夜道の踏み切りでいきなり襲われた暦。襲った人間の姿と状況を推理した結果、犯人が自分に付きまとっていた駿河だと気付き、理由を確かめようと豪邸神原家を訪れた。駿河は暦の訪問を歓迎したが、部屋には数多くのBL本が散乱するボーイズラブが大好きな女の子だと知られてしまった。更に何故襲ったのかという疑問を答えるに際し、自分の左腕を見せた。その手は人間の腕ではなく、まるで剛毛が生えたサルの腕だった。しかも夜になると自我を失い、思っていない方法で願望をかなえようとするのだ。そして駿河の願望というのは、自分が恋する女性ひたぎと仲良く女同士の恋をしたいということ。



 それには自分の知らない顔を見せ、より親密な関係になっている暦が邪魔な存在。怪異の事に気付いても何も出来なかった自分。解決して恋人同士なり親密な関係を築く男への嫉妬。それが希望しない形で具現化したのだ。これによりようやく駿河の気持ちと襲われた理由を知った暦。怪異が絡んでいると感じ、忍野を訪ね謝礼を渡し駿河のことを相談した。すると駿河の腕はサルの腕ではなく、魂と引き換えに3つの願いをかなえる悪魔「レイニーデビル」が取り付いていると指摘した。その手は母が残した形見だった。小学校4年生の時駿河は、クラスに馴染めず孤立していた。また足も遅かったので、よく他の生徒からからかわれていた。「足が速くなりたいです。」運動会の徒競走で1等を取れば、見る目が変わるはずだ。安易に考えた駿河は、手に祈りを捧げた。そしてその日の夜駿河は、走りで勝つのではなく無意識の内に一緒に走るはずだった児童を傷つけた。(願いをかなえるには代償が必要だ。錬金術の等価交換と同じですね。彼女は作られたヒロインだったという事が、過去の行動からわかりました。契約してはいけないものと契約してしまった。サルの手=ジェイコブズの小説を読み恐怖したのです。意にそぐわない形で願い叶えてしまうのはつらく恐ろしいなって実感しました。)



 願いは異なった形で実現してしまう。ジェイコブズの小説を読み、自分のやってしまったことの恐ろしさを知った駿河。ここで普通なら願いを叶えて欲しくないと頼むはず。しかし他の5人と一緒に走る事になり、手に頼らず必死に足が速くなろうと努力した。その裏にはサルの手の効力が何時まで続くか判らず、万が一早い人間が現れたらまた傷つけてしまうと感じたから。それがバスケットを中学の時に始める大きな要因となった。陸上部なら存在したかもしれない。自分よりも足が速い人間が。しかしバスケット部には存在せず、腕を上げた駿河はたちまち部を引っ張るエースとなった。「そんな時戦場ヶ原先輩が、私を見に来てくれた。陸上部のエースだった先輩がバスケット部に足が速い人間がいると聞いて。そこで非公式に100mの勝負をしようと持ちかけられたんだ。私は断った。それが本当につらかった。けど戦場ヶ原先輩の事を想うようになり、一目ぼれではなかったけど3日目には好きになっていた。」ひたぎが勝負を持ちかけたが、それを受けてしまっては折角好きになった相手を傷つけてしまう。丁重に断った後2人は、仲良くなり一緒に行動するようになった。(人の強欲が非常に上手く表現されています。ただ駿河自身は努力家でいい娘だと考えています。ただどうしても強敵を倒したいなどの衝動に駆られると手の力に頼ろうとする。しかしひたぎに嫌われたとしても使おうとしなかったのは偉いです。それでも暦には使ってしまった。やっぱり戦いと恋愛は違うのだなと想いました。)



