2学期も終わりを迎えようとしていた12月21日、律が中学時代の友人マキからライブに参加しないかという打診を受け、放課後ティータイムのメンバーに伝えた。「これ大晦日って書いてあるけど、後10日しかないぞ。それにまた大勢の人の前に出るのは・・・・」「何も用意してませんよ。」恥ずかしがり屋の澪とライブハウスに行った経験を持つ梓は、何も準備していないからとてもじゃないが無理だと参加に否定的。「でも面白そう。私参加したいなあ。」能天気な唯は、好奇心旺盛。新しい事に積極的にチャレンジしたいとやる気満々。



 「澪、そんな事言ってると成長できないぞ。」珍しく律がまともな事を言うと、澪の提案で多数決で参加するかどうか決定する事になった。反対は澪と梓。賛成は律と唯。2対2となり、毎回キャスティングボートを握る紬の意見に参加するか否か委ねられ「はい。参加したいですこんな機会めったにないし、今年最後の日に皆で演奏できるって素敵じゃない。」年末年始の旅行よりメンバーと一緒に演奏出来る事の喜びが大事だからと賛成側に回った。「ムギ先輩を不幸に出来ない。」「私達も参加する。」反対の2人も紬の言葉に触発されて、賛成に回った。これで大晦日ライブハウスでの「放課後ティータイム」初の外部演奏が決まった。(参加バンドはラブ・クライシス・デスバンバンジー・ナマハ・ゲー・ブラックフリルなど。キン肉マンの超人みたいな名前のバンドもいますけど、こういう外部ライブはSSなどでも書いている人がいそうで、是非作って欲しかったので、私DVD買っちゃいました。)



 大晦日ライブ参戦にドキドキわくわくする唯。皆でライブハウスへ参加申し込みに行く途中も、ショーウィンドウのサンタ人形が気になり、いつも通りのマイペースの様子。一方他のメンバーは、初のライブハウスに足を踏み入れ緊張でガチガチ。「あ・の・う・す・い・ま・せ・ん、ライブの参加を申し込みに来たのですけど。」いつもは元気一杯の律も流石に舞い上がり、オーナーの女性川上さんに申し込みを伝えるのも一苦労。「ああ話は聞いているわ。ラブ・クライシスのマキちゃんの紹介ね。」一応話は通してあったが、唯は放課後ティータイムとラブ・クライシスのバンド名の違いにちょっと気が引け、律に耳打ちしていると「放課後ティータイムって可愛い名前ね。」川上さんから「可愛い」と言ってもらうと笑顔を取り戻した。(実はオーナーの川上さんは、後にわかりますがDEATH DAVILのメンバーだった人。まさかヴォーカルのキャサリンことさわ子が、やっつけで名前を付けたとは知らないでしょう。私もライブハウスに入ったらテンぱった経験があるので、唯ちゃん達も初のライブハウス演奏に緊張する気持ちわかりますね。それが上手く表現されていて、表情の喜怒哀楽が凄く伝わってきます。)



 正式に参加が決まり、デモテープを川上さんに聴いてもらった。「じゃあ参加者は13時入りね。リハをやるから早いのよ。各バンド15分づつね。15時からミーティング、客入れは16時、開演は17時からよ。」部長の律が当日の流れを説明されるが、矢継ぎ早にタイムスケジュールを言われ「私が忘れても大丈夫だよね。」忘れても大丈夫だとタカをくくっていたが、当日のチケットに全員が注目して誰も聞いてなかった。結局その後ライブハウスの中を案内され、まず最初に訪れたのは当日の使用する楽屋。芸能人みたいになった気分で、唯や紬は自由に使えると思ったが当然楽屋は、共用で使用するのは言うまでも無かった。「次はここ!ここからステージに出るのよ。」次に川上さんが案内したのはステージ。ライブハウスだからミラーボールや照明器具もきちんと揃っているので、歌によって証明のアレンジも考えなければならない。「ドキドキしますね。」「ここで演奏するのね。」梓や紬は本番のライブに胸を躍らせていたが、1人頭が爆発するのは恥ずかしがり屋の澪。1人頭の中で想像してガチガチになっていた。(なんか知らない世界を知るのって興味津々って感じですよね。ライブ演奏する側の人って、こんな感じなのかという事を知りました。照明の構成も考えたりするとは思いませんでした。)



