文化祭が終わり生徒会長選挙の時期が近づいて来た。カリスマ的の生徒会長だったすみれの

後を継ぐのは、祐作だとクラスメイト達も考えていた。しかしすみれから話を言われてから様子が

おかしくなった祐作。急に元気が無くなったり、下ネタを言ったりするなど様子が変わった。ついには、クラスメイトの前で自分は、全部辞めて生徒会長にはならないと宣言した。心配になった竜児は、メールを送ったが反応が無った。翌日金髪に染めた祐作が、教師に取り押さえられ暴れている光景を大河と一緒に目撃した。



 面談室に連れて行かれ祐作を心配して、ゆりも理由を聞きだそうとするが聞き出せなかった。結局竜児・亜美・すみれを呼んで事情を確かめた。しかし3人とも全く分からず、すみれは冷たく

突き放した。一方で亜美は、祐作は誰かにかまって欲しい思いがあり、わざと注目を集めさえ思いを知って欲しいとするだけと客観的な見方をしていた。そんな亜美の考えは、祐作の自宅を訪れた実乃梨も理解して、大人の世界で仕事をしている女の子が、自分達に合わせているのでは

ないかと考えていた。

 


 北村家を訪れたが、不在だったのでアパートに戻って来た竜児。そこには大河の他に制止を振り切り早退した祐作がいた。プライベートの時間にいる祐作にドキドキする大河。竜児は、改めて

金髪に染めた理由を尋ねた。「金髪ならば誰も生徒会長として認めない!」どうしても生徒会長にはなりたくないからだけで染めた。結局夜中までゲームをした後祐作は先に寝て、大河と竜児は夜食を買いにコンビニ向かった。その途中オリオン座を眺めて、祐作の不安を理解出来ず近くても遠い関係を例えていた。それに対して近づく為に話をする事が大切だと教えた竜児。翌日

気晴らしにバッティングセンターに向かった時、大河の知らない部分を見て祐作も少しだけ理解し始め元気を取り戻した。しかし帰宅後泰子が無理矢理髪を染めようとすると、親と内通して事に気付き再び飛び出してしまった。



 そして翌日校門の前で生徒会長候補として、生徒を地獄に突き落とすスピーチをする大河。

聴衆の生徒達は驚き恐怖に慄き始めた。「手乗りタイガーが生徒会長に?」「嘘だろ止めてくれ!」わざとらしい棒読みでクレームを言う浩次と久光。するとそこに祐作が登校して来た。「おい北村だぜ。生徒会辞めるって公言してるしな。だから手乗りタイガーが立候補したのか。」2年C組以外の生徒達は事情を理解した。「誰だろうと私の邪魔をさせないわ。」マイクを振り回し止めに来たゆりにぶつけるほど、わざとらしいスピーチをした大河。「このままだと手乗りタイガーが

生徒会長になってしまう。」「誰か立候補する奴はいないのか?」またもわざとらしく正義感溢れる人間つまり祐作を煽る浩次と久光。他の生徒達も大河の横暴さを危惧して、祐作待望論が沸きあがり始めた。それでも祐作は、我関せずを貫き無視を決め込んだ。(さて大河が、悪の生徒会長として立候補しました。それは正義感の強い祐作を引きずり出す為。こうなったら大河と竜児対祐作の我慢比べになって来ました。それにしても声優さんの棒読み技術も凄いです。)



 大河の振り回したマイクを頭に受け気絶したゆり。2人に事情を確認すべく呼び出した。「皆が

困る状況になれば、立候補せざるおえない状況になるだろうと思って。」学校が間違った方向に進み皆が困れば、黙ってられない状況に追い込む「北村ホイホイ作戦」を実行すべく大河が立候補した事実を説明した竜児。クラスメイト達にも電話して、自分の意見に同調して協力している事も明かした。「でも北村君が立候補しなかったらどうするの?そうなると逢坂さんが、生徒会長になる事になるわよ。」祐作がその気にならなければ、大河が生徒会長になってしまう。ゆりは不測の事態も考えていた。「北村君は絶対にこのままほったらかせる人じゃないから。」普段の言動をよく知っている大河。絶対に祐作が名乗り出ると信じていた。しかし選挙に立候補して恐怖