ひたぎに心ひかれるようになってからの駿河は、手の事が意識から消えていた。「お母さんが何かに頼らずに自分の力で生きて欲しいと願っていた事を知っていたから。」母が残した真の意図を理解しており、ひたぎの秘密を知っても手に頼らずあえて身を引いたのだった。しかし駿河がどうしても我慢出来ない事が発生した。ひたぎと交際する阿良々木暦の存在を知った事。こうなると衝動的に行動してしまい、いつのまにか腕まで伸びていた手にも気を止めず、駿河の左腕は怪異レイニーデビルに取り付かれていた。このままだと願った事が、意図しない形で実現してしまう。だからこそ忍野を訪ねた筈だった。「阿良々木君、僕はどうすれば良いのかな?簡単な方法なら2つあるけど。。1つは阿良々木君が、レイニーデビルに殺される事もう1つは、その獣の左腕をスパっと切り落とす。腕が生えてくるなんてことはないけど、たかだか腕一本で状況が変わるのなら安い物だろ?人間1人を殺そうとするんだ、腕の1本ぐらい当然の代償だよ。」簡単だと言った答えは、余りにも非常だった。流石の駿河も究極の選択をしなければならないことにショックを隠せなかった。(因果応報という言葉があります。おこなったことには必ず報いが生じるという意味です。まさに駿河にはピッタリだと思います。それが暦を殺すか腕を斬りおとすなんて余りにも非情すぎますけどね。)



 「ちょっと待ってくれないか忍野!神原は望んでやったわけじゃないんだ。ただ戦場ヶ原の側にいたかっただけなんだ。」駿河の思いを代弁し擁護する暦。「側いたいだけ?そんな訳無いだろう?僕は胸糞悪いよ!本当に側にいたいだけなんて甘ったるい言葉信じたのかい?おかしいとは思わないのかい?どうしてお嬢ちゃんが小学生の時その左手レイニーデビルは、足を速くしなくて周囲をぶちのめした?低級の悪魔だけど契約は契約だ。でもぶちのめしたところで、足は速くならない。つまりお嬢ちゃんは、同級生をぶちのめしたんだよ。」契約を結んだ。それは自分の意にそぐわないことが代償となる猿の手の伝承とは異なり、駿河が小学生の時本気で同級生をぶちのめしたいと考えたからだと指摘した忍野。表の願いは足が速くなりたいだが、裏の深層心理ではいじめた人間に復讐したい願望が隠されていたのだった。(駿河は本当は優しい娘だと思うのですよ。ただ人間が誰もが持つ闇の部分を隠したいから、猿の手という望んでいない願いという解釈を持ち出し、自分で偽善ぶった。それをずばっと指摘した忍野の言葉は、駿河にとってどんなとげよりもきつい言葉だったと思いました。)



 それでも暦は、根拠が無いからとまだ納得していなかった。「お嬢ちゃんのその腕、小学生の時はどうだった?お嬢ちゃんは、ぶちのめした翌日教室に行って初めて4人の欠席を知った。もし今みたいなけむくじゃらな腕なら、何かが起こっていることはわかるはず。つまり怪異はお嬢ちゃんの手に同化し同級生をぶちのめし、気付かない内に魂を吸い取り手首から腕になった言うわけさ。君もお人よしだよね、加害者の言い訳を信じるなんて。大好きな先輩を寝取った男が目の前にいる。殺したいほど嫉妬してもおかしくないよね。」怪異が成長し同化した今は、自分の行動も意識することができる。だから襲撃したのは意図的で、言い訳は人の良い暦を騙す言い訳だった事を忍野は嫌味な態度で指摘した。(最初から襲撃は計画的だった。ストーカー行為もどういう人間か知るため。完全に確信犯的な行動だった事が判りました。まあ嫉妬していたのだから、誰だってそうなってもおかしくは無い。これで暦は悪魔と戦う事を決意しました。吸血鬼が血を吸われてパワーを取り戻す。いくら頑丈な肉体でも悪魔とガチバトルですから、忍野の指摘どおりそんな簡単じゃないですよね。)



