ティーンのモデルが表紙を飾る雑誌ALIVEの中に山崎アケミという少女がいる。その正体は純夏のクラスメイト副委員長の朱宮正樹が、女装した姿だった。他の少女達と一緒に正樹は読者モデルとして紙面を飾る売れっ子になっていた。しかも偶然コンビニに立ち寄った汐の目に止まり、可愛い女の子だと一目ぼれしてしまった。「純ちゃん、見て見て可愛いでしょこの娘?」昼休みきよりと一緒にいた純夏の所に、嬉しそうに浮かれてALIVEの表紙を見せる汐。「うんまあね。」また始まったと思いながら、純夏はとりあえず頷いた。こうなると汐の暴走は止まらない。気になった少女アケミの素性を知ろうと、編集部に電話しようとしたり、住所や郵便番号を聞こうと躍起になった。「そんなこと聞いてどうする!」嫉妬心を含ませながら、純夏の怒鳴り声が響いた。それを聞きつまらなそうな顔で舌打ちしながら立ち去る汐。「ちぇって、こっちの台詞だ。」また違う女の子に興味を沸く姿にッ純夏は落ち込んでしまうのだった。(アケミは正樹が女装しているんぞ。それに恋するなんて、波乱の始まりだと直感しました。だけど純夏が自分より男を選んだと知ったらどれだけつらいか。また溜息ばかりが出そうな展開ですね。)



 ホームルームの時も隠れてアケミの写真を見てうっとりする汐の姿に、クラス委員長の純夏は大きなため息をついた。恋する乙女が自分に無い物を求めているからというのが、溜息の大きな理由なのだ。事実体育のバスケットでは、高校生では離れ業のダンクを決め、実力テストでは学年NO1の成績を獲得する優等生。空手の実力は黒帯で、中学時代には男子5人を叩きのめす武勇伝を誇り「暴刀村雨」というあだ名まで付けられた。揶揄されていると睨みつけてしまった。完全に可愛いとはかけ離れた、格好いい強い女の子である。そんな純夏に正樹は恋心を抱き顔を赤らめる。またも奇妙な三角関係が、気付かない内に出来上がっていた。放課後汐と一緒に衣料品店に出掛けた時も「これ似合うかも。いい感じだよ。」汐が選んだ服をあてがわれても、恥ずかしがって顔を赤らめ「似合わないよ!高いしさ。」自分で似合わないと否定した。「純ちゃんこういうことに全然関心ないんだもん。」折角選んだのに興味を示さなかった。汐はがっかりしていたが、またアケミの写真を見て顔を赤らめていた。(求めている事とは違う。ギャップが大きすぎる。相手の事が判るからつらさがよく判るシーンですね。逆に正樹は純夏の美人さに惹かれていても大人しいからただ見つめるだけ。片思いが変に絡まる三角関係は、見ている方は面白いのですけどね。)



 バスを降りた汐は、夕日の光を浴びる歩道を歩く少女を指差した。「おい小学生だろ。」「でもあの読者モデルの娘に似てるのよ。」純夏は未だ興奮冷めやらない恋する同級生に突っ込みを入れるが、汐の指摘は当たっていた。実はその少女は正樹の妹なのだ。「風間って、本当に可愛い娘が好きだよね。」自分には振り向かないが、つい何故好きなのか尋ねた純夏。「可愛い娘って可愛いじゃない。小さくて柔らかそうで、ふわふわする服が似合って、見ているだけで楽しくなってこない?」自分に持っていない物ばかり持っている女の子に憧れる。しかも見ているだけで楽しいと言われた。自宅に帰った純夏は、いらだちをカバンを投げ付けることでぶつけた。



 その後自分の服をタンスから引っ張り出して見ても、お世辞にも可愛い服は無かった。服に無頓着な自分を思い知らされ、純夏は居ても立ってもいられず本屋へ走って行った。しかし女子生徒が楽しそうに眺めているのを後ろから、息を整えながら見ている姿に怖がられてしまった。改めてALIVEを手に取り眺めると「うああどこで着るんだこんな派手なの!でもやっぱ女の子って可愛いのがいいよね。」ちょっと着たい服が見つかり、175cmの自分でも似合うのか想像し始めた。その背後にはアケミの格好をした正樹が、ALIVEを手に取ろうとした。「駄目だこんなの!」自分の姿が駄目だと思い、思わず本を投げ飛ばした純夏とぶつかり逃げるように去った。



 純夏は他の生徒から頼りにされ、困っている生徒を助ける優しい性格の持ち主。美人だし頭もいい。ただ汐が望んでいる「可愛いらしさ」が、自分には無いと考えていた。バレーボールの試合でも強烈なアタックを決め「純ちゃん格好いい。」と汐に言われても駄目なのだ。「今日の純ちゃんなんか変じゃなかった?」きよりに様子がおかしいかったかどうか汐は尋ねたが、可愛く守ってあげたい女の子になりたい純夏の気持ちは判るはずもなかった。するときよりが、ALIVEの表紙に掲載されていたアケミの存在を教え、純夏もぶつかった女の子がアケミだと気付いた。そこに遅れて正樹が、クラス委員会議にやって来た。自分の写真を見て恥ずかしそうにしながら「僕は村雨さんは可愛いと思うよ。」一言呟いた。「はあ?」可愛いと言われビックリした純夏。正樹を連れ出し会議室を出て行った。女の子が男の子を脅すようなシチュエーションで、改めて真意を正樹に聞き始めた。「あのう言ったでしょ!可愛いって。」正直に気持ちを伝えると純夏は動揺を隠せず「朱宮君、可愛いってあたしが?背もあんたより高いし、喧嘩したって秒殺!いや瞬殺よ。」けんかも強いし背も高いそんな自分に対する正樹の言葉が信じられない。「いや村雨さんは可愛いよ。」純夏の容姿なんて関係ない。正樹の言葉は思った事を言っていた。(可愛いと言われ本当に嬉しそうです。ただこれって好きな相手が求めているから、主体的じゃないんですよね。らしくないというか!私は格好いい方が絶対合っていると思うのですが、それが聞こえないのが、恋する乙女って事なのでしょう。)



