「最近、鍼治療も始めたのよー。

治療が終わった後は、

なんかねスキップできそうな気分なの!」


先日、母と電話で話した時のうれしそうな声。


「でもねぇ。やった時だけなのよ。笑笑。

しばらくしたら、

腰から足首にかけて

ジーンと痛くなるのよねぇ。」


急転直下の展開になる。


2年前に腰椎滑り症の手術をした母。

痛みからの解放か!との期待も虚しく、

手術前と変わらない様子。

前回の診察時に同行した際も

主治医には、

「手術は上手くいっているが、

長い間、痛みを我慢していたので

脳がその痛みを記憶してしまってる状態。」と

再びの説明をされた。


へぇー。そんなことってあるのかー。

脳と神経って不思議だな。

なんだか半信半疑だった。

しかし読売新聞朝刊の記事で納得。


今週は痛みとの付き合い方が特集。

その内容は、

長引く痛みは脳が記憶する。

そのため痛みを抑える神経が、

正常に働かない。

その結果、

わずかな刺激でも脳が痛みを過剰に認識する。

痛みを怖がり安静にし続けることで、

体力が衰え、

筋肉は萎縮する。

痛みを抑える働きのある

脳内の神経伝達物質が出にくくなり、

痛みがさらに悪化する。


ほぉ。これが負のループか。

まさに母はこの状態に近い。



治療として、

症状に合わせて

ウォーキング、ストレッチ、筋トレなどの

運動療法と

痛みを理解してどう受け止めるかを学ぶ 

心理的アプローチが中心となる。

そのため

医師、看護師、

理学療法士、作業療法士、心理カウンセラー、

などの医療スタッフさんとの連携も欠かせない。


母はこんなに多くのスタッフさんと、

関わりながら治療を受けてないかもしれないが、

痛みと折り合いをつけながら、

フレイル予防に努めている。

その努力は歳なりによくやってるなぁ、と

感心する。



慢性疼痛。


外からは見えない痛みとの戦い。

自分にしか分からないつらさ。

そして

見えないから他者には分かりにくい。


「あと3年待っててね。

スペシャリストができるはずだから爆笑

それまで元気にいるんだよ。」と

電話の向こうの母に語りかける。


「☆☆ちゃんに頑張るよう伝えといてー。」

軽く笑いながら返事をする。

心なしか少しはずんだ声になった。



痛いとか

つらいとか

悲しいとか

苦しいとか

人の負の現象を受け止めて、

理解することは本当に難しい。

自分だって弱音を吐きたいもの。


うまく言えないけど、

誰かのために


「そっか、そうだよね。」


そんなふうにまず自分が思えることが

はじめの一歩かな。



記事から広がる心の世界。


やっぱり記者さんの語彙力ってすごいな。