2009年11月16日(月曜日)
天気は雨。
NPOライオンズの森プロジェクト植林地に向かった。
NPOライオンズの森の植林地は、リアウ諸島州バタム市ガラン島ラメイ岬にある。
NPOライオンズの森植林地