 自分を可愛いと言ってくれる人が居た。スキップしながら喜びを身体全体で表現する純夏。自分に自信を取り戻し、花束を持って汐が住むアパートに向かう。その姿はデートに誘おうとする男子と同じ。指が振るえ緊張を隠せずなかった。いつもは友達として付き合っているけど、恋愛関係を求めるのは別問題。何も出来ないもどかしい時間が過ぎようとしていた時、汐がドアを開け鉢合わせになった。「コンビニに行こうとしていたんだ。」必死に告白に来た事を悟られないように誤魔化した純夏。「あれ純ちゃん買ったんだその服。可愛いよ!」自分が選んだ服を着てくれている。汐は可愛いと率直に感想を言った。「可愛い!」の一言に心ときめかせる純夏だが、やはり対応は友達のままだった。しかもコンビニに着いた時「ちょっと待った!ここは品揃えがよくないんだ。」告白のタイミングを失ってしまうと不安になり、思わず汐が入店するのを制止した。「なんかちょっと怖いから離れないで。」夜道を1人で歩くのは怖い。汐は格好良い姉にくっつく妹みたいに寄り添った。「純ちゃん、女子高ならもてもてだよね格好良いし。お姉さまなんて呼ばれて。私のタイプとは違うけど!」何気ない一言だったが、それは純夏にとって決定的な一言。タイプじゃない、つまり告白しても振り向いてくれない事を意味していた。(汐は悪気は無いけど、これは強烈な一言ですね。やっぱり友達なんだなって思います。恋愛感情を抱いていても、相手には伝わらない。悲しいけどこれって現実なのよねというスレッガーさんの言葉がピッタリなこう系ではないでしょうか?)



思いっきりタイプじゃないと言われた。放心状態の純夏は、そのまま自宅に帰ろうとした。そこにコンビニから出て来たアケミが現れた。「うあああ純ちゃん、その人あの読者モデルの人。」憧れの女の子に出会えて思わず大声を出し指差す汐。クラスメイト2人に女装している事がばれたらまずい。正体である正樹は何も言わずに逃げ出した。「待って!」呼びかけ追いかけようとした汐だが、途中で転んでしまった。どんどんと遠ざかる人影をただ見送るだけ。また同じ事の繰り返しになるのか?しかし振られても友人のつらい姿は見たくない。純夏は正樹の後を必死に追った。「うああいつも片思いばっかりしてて、本当はあたしが何とか出来ればいいんだけど。あたしじゃ駄目だから、駄目だって言われたから。振られちゃったからさあ。」自分が何とかしてあげたけど振られたから出来ない。せめて求めている女の子を追い掛けるぐらいしか出来ない。その思いだけで純夏は、正樹に追いついた。



 「朱宮君?」かつらが外れ現れた顔にきょとんとする純夏は、2人きりになって真意を確かめた。「僕は中学の時から好きでした。でも村雨さんは、風間さんの事が好きで気に入られたくて女装したんです。でも妹にばれて、面白がって雑誌に写真を送って採用されたんです。本当なんですよ、町内だけも回収しようと思って。だって男の格好じゃ恥ずかしいじゃないですか。あのう僕じゃ駄目ですか?」自分が恋していた事。恋した女性は、他の女性が好きな事。だから振り向いてもらえると思って女装した事。それがばれて雑誌に投稿採用された事。ありったけの思いをぶつけた。「駄目って言ったら諦められる?あたしは無理だ。どんだけ駄目って言われても無理なんだ本当片思いってさあ。ちょっと待ってよ、あたし男に負けたの可愛さで!」片思いは止められない。だから受け止められないそれが純夏の答えだった。しかし可愛いと思われた男に負けたのは、腹が立って仕方が無く後から来た汐に嫉妬されるのだった。(本当に片思いというのは、つらいですね。皆が両想いならいいのだけど・・・・・それが上手くいかない。だから恋愛は難しいそう思わせるのに十分な内容でした。非常にいい作品ですね。単なる百合じゃないのも凄く良いと思いますし。)


ささめきこと 第1巻 [DVD]
¥4,506
Amazon.co.jp



ささめきこと 第2巻 [DVD]
¥4,506
Amazon.co.jp



ささめきこと 第3巻 [DVD]
¥4,506
Amazon.co.jp



ささめきこと 第4巻 [DVD]
¥4,506
Amazon.co.jp



ささめきこと 第5巻 [DVD]
¥4,506
Amazon.co.jp



ささめきこと 第6巻 [DVD]
¥5,283
Amazon.co.jp