で支配する生徒会長を印象付けるには、きちんとした準備が必要だった。「わかったわ!後で職員室にいらっしゃい。印刷機の使い方を教えてあげる。ポスターと公約のちらしは必要よ。」竜児達の話を聞き、ゆりも祐作を引きずり出す作戦に賛同した。(祐作はもの凄い皆に信用されていると思いました。大河はめちゃくちゃやるのはわかっているけど、それを止められるのは祐作以外居ないと思っているからです。それほどの信頼と人望を集める人物が、何故生徒会長のポジションを拒否するのか疑問でした。)



 翌日恐怖感を煽る大河ポスターが完成。早速学校中に貼り出された。本当に大河が生徒会長になる雰囲気が漂い始めた頃、竜児はカレンダーに×印を付け始めた。タイムリミットの金曜日までのカウントダウンの意味だを持っていた。更に日が進むに連れてちらしを女子生徒に配布したり、自らを「地獄の使者」と名乗りクラスで立会演説会を開いていた。しかしそんな中でさえ祐作に出馬の動きは無く、浩次達が哀願しても首を盾に振らなかった。ついにタイムリミットまで残り1日になった。「いや北村って本当に意固地な奴だったんだな。あれだけやれば、うまく行くと思ったんだけどなあ!」本格的な大河の選挙運動が実を結ばず、祐作の意志の強さに舌を巻き諦めムードの竜児。「高須君の携帯電話で良いのかな?ごめん初めましてかな、生徒会の村瀬って言います。」八方塞の状況で、生徒会メンバーの村瀬という男子生徒が、竜児に電話をして来た。「そうか教えてくれてありがとう!北村をぶん殴ってくる!」情報を教えてくれた村瀬に感謝した竜児。携帯を持つ手は怒りに震え、祐作を殴りに行くと大河に言い残し飛び出した。(村瀬から聞いた話が竜児には我慢出来なかった。顔はヤンキー面だけど、優しい竜児が殴るという言葉を使うとは、祐作が生徒会長にならない理由が、あまりにも許せない事だったと思いました。)



 村瀬が話した内容は、生徒会長のすみれが学校を辞めてアメリカに留学する事を知った事が

発端。すみれに恋している祐作は、すみれのいない学校で生徒会長になっても意味が無いと

やけになったという事だった。「あの馬鹿野郎!」理由を知り祐作の身勝手さに怒る竜児。顔に殴られた跡が痛々しい祐作に河原で出会った。「高須か?悪かったずっと言えなくて。みっともなかったんだ、会長の事が好きだからなんて。宇宙飛行士を目指すんだって。向こうの宇宙工学の大学の教授に直々に招かれたらしい。そんな事知らなくて俺は生徒会長に当選して認めてくれたら、告白しようと思ってたんだ。だけど俺が生徒会長に当選してもあの人はもういない。そう思ったら何もかも辞めたくなって。それで今日になってとうとう親父にキレられたよ。ボコボコにされたし俺は馬鹿だよ。こんな事したって、会長が留学を止める訳無いのに!」生徒会長になるのは

スミレに認められる為。頭を金髪にして全て拒否したのは、すみれに留学を止めて欲しいと考えた為。全てが自分の恋を成就させるのが目的だった事を、ボコボコにされた後告白した祐作。


 

 「望んだ通りにはならないよな。同じような事を大河と話したなって。色々と上手く行かないなって話していると、大河が電柱を蹴り上げて。」互いの恋愛が上手く行かず、怒りに任せて電柱を

蹴り上げた時の大河と自分の気持ちが、今の祐作の気持ちと似ており、両思いを実現するのは

難しいと再認識した竜児。その時話題に出た大河が、心配して追い掛けて来た。「分かっているんだ。逢坂が立候補したのは、俺の為だって事も。皆に心配掛けたり、このままじゃ駄目だって

事も。話し聞いてくれてありがとうな。大丈夫だ!ちゃんと自分で決めるから!」自分は生徒会長にならなければならない事。大河の立候補の目的全て祐作は理解していた。親友の竜児に全ての思いをさらけ出し、自分で結論を出すと言い残し帰宅して行った。「竜児、まさか本当に北村君を?あの電話なんだったの?」心配して追い掛けて来た大河は、事情を聞こうとした。しかし竜児は、親友の恋が原因だとは言わなかった。(祐作は自分の為だけに生徒会長になろうとしていた。恋する人が振り向いてくれると思ったから。しかしいなくなる人のだから、もうどうしようもないと自暴自棄になってしまった。でも利口だから自分の責任を果たさなければならないと覚悟を決めたのです。自分勝手な子供の意見から、責任を果たす大人の行動。それが祐作の悩める心理描写が印象的でした。しかも話を聞いた竜児が、大河に言わなかったのは、傷つけない為だと