 駿河を救い出し、暦が生きる方法はただ1つ契約を無効にする事。つまり暦が殺されずに契約を果たさないレイニーブルーを魔界に追い返す。これしかなかった。「いいかい君が忍ちゃんに地を与えてパワーを取り戻しても、春休みの吸血鬼だった頃の10分の1の力しか発揮できないと思うよ。それから1つ聞いても良いかな?どうしてお嬢ちゃんを助けようとするんだい。相手は無意識とはいえ君を恋敵と思った相手だよ。それに雨がっぱの正体が、お嬢ちゃんだとわかった時にどうして話を聞こうと思ったんだい?」力は取り戻しても全盛時の10分の1しかない。だから吸血鬼忍の力を借りると駿河の手を斬りおとすしかないと忠告した忍野。改めて何故駿河の話を聞こうと思ったのか質問した。「生きていれば誰かを憎む事もある。神原が戦場ヶ原のことを想って僕の事を憎むのなら別に許せるんだ。」嫉妬で憎まれるなら許せる。それが暦が話を聞こうと考えた理由だった。「あっそうなんだ!別にどうでも良いけど。じゃあこの部屋にお嬢ちゃんはいるから。言っておくけど僕や忍ちゃんが、助けに現れるなんてないからね。」理由を聞いた後忍野は駿河が待つ部屋に案内した。そこは内側から開けられない扉があり、外側からしか開けられない密室だった。そして中に入ると積まれた机の上に雨がっぱ姿の駿河が待ち構えていた。



 手を斬りおとすことを忍野から推奨された暦。しかし優しい性格の持ち主の彼が、そんなことを認める事は出来なかった。それを聞いた駿河は、もういいと諦めの言葉を吐いた。しかし本心は暦を憎み徹底的に攻撃を加えた。それをまともに受けた暦は、いくら頑丈な肉体を誇っていてもダメージは常人では既に何度も死んでいるレベルだった。「もう駄目だ!」暦の体力が限界に達し諦めようとしたその時ドアが開いた。「ずいぶんとはしゃいでいるわね。私抜きで楽しそうね不愉快だわ阿良々木君!それに私嘘をついたわね。電柱にぶつかったとか言って騙して、神原の事も秘密にした。付き合うとき約束したわよね。私達は怪異の事に関しては、秘密を持たない!嘘をつかないって。万死に値するわ。まあもう1万回ぐらい死んだみたいだから、許してあげようかしら。どうせ自分が死ねば解決するなんて考えたと思うけど冗談じゃないわ。そうすればどんな手を使ってでも神原を殺すに決まっているじゃない。私が腹立たしいのは、あなたがそんな身体じゃなくても今と同じような事をするって判ってしまう事よ。まあありがた迷惑も余計なお世話も阿良々木君にされるなら悪くないけど。」忍野から電話をうけひたぎが駆け付けた。しかも性格を良く知る暦が、駿河に対して行う行動も理解していた。(戦いのシーンは斬新でした。文字とガチバトルの融合は面白かったですし、ドラゴンボールZをシャフトで放送したらこうなるのでしょうかね?それだったらドラゴンボール改も更に面白そうです。一方ひたぎを呼んだのは、精神的に駿河に取り付いたレイニーデビルーを追い詰める為。全部忍野が仕組んだ事で、悪魔も罠にはめるなんてまあびっくりしました。)



 「神原久し振り!元気そうで何よりね。」久し振りに再会した後輩に挨拶したひたぎ。雨カッパの中から顔を出した駿河は、泣きじゃくり自分に声を掛けてくれた先輩に「好き!」と告白した。「あら私はそうでもないけど。それでもあなた付いてくるというの?」ひたぎの答えはNO!一番大切な存在暦であると言っているようなものだった。当人から拒絶されればもう願いをかなえる意味が無くなってしまう。レイニーブルーは契約不履行で立ち去った。後日駿河はバスケットは出来なくなったが、再び明るく元気な女の子に戻った。(本人が否定すれば殺す意味が無くなる。そうなれば契約不履行。駿河にはつらい処置だと思いますが、これが一番良かったのかもしれません。余計なお世話だったと思うけど、暦にとってはいい前座役が演じられてそれはそれでよかったのかもしれません。)

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