 一通りライブハウスを見学して川上さんに挨拶してから、5人は平沢家で大晦日ライブの打ち合わせを始めた。「お姉ちゃんライブハウスで歌うのすごいね。」お茶を差し出す憂は、姉のライブハウスでのライブ演奏が決定して笑顔で喜びを伝えた。曲目はふでぺん・ボールペン・カレーふわふわの4曲。衣装については、梓用の衣装をさわ子に作ってもらおうというアイディアや変身ヒロインや魔法少女の衣装を着ようなど意見が出たが、結局真面目な澪と梓の意見で、オーソドックスな制服に決定した。「はい、これ憂と純ちゃんの分だよ。2人で見に来てね。後は和ちゃんにも渡さないと。」唯から3人に観に来て欲しいとチケットが渡された。「お姉ちゃんがライブに出る記念のチケット。とても使えないよ。」憂にとっては宝物にも等しいチケットだが、当然チケットがないと入場は出来ない。「凄いわね唯。一応サインももらっておくわ。」和には後日渡されタレントになった気分の唯が、書いたサイン色紙まで一緒にもらったが、その反応はいまいちなのは言うまでもない。そして顧問のさわ子にもチケットが渡され、街にはライブのチラシが張り出された。「ギー太、明日は一緒に頑張ろうね。きっと凄く楽しいよ。」前日ギー太を手入れしながら、唯はライブに参加するのを心待ちにしていた。(まさかのオールスターキャストですか。鈴木純ちゃんまで登場するとは。まあ卒業してからはレギュラーでしょうからいいのでは?唯ちゃんちゃんとギー太を手入れしてましたね。サインは今二つぐらいでしたけど和ちゃんのアイス食べている写真は可愛かった。)



 大晦日ライブ当日、制服を着た放課後ティータイムは、女の子達がたむろするライブハウスに到着した。「あの子達はバンドのファンなんだぜ。」律が参加バンドのファンの娘達がいる事を教えると、唯は自分達と差がある事を認識した。そして楽屋に入ると更なる衝撃が待ち構えていた。それは参加バンドの女の子達の衣装。カラーギャングとヘビメタバンドの出迎えに、放課後ティータイムはすっかり飲まれてしまった。しかし彼女達から挨拶をしてもらうと緊張もほぐれ、温かく迎えられた。「あっりっちゃん久し振り。こっちはベースのアヤ。澪ちゃんの大ファンなんだ。」誘ってくれたラブ・クライシスのマキが、律の姿を見て挨拶をしに来た。アヤは学園祭ライブを観に来ていて、唯は遅れて来た人だという認識だったが「楽しそうなライブでした。」素直にライブについて褒めると、唯は褒められ慣れていないので舞い上がってしまった。しかしラブ・クライシスと放課後ティータイムには、純然たる差があった。「今度単独ライブやるんだ。」「あっこれ私達が作ったCDです。」既に単独ライブが可能なほどの人気があり、自主制作だがCDも製作していた。「何だか意気込みが違うね。でも私達も何かロゴマーク作ろうよ。」勢いに圧倒された放課後ティータイム。しかし唯の発案で自分達もロゴマークを作る事になり、湯気が出ているコーヒーカップに決定した。そしてそれぞれが自分の道具に描き「よっしゃ行くぞ!」全員心を1つにして気勢を上げた。(ライブハウスは、演奏するのはプロもアマチュアも関係ないですからね。お金を音楽でもらっているかいないか違いはありますけど。何か放課後ティータイムは、マイペースって感じがします。澪ちゃんはやばいですが、まあそれはお約束と言う事で。しかし唯ちゃんが最初に決めたロゴマークは本当に温泉でした。)



 放課後ティータイムの演奏は2番目に決まった。「すいませんこれバックステージパスです。」アシスタントの男性からライブ参加者用バックステージパスが渡され、唯は興味津々の様子で貼り付けようとしたが、太ももや肩に貼ろうとして梓に「シップ」と突っ込まれ、結局腕に付けることになり不満げな表情を見せた。そんなやり取りがあった後、律の提案で渡された「セッティングシート」に必要事項を記載する事になった。ただ5人にとっては初体験の内容ばかりで書き方がよくわからない。そこで唯がヘビメタのグループに突撃。「元気よくとかポップな感じで、とか書いてあったよ。」彼女達の書き方を皆に教えた。更に照明についてや音響効果なども全て聞きに行く、唯の行動力と人当たりの良さに澪達は驚くばかりだった。どうにかこうにかセッティングシートを書き上げ、ラブ・クライシスのリハーサルを見学する放課後ティータイム。「エフェクターが一杯。」「マイマイクだ。いくらぐらいするんだろう。」設備に驚く律と梓。一方の唯は1人マイペース。見るもの全てが新鮮で興奮しっぱなし。まさにいつもの姿そのもの。



