支配地域を独自に統治する内戦状態に突入。混乱に乗じ、過激派組織「イスラム国」(IS)も勢力を拡大するなど治安が悪化した。

15年には国連の仲介で主要勢力が統一政府樹立に合意したが、東部トブルクを拠点とする「暫定議会」はシラージュ暫定首相が統治する西部の政府を拒否。

暫定議会は同じ東部を拠点とするハフタル将軍と協力し、「東西分裂」が鮮明になっていた。【5月30日 毎日】
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“4者”とは、西のトリポリを拠点として“統一政府”を自称しているシラージュ暫定首相と、東部で武装組織「リビア国民軍」を率いるハフタル将軍のほか、東のトブルク議会議長、西のトリポリの国民評議会議長のようです。

それはともかく、“仏大統領府が発表した共同声明は「9月16日までに必要な選挙法を整備し、12月10日に議会選と大統領選を実施する」と表明。リビアの安定化を目指す国連の活動にも前向きに協力することで合意した。”【5月30日 時事】とも。

実行されるなら素晴らしい話ですが、リビアの現状からすると、非常に難しい話にも思えてしまいます。
選挙のためには有権者を登録し、投票用紙を配布し、投票所を管理し、集計作業を行うといったことが必要になりますが、今のリビアでできるのだろうか?という疑問も。

年内に選挙を・・・という話は前からあって、“選挙管理委員会本部”も存在しているようです。
ただし、ISによる自爆攻撃の対象となっていますが。

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リビア選管への自爆攻撃で12人死亡 ISが犯行声明****
リビアの首都トリポリにある選挙管理委員会本部で2日、自爆攻撃があり、少なくとも12人が死亡、7人が負傷した。同国保健省が明らかにした。
 
事件をめぐっては、イスラム過激派組織「イスラム国」が犯行声明を出している。
 
アブデルサラム・アシュール内相は記者会見で、武装した襲撃犯2人が選管本部を襲い、警備員と当局者に発砲した後に自爆したと発表した。
 
国連は現在、ムアマル・カダフィ大佐による独裁体制が崩壊して以降のリビアの混乱に終止符を打つことを目指しており、年内の選挙実施を期待している。
 
投票日は未定だが、憲法草案をめぐる国民投票と選挙法制定の後になる見通し。【5月3日 AFP】
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ISなどのイスラム過激派の妨害も懸念されますが、そもそも当事者にどこまでやる気があるのか・・・?
選挙をやって統一的な国家体制を構築するということは、現在分裂している権力の片方が、もう片方に従うということでもあります。

勝てることが確実なら喜んで選挙を行うでしょうが、そうでなければ選挙を避けようとするのが世の常です。

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al qods al arabi netは、リビアの観測者の中には、テロの背後には例のhaftar将軍と、彼の支持者たちの総選挙を喜ばない勢力があるとみている者がいると報じていることです。

それによると将軍はテロの数日前に、選挙の重要性を否定し、現時点での選挙がリビア国民の声を反映するとも思われず、リビアの統一と安全は軍が確保すると語った経緯があるとのことです。【5月3日 「中東の窓」】
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al qods al arabi netの報道がどこまで真実なのかはわかりません。
わかりませんが、“リビアの統一と安全は(選挙ではなく)軍が確保する”と東の実力者ハフタル将軍が語ったというのは、リビアの現状に沿っているようにも思えます。

統一の基盤のないところに、形だけの統一政府・統一議会を作ろうとしてもなかなか・・・・。


【カダフィの息子が大統領選挙出馬?】
なお、大統領選挙には独裁者カッダフィの息子が出馬の意向を表明しているそうです。

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カッダーフィ息子の大統領選出馬****
本年はリビアでも大統領選挙等が行われることになっていて、革命前のリビアの独裁者カッダーフィ(中略)の息子のseif al islam (確か次男であったかと思う)が、大統領選に出馬するとの噂が出回っていましたが、どうやら彼は19日正式に?立候補の意向を表明した模様です。

これは彼の政治プログラムの作成にあたっている男が、19日チュニスで発表したとのことで、その中でカッダーフィはすべてのリビア人に開かれていて、対話を通じて、リビア国家の再建を図っていく意向とした由。

確か彼は、革命後反カッダーフィ派の民兵にとらえられ、zintanaで拘留されていたが、その後何処かへ連行されたことになっていたかと思います。

また、彼についてはトリポリ裁判所が欠席裁判で死刑の判決を行い、その後トブルク政府が恩赦したかと思います。
さらに彼については、他のカッダーフィの息子どもや関係者とともに、国際刑事裁判所が、リビア革命の際の人道法違反(要するに人民の虐殺の罪か?)で、訴追していて、彼の引き渡しを求めていたが、現在でもその立場に変更はなかったと思います。

アラブの春直後には、中東の内外で、中東を揺るがした大動乱の責任は、当時の支配階級(カッダーフィを含めて大部分が、アラブ民族主義の生き残りやその系統)にあるとされていましたが、その後どの国でも長引く混乱とテロの拡大、経済情勢の悪化等から、幻滅が相次ぎ、旧支配階級に対する再評価(現状に比べたら、むしろ当時の独裁者の時代の方がましだった!)が進んでいるように思われますが、仮にseifu al islam が大統領に当選すれば、旧時代の正式な公式復活no1ということになりそうです。

勿論カッダーフィの息子が復活するか否かは今後の情勢次第ですが(確かカッダーフィは、その後継者としてはこの次男を考えていたと言われ、非常に有能で、カリスマ性も備えている模様)取り敢えずのところです。【3月20日 「中東の窓」】
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実力者ハフタル将軍もカダフィ時代の支配階級の一人ですから、カダフィの息子が大統領に出馬しても不思議ではないかも。

民兵組織が割拠するような現状を統一してくれるなら、カダフィの息子だろうが何だろうが・・・という気にもなります。

 

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