外山と岩佐が起こした暴力事件によって、校長から「剣道部休部」という重い処分が、課せられると通告された虎侍。しかし2人は春から試合に出場しなかったので、事実上の退部状態
であったので「処分を受けるか、2人は退部していなかったか、紀梨乃お前が決めるんだ!」
部長の紀梨乃に甘んじて処分受けるか、それとも2人が既に退部して剣道部に所属していな
かった事にするか、虎侍は選択を迫った。
一方部員達も剣道を続ける理由を見失っていた。都はキャリーに練習しても勝てず、剣道を
続けるモチベーションを失い、段十郎の説得も届かなかった。そして初めて敗北を喫した珠姫。
敗北をどう受け入れて良いのかわからず、父親から「竹刀を置いて少し考えてみろ。」と言われ
出した結論は、剣道部退部だった。退部届を見た紀梨乃は急いで珠姫の教室に向かった。
「どうして?どうして部活辞めるなんて言うの?」理由を尋ねる紀梨乃。「私皆の役に立てませんから。こないだも結局負けちゃったし、私が勝たなきゃいけなかったです。皆そう思ってました。勝たなきゃいけなかったし、負けちゃいけなかった。あの大会で分かりました。私より強い
人は、一杯一杯います。剣道を続ける意味が分かりません。」部員達から勝利を期待されて
いた珠姫。しかし期待に応えられず負けてしまい、自分より強い人間がいる事を痛感。勝てない
自分が剣道を続ける意味はなく、父親にも言われていたので退部という結論に達したのだ。
(負けをどう受け入れて良いのか分からないから、自分で責任背負い込んで辞めるというのは
珠ちゃんならしょうがないかもしれない。でも負けを次に繋げる事を教えないと駄目です。)
道場に行き珠姫の退部届を受け取った事実を報告する紀梨乃。しかも都は段十郎が、教室に
迎えに行く前に都は姿を消していた。とりあえず練習が始まり、紀梨乃は虎侍の所に向かい珠姫の退部について報告した。(ダンくんはミヤミヤの気持ちが分からないから、汲み取ってあげないと力になれないです。)「そうかタマが。個人の意志を尊重しなければ、部活動なんだから。
外山達の事も明日決めろよ。俺は用事があるから道場に顔出せない。」珠姫の退部も外山達の
結論も指導も全て投げ出し、全くやる気が無い虎侍。積極的に解決しようとしない姿勢に紀梨乃は涙ながらに「どうして逃げるんですか?あんた顧問でしょ!」と訴えた。(コジローも自分では剣道は終わったと思い目を背けている、そんな態度が紀梨乃には許せなかったと思います。)
練習後虎侍が剣道部最大のピンチにも拘らず、何も具体的な解決案を出さない事に驚く
鞘子。「まあなんとかなるよ。とにかく1年の子達の事を考えてあげなきゃ。」1年生が練習
出来なくなる事態は避けようと考えた紀梨乃。夜の電話にも出ず翌日の学校を欠席した。
(珠ちゃんもコジローもまるで魂の抜け殻みたいでした。)都も連絡を取っても全く反応がなく
しばらくそっとしておく事になり、虎侍も屋上から景色を眺めているだけで、指導しようとしない
状況。勇次・聡莉・段十郎は寂しさを感じていた。
放課後学級日誌を書いて下校する珠姫。剣道部での思い出を思い出していると、自転車の
タイヤがパンクした。自転車店は休みだったので、仕方なく自転車を引いて歩いていると
勇次が声を掛けて来た。「珠ちゃんもう剣道やらないの?」何となく尋ねる勇次。「うん!お父
さんにも無理してやらなくてもいいって言われているし。」はっきりと剣道を続ける意志が無いと
伝えた珠姫。しかし「珠ちゃんは剣道強くなりたいって、あの人に勝ちたいって思った事ある?
珠ちゃん俺に負けた時の気持ち、聞いて来た事あるよね?多分珠ちゃんが今感じている気持ち
だよ。悔しいんだ!珠ちゃんは凛さんに負けて悔しいんだ。でも今まで誰よりも強かったから
その悔しさをどうしていいかわからなかっただね。」珠姫は負けた事がなかったから、その悔しい
気持ちをどうしていいのか分からないと指摘した勇次。珠姫は今剣道を辞めずに、悔しさをバネに練習して、次は勝てるように頑張ればいいと主張した。(どんな選手でも全勝はありえない。
負けてから立ち上がり、次に頑張って勝つ。負けから学び勝った喜びを感じれば、また剣道が
楽しくなるというユージ君の訴えは凄く説得力がありました。)
「ユージ君自転車貸して!」勇次の言葉に心が動かされた珠姫。町戸高校に急行し、石橋に
上段との戦い方を教えてもらおうとした。自分の言った言葉の意味を、理解したと知ると「お前の所にも上段使いが、いるじゃないか。」石橋は虎侍が、上段を使うと教えた。早速帰宅しようと
する虎侍に「上段との戦い方を教えて下さい。」直訴した珠姫。「俺のは一発芸だよ。俺がお前に教えてやれる事なんてないよ。お前は俺よりずっと強いんだし。長く剣道やっていれば、どうしても勝てない相手が出て来る。いいじゃないか楽しければ、部活なんだから。」頭を下げる珠姫に対して勝ち負けにこだわらず、上段の指導をしようとしなかった虎侍。
「楽しければいいんですか?私は今日感じた悔しさを忘れたくありません。やっと自分の剣道を始められそうなんです。負けて事にちゃんと向き合いたいんです。」負けた事を認めきちんと向き合い悔しさを知った珠姫。改めて自分の剣道のスタートだと思った。それは虎侍も同様で、挫折から這い上がり石橋に勝ち優勝した。「そうだよな向き合わなければ、始まらねえよな。」自分の過去の経験を思い出した虎侍。現実から目を背け逃げていた自分を捨て、現実と向き合う
と決心した。珠姫の申し出を受け入れた。(珠ちゃんもコジローも人間的に成長したと思った瞬間でした。特に珠ちゃんは負けと向き合い、成長しようと思った事は、一段と強くなるきっかけに
なるのではないでしょうか。勝負の世界は、どんな形であれ勝ちと負けは表裏一体ですけど、
負けをバネにするのは同じです。)
その頃携帯を見ながら歩いていた都。偶然聡莉と出会い声を掛けられた。再びキャリーと対戦
するのに、一刀流の対策の練習をすべきだと、無視して立ち去ろうとする都を引き止める聡莉。
「ダン君やあんたにあたしの気持ちはわからない。自分と同じように相手が頑張っていたら、差なんて縮まらない。努力しても無駄なら剣道やっている意味無いわ!」実力のある聡莉には、頑張っても勝てなかった自分の気持ちは理解されず、剣道を続ける意味は無いと思う都。すると
「そんなの勝手に決めないでよ。努力が無駄だって何で決められるの?私はそんなの思った事
ないよ。たった2回負けただけで、諦めてふてくされて逃げようとしているあんたに、そんな事言わせない!勝って辞めてよ。私の特訓まで無駄にするな。」2回同じ相手に負けた事実から
逃げていた都に対して、聡莉は初めて感情を爆発させた。聡莉の訴えは、都に再び剣道に向き合うモチベーションを復活させ、もう一度最初から鍛えなおそうと決意した。(内気なサトリンが
あんなに必死になって訴えるとは、友達を思う気持ちが如実に出ていました。)
夜鞘子は学校を休んだ紀梨乃の部屋を訪ねた。しかし自分1人で責任を取ろうと、既に退部届を書いていた紀梨乃。部長が責任を取り、何とか1年生の為にしてあげようとした結論。それに対して「馬鹿!馬鹿!あんたなんでそんなに馬鹿なの?1人で苦労を背負い込んで。こんな事で悩みは消えないよ。泣いていいんだよ。苦しんでいいんだよ。私だって力になってあげられるじゃない。他人の力を借りてやっと解決出来るんだよ。私に言いなよ、1人で決めないでよ!
あんたがそうしたいなら、付いて行ってあげるから。」鞘子は全部責任を背負い込み、自分が
辞めて解決しようとする紀梨乃に、自分を頼って欲しいという気持ちをぶつけた。そして「ようやく決心が付いたよ。」ようやく紀梨乃は、今回の剣道部休部問題の結論を出した。
翌日先に道場にやって来た勇次。都の気持ちが分かってやれないと落ち込んでいた段十朗。
そこに外山と岩佐が部長の紀梨乃を訪ねてやって来た。しかし不在だったのしばらく待つ事に
した外山は「最後の一暴れをするか!」と言い、1年生に互角稽古を申し出た。最初名乗りを
あげたのは、勇次だった。しかし「俺が行きます!」それを制して段十郎が、相手を買って出た。
入部したての頃、外山にしごかれぶっとばされた。しかし弱かった自分を練習で鍛え、強く
なった自分を証明するステージなのだ。試合が始まり、最初は体格の差を利用しパワーで
ぶっとばす外山。それでも立ち上がる段十郎。たとえ倒されても立ち上がる勇気を見せ、今度は隙を突いて抜き胴を決めた。キレると思った岩佐が止めようとしたが、外山は制止し「やっぱり俺には向いてねえ。つまんなかったなあ剣道!」という捨て台詞を残したが、本心は嫌いじゃなかった剣道に対して、ケジメを付けるという意味も込められていたのかもしれない。(ダン君も
トラウマに打ち勝ち、ミヤミヤの気持ちが少し分かったと思いますよ。)
試合が終わり岩佐から、日付が春の退部届を渡された勇次。紀梨乃が部員の証として作って来たマスコットを2人に渡した。春に書いた退部届の提出それが、彼らが事件と向き合って
出した結論なのだ。これでようやく暴力事件と剣道部との関連は消滅。都もまた戻って
来た。そして珠姫ももう一度練習を開始し、虎侍もまたもう一度逃げずに向き合おうと一緒に
戻って来た。室江高校剣道部は最大の危機を脱し、また再び心を1つにして突き進んで行く!
今回はそれぞれのキャラクターの心の葛藤がよく表現されていました。外山と岩佐も自分達の責任を取り退部届を渡しましたし「借りを作りたくない!」という言葉に、嫌いじゃない剣道部に迷惑を掛けないという気持ちが含まれていたと思います。それにちゃんとマスコットを受け取り
ましたし。キリノにとっては、彼らも同じ仲間だったのです!次回はリベンジマッチです。