 それは紬も同じ!「お茶にしない?」学校と同じようにお茶とケーキを持参していた。早速お約束のティータイムinライブハウスが始まり、のんびりまったりいつものムードが漂う。「あれいい匂いがするね。」他のバンドも匂いに誘われ近づいて来た。「あのうよかったら一緒にいかがですか?」紬が一緒に食べないかと誘った。「じゃあお言葉に甘えて。」マキ達も誘いに乗って、それぞれが抱いている夢や目標を語り始めた。「私達絶対プロになりたいんだ。」「諦めたら終わりだから。」「音楽はずっと続けて行きたいし。」趣味とは違うプロを目指す明確な目標と何度失敗しても諦めない気持ちを彼女達は持っていた。「こんな話が出来るのも唯やムギがいるおかげ。皆ちょっとづつ新しいドアを開いてくれるんだ。」モチベーションが高いバンドのメンバーと話が出来る事は、放課後ティータイムの活動をしているから。澪や新しい世界を開いてくれる仲間達の存在が嬉しかった。(安西先生みたいな事言っている人がいますが、確かに目標は諦めたら終わりなんですよね。何かを成し遂げるには、何かを犠牲にしてまでも頑張る事は大切です。唯ちゃんの言う通り、めざせ武道館は彼女達の姿を見て言ったら恥ずかしい限り。でもこういう事で触発されて新たな目標を見つける事は、澪ちゃんの思った通りとても素敵だと思います。)



 しかしのんびりまったりし過ぎてアシスタントからリハーサルが、始まっている事を知らされると慌てた事と普段使用しない会場に5人は完全に舞い上がってしまった。「それじゃあふわふわ時間4コーラス目から行きます。」何とか律の掛け声で演奏が始まった。要望通り照明に照らされると唯は笑顔でギー太を弾くが、ヴォーカルを忘れるミスを犯してしまった。律に指摘され歌おうとするが、顔をマイクにぶつけてしまう。更に慌てた澪と紬も転んでしまい、完全に収拾が取れなくなってしまった。「大丈夫!落ち着いてもう1回行こう。」見学していた他のバンドメンバーから励ましの声が飛んだ。「皆に迷惑掛けないようにちゃんとやらなきゃ。」鼻をマイクにぶつけ鼻血を出しながらちゃんとやらないと駄目だと自覚した唯。その姿に澪達も自分達がちゃんとやらないと駄目だと自覚。何とかリハーサルを終え本番を待つばかりとなった。既に日は西に傾き和・憂・純が到着した頃には、ライブハウス前は多くの観客が集まっていた。「お姉ちゃん大丈夫かな?」憂の心中に不安がよぎるが、お菓子を買いに唯とばったり遭遇。緊張しているけどいつも通りの姿にほっと一安心した。(皆がアウェイに飲み込まれて自分を見失ったけど、応援があるのは本当に心強い。皆とても優しい人たちだなって思いました。それに応えようとする唯達もとても素直でいいですね。)




 その後昔の衣装を身に纏ったさわ子も駆け付けた頃には、既にライブはクライマックスを迎えていた。「キャサリン?全然変わってないわね。私は今ここのマネージャーよ。」「あれジャニス?私は変わったわよ。だってあの娘達の先生だもん。」さわ子と川上さんは、DEATH DEVILのメンバーだった。久し振りの再会を互いに抱き合い祝福した。こうして大晦日のライブは終わり放課後ティータイムには、出待ちの人達はいなかったが友人達が観に来た最高のライブとなった。それぞれ誘ってくれたラブ・クライシスのメンバーに挨拶してから平沢家に戻った。さわ子は相変わらずだが年越しそばを食べたり、トランプなどをして年越しまで待った。しかし年越しの時には、皆が寝ていて「相変わらずグダグダだな。まあそれが私達だけどな。」澪は呆れ顔で、自分達らしいと笑っていた。そのまま律と2人で眠ると唯に起こされ、秘密の穴場である所から初日の出を眺めて新年の挨拶をするのだった。(とても素敵な番外編でした。色々な事を吸収しながら成長する姿が印象的で、これからどうなるのだろうと思わせてくれました。2期が製作される事が待ち遠しくなりました。けいおん!が好きな方は絶対に見たほうが良いと思いますよ。ギャグもあるしシリアスな所もあるし本当に出来が素晴らしいかったです。)