葬儀が終わって父の死は公表された。
新聞やニュースで父のことを知り、大勢の方からお悔やみが届いた。
温かなお手紙をくださる方、美しいお花をお送りくださる方、そっと包み込むような愛情が嬉しかった。
突然の訃報だったので、驚く方々ばかりだったが、好奇心を抑えた理由の詮索などがないお悔やみは、心が救われる。
一週間もしないうちに父の会社の秘書室に呼ばれ、父の勲章について打診
された。
「もう、一つ頂いていますが。」と言うと
「それは褒章であって勲章でない」と言われた。
「会長は勲章については何度か打診がありましたが、その度、お断りして
いらっしゃいました。
今回、再び勲章について打診が来ておりますが、どうなさいますか?」
と問われた。
父が生前いらないと言っていたのなら、家族がいただきますと言うのもどうなのだろと思ったが、姉と相談した結果、ありがたくいただくことにした。
父が一途に生きてきた一つの結晶が、形になって国から感謝の意を頂けることを、素直に喜びたいと思った。
「そんなもの、俺はいらんよ。」
と声が聞こえてきそうだが、父を誇りに思う一つの形として、やはり残しておきたかった。
会社が主催してくれた偲ぶ会では、額に入れられて、美しく飾られていた。
パパの勲章、きれいね。
姉と私は肩を寄せて額を眺めた。