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新年恒例となっている

日本農業新聞、2023年1月1日号にコラム書きました。

 

ローカルで自給圏を~消費と生産の連携へ

 

 農産物は遠くにいる人や国に売る商品である前に、とれた農場の隣人に届くことが、

環境・人権・福祉を網羅(つまり生命を最優先)したSDGsの基本原理である。

 だが、現市場システムは、食料高騰にあえぐ消費者と、価格決定権のない生産者という、

本来は手をつなぐ仲間である都市と農村、消費と生産の間に分厚い壁を作り、

両者を離れ離れにした。

 

 「有機」の名付け親で、産消の「提携」を唱えた一楽照雄は、

「生産者と消費者の提携は、単に商品の売り買いではなく、人と人とが友好的、有機的につながり、助け合う関係」としている。

そのためには知の共有、五感による生身の教育が欠かせない。

 

 一極集中の市場流通システムは、大量消費社会には便利であったが、小回りが利かず、分断を生みやすい。

例えわずかでもサブシステムとして、ぬくもりある手渡し、ローカル自給圏が望まれる。

 産業としての農業は、大規模に集約することができる。

しかし、命の糧となり、教育の種になる小さな食と農は、近所になければならない。

地域連携策の一つには学校給食が有効で、細やかな公共調達にこそスマート化を進めるべきである。

 今や150か国に広がるイタリア発の地産地消スローフード運動では、生産者とつながる賢い消費者を「共同生産者」と呼ぶ。消費者は客ではなく、共にゴールを目指す仲間なのだ。

地域で作る人と食べる人が手をつなぎ、時には体験し、物だけでなく、知恵や笑顔や感動も分け合えたなら、その延長にこそ、日本農業の強さはある。

 

 

ベジアナ@一億農ライフ あゆみ