言うのも優しいなと感じました。)



翌日立候補受付最終日、朝から悪の生徒会長候補として演説する大河。そこに髪を黒く染め直し自信に満ちた表情の祐作が、意気揚々と登校して来た。「これ以上の狼藉は許さんぞ。この

北村祐作が、この学校を正しく導いてみせる。」生徒会長出馬宣言とも取れる発言を、集まった

生徒達に向けてスピーチした。その様子を見て安心する大河と竜児。2人は役割を終えたかの

ようにさわやかな顔になっていた。しかし立候補すると思われた祐作が、午後3時半になっても未だ立候補届けを提出していなかった。「規則上午後4時までに立候補の届出をしないと、立候補が認められないのよ。」訪ねて来た竜児に事情を説明したゆり。残り時間30分、慌てて教室に戻ると祐作が帰り支度をしていた。「帰ろう高須!1日考えてやっぱり止めた。」朝の言葉は嘘だった。結局祐作の結論は、全てを止める事になった。吹っ切れたような顔をして、久し振りに竜児と一緒に帰る途中生徒会に入った理由について話し始めた。(意外な展開ですね。まさか朝のあの勢いは嘘だったとは。だけどそれは祐作の出した結論だからしょうがない。彼には生徒会長をやる理由が無いのだから。こうなったら大河の悪の生徒会長振りも見てみたいかな。)



 入学して直ぐ美少女がいると噂を聞いた。その美少女こそ大河だった。大河に思い切って告白したが、振られてしまった。大河は本心ではなかったが、祐作にとって傷付いた失恋だった。そんな時屋上で1人たたずむ祐作に声を掛けたのはすみれだった。「全て見ていたぞ新入生。大丈夫だ高校生活は始まったばかり生徒会に来い。地味な事務仕事で忙殺してお前を立ち直らせてやる。」失恋した祐作を励まし生徒会の仕事をさせる事で、充実した高校生活を送らせようと考えた。そして無理矢理生徒会室に連行され、メンバーに加えられた後充実した毎日を過ごせるようになり大河とも仲良くなれた。祐作の高校生活を変える一歩を踏み出すきっかけを作り、憧れから恋愛感情を抱く対象となったすみれ。「今次の一歩が踏み出せない!」存在が消える事で、モチベーションが消え前向きな一歩が踏み出せなくなった事を告白した。(薄っぺらい萌えアニメなら事実とキャラで誤魔化すけど、このアニメは内面を本当によく表現している。それぞれの思いと

すれ違う事実の変化は最たる例です。だから面白いし興味をそそりますね。)



 「それでそのまま逃げるのか?てめえが生徒会長になると信じているガキどもはどうなる。放り出すのか?てめえはそんな事が出来るのか?お前の足は上がっているんだろ、前に進む為に

上げたんだろ。だったら前に踏み出す以外にないだろうが!さぼるんじゃねえぞ、私は見ているぞ!お前がどんな生徒会長になるかを?」期待を裏切り逃げる事が、祐作に出来るのか?もう足を上げたのだから、前に進んで生徒達を引っ張れ。立候補用紙を押し付け背中を押してくれたのは、あの時同様すみれだった。「一番盛り上がる時に来るんだなスーパースターは!」竜児に時間を確認した上で、すみれの檄を受け入れ立候補を決意した祐作。ぎりぎりで届出が受理され

翌日の立会演説会を迎えた。大河は役割を終え立候補を取り下げ、祐作が無投票で当選する事は決定していた。女生徒に紹介され祐作が壇上に上がり、拍手を浴びながら思わぬ事をしゃべり始めた。(すみれは祐作の事を知っているから、逃げる奴じゃないって分かっている。しかも自分以外に動かせる人間も居ないって多分知っていたのでしょう。それだけ期待をしている証拠なんですけど、一番近くに居るからというのはよく知る為に一番必要なんです。)



 「俺は会長があなたが好きだああああああ」全校生徒の前で告白した祐作。真っ直ぐに生きる男が踏み出した一歩のもう1つの答えだった。「ここに居られるのは、会長おかげです。あなたに恋をしたからです。行ってしまう前にあなたの気持ちをどうか聞かせて下さい。」突然の告白に驚くすみれの告白の答えを求めた。「狩野答えてやれよ!」勇気ある告白に対し、生徒達からも返答を求める声が飛び交う。「という事らしい!あれがご存知副会長の北村祐作だ。面白いだろう

あんな面白い奴が会長になったら、きっとこの学校はもっと面白くなる。清き一票をあの面白い男に!」祐作は公然と告白する面白い男。そう評しYESともNOとも言わず、投票を呼びかけただけのすみれ。拍手が起こる中返答を聞き天を見上げた祐作。「狩野先輩、何でちゃんと答えてやら無いんですか?昨日北村に前に進めって言ったじゃないですか?」1人体育館から去るすみれに返答しなかった理由を問い詰めた竜児。「私は立候補しろと言っただけ。告白してくれなんて

言った覚えは無い。あいつは馬鹿正直な不器用な奴だ。北村はもっと賢く生きる術を身に付けるべきだ!良い友達だなお前は、これからも仲良くしてやってくれ。」祐作は馬鹿正直すぎる。すみれには生き方が不器用に見えていた。それでも明確な返答はしなかった。



 更に突っ込もうとする竜児だが、そこに大河現れ制止した。「北村君泣いていた。お願い竜児今は北村君の側に居てあげて。私じゃ駄目なの、側に居て上げられないの。私は大丈夫だから。」自分と祐作の距離は離れている。目のまで他の女性に告白されても大河は、ショックな表情を見せず気を使い、竜児に側に居て欲しいと頼んだ。大河の強い思いを感じ、竜児は祐作の

元に向かった。そして手を差し伸べてくれた祐作の気持ちが自分に届かなくても、自分も祐作の為に出来る事をやろうと考えた。突然木刀を制服の下から取り出し、暴力という間違っている方法を選んで。「狩野!すみれ!殴りこみじゃあああ!」大河の一歩はもう止められなかった。「もう1人馬鹿がいたか。ちょうどイライラしていた所だ。」竹刀を借り受けてすみれ。容赦なく殴る大河。巴投げで投げ飛ばすすみれ。徐々に喧嘩は、互いの心と心をぶつけ合った。「お前は臆病者の弱虫だ。傷つける事も傷つけられる事もしない。その臆病さが卑怯さが、北村君を傷つけたんだ。」向き合わず逃げたすみれを殴り、卑怯だと見下した大河。



 「弱虫で結構!てめえは単純暴力馬鹿だろうが。」暴力しか手段の無い単純馬鹿だと言い帰したすみれ。「北村君の気持ちを受け入れないなら、お前なんか嫌いだって言ってみろ!言え!」

自分の気持ちに正直になって、きちんと答えろと要求した大河。「てめえに私に何がわかる。てめえみたいな馬鹿になりたいよ。好きなんて言ったら、あの馬鹿付いて来ようとする。そうして欲しいって分かったらそうするだろうが、いろんなもんを犠牲にして!だから私は馬鹿になれない。」真っ直ぐ馬鹿みたいに、自分の本能と気持ちだけで動ける大河や祐作。すみれはいろんな事を考え、気遣うから誤魔化そうとした。それでも自分も本能で動ける馬鹿になりたいと願いながら。「会長は優しい人です。恋をして本当によかった。ありがとうございました。」言葉は悪いけど態度で優しさを示すすみれに恋した事と今までの感謝を告げた祐作。結局生徒会長に当選して、新たな一歩を踏み出した。すみれもアメリカに留学して新たな一歩を踏み出した。そこには停学中の大河から送られた「バカ」と書かれたはがきが送られ、大声で笑うのだった。(とらドラ!秀作だと思わせるのに十分だったと思います。それぞれのキャラクターの内面が、しっかり描かれ大河とすみれは、喧嘩という形で表現しました。特にスミレには感情移入します。バカつまり

感情の赴くまま動ける人間への憧れとともに、祐作の気持ちを受け入れた後を考慮する優しさと

頭で動く人間のつらさが垣間見えました。それに実乃梨は、前回自分はずるいと言ってましたけど、おそらく大河に祐作の気持ちを黙っていた事だと思います。もし言ってしまえば、親友に嫌われてしまう。そう感じたのではないでしょうか?本当に素晴らしいお話だったと思います。)