小雨模様の花冷えのする日だったが、ちょっとドライブに出かけた。
群馬の赤城南面千本桜は一度行ってみたいと思っていた。
「雨模様なら人の出は少ないだろうし、まだ満開ではないかもしれない。」
と思いながら出かけたら閑散とした桜まつり会場に、車整理のスタッフの方々が、手持ち無沙汰にところどころぽつんと立っている。
駐車場料金500円と書かれているが、どこで支払えばいいのか分からない。
4~5台しか止まっていない駐車場に車を止めて歩き出した。
満開になったらさぞかし見事だろうと思わせる延々と続く桜並木。
思ったとおりの5~6分咲きのさくらは、満開の時より濃いピンクを纏っている。
この感じが好きだ。
強く秘めたエネルギーを抱え込みながら、じっと開く時を待っている。
パワフルで可憐で辛抱強くて、強烈な命のエネルギーを感じる。
凛としたピンクで小雨模様のグレーの空を染め上げている。
フッと開けた広場に菜の花と桜が、のどかなコントラストを作っている。
思わず涙が出そうになる。
この平和で美しい光景を、今戦地にいる人たちが思い描くことはない。
闘いを始めようと決断した脳裏に、この光景は一瞬もよぎらない。
闘っている全ての人にこの光景を見て欲しい。
自分たちが何のために戦っているのか、もう一度自分自身に問いただして欲しい。
私達人間はこの圧倒的な美しさに勝るものは何も持っていない。
この美しさに感動し、頭をたれるしかない。
私達はこの地球で生かされている無力な一生命体なのだ。
その無力な生命体は、協力こそすれお互いに殺し合う理由はどこにもない。
共にこの美しい地球で同じ時に生を受けた者同士として、お互いの命に感謝し合い讃え合って生きていくことを学ばなければならないとつくづく思う。