スタートからいきなり旧箱根「第三新東京市」がセカンドインパクト以来現れた第3使途サキエルの登場。国連軍の最新兵器も全く歯が立ちません。そこに父碇ゲンドウに呼ばれた息子シンジが呼ばれて来ました。ここまではテレビシリーズ第1話と同じです。緒方恵美さんも全然変わってないですね。そこに14年経っても29歳の葛木ミサトさんが颯爽と登場。三石琴乃さんもいまだにサービス・サービス全開でした。勿論ゲンドウが音信普通だったシンジを呼び寄せた理由は、謎の敵使途と戦う人型人造人間エヴァンゲリオンのパイロットとして特務機関NERVに向かい入れる為です。ちなみに赤木リツコさんも登場しましたけど、こちらは12年の月日を老けたという意味で感じました。後気付いたのが大原さやかさんがちょっちどころか、かなり頻繁に登場しています。現在活躍している声優さんもコラボしているのは、時の流れを感じさせてくれます。



 さてさてシンジは映画版でもシンジでした。いきなり「選ばれたからエヴァに乗れ。」自分の意志に関係なく決められていく現状。しかも訳の分からない謎の生命体使途とエヴァに乗って戦うなんて、誰がどう考えてもありえない。だけどここでシンジが「はい!乗ります。」なんて言ったら観ているが「あれ?」と思ってしまうでしょう。「逃げちゃ駄目だ!逃げちゃ駄目だ!」あのシンジの名台詞が飛び出しませんよ。だからここは既定路線で、怪我をしているレイを登場させて女の子を守るという動機づけをしたのはよかったです。 そしてエヴァ初号機の初陣が描かれました。ここは12年の月日の流れが良い方向に出たと思います。エヴァの動きが格段に精密に描かれてます。CGの良さが出ており、暴走の場面もより克明でリアルに表現されていて良かったです。それから嬉しかったのは、サントラまで買ったエヴァのBGMがそのままだということ。世界観を壊さないのは基本です!



 戦いを終えシンジは1人で住む事を決めたが、ここで予定通りミサトが介入。「あのペンペンがいるマンションに連れて行くんだな。」と直感しました。基本は変えてませんね。しかもミサトのりっちゃんみたいな大雑把な生活振りも変わりません。ちょっと変わったのはビールの銘柄ぐらいでしょうか?(笑)無理矢理強制的にミサトのマンションにやって来たシンジ。見知らぬ天井を見つめながら「あなたは良くやったわ。」という意味を考えていた。こういう心情に訴えるシーンはやはり秀逸だと思います。自分に置き換えて考えるようになりましたし。特にここからはシンジの葛藤とヒロイン綾波レイとの関係が強調されました。



 クラスメイトの鈴原トウジに殴られ、好奇心で戦場に出て来たケンスケとトウジを助けた。徐々にエヴァに乗る自分に疑問を感じるようになったシンジ。今回のエヴァのテーマは、存在意義だというのは感じていましたけど、それが最初はゲンドウに自分を認めて欲しいという願いがあったのに、同じパイロットのレイに対しては自分には見せない顔を見せる。また自分は父親から認められていない。そう感じさせるシーンでした。存在意義が無い自分は単なる利用される存在。だったら居なくなれば良い。逃げれば良い!心の変化を誘発し第3新東京市を離れようとするのは私はとても共感しました。ただ孤独だったシンジには、姉や母親のようなミサトがいました。



 ミサトの存在は同じぐらいの年齢になって観ると感覚が変わりましたね。繊細な少年の心を理解しそれを認めようとする気持ちが理解できるからです。結局シンジが「嫌だ嫌だ!何で僕がエヴァに乗らなきゃいけないんだ!」というネガティブな考えから、使命と運命を教え最終的にエヴァに乗るように説得する。心の弱さと強さが交錯しながら、最大の作戦ヤシマ作戦に挑む。前回の戦いで死の渕まで追い込まれたシンジは、ミサトから君にしか出来ないことだとアダムを見せられ存在意義を証明された。自分は何故戦うのか?何故エヴァに乗るのか?それを見つけ、逃げる選択よりも戦う選択をした。ここで大人の視線から見たのは、自分の居場所を探し存在意義を見つけた少年の決断が、今回の「序」のクライマックスに繋がったと思います。14年経過して改めて違った視点で観た今回の映画版は、改めてキャラクターに感情移入し易く続きが観たいと思わせる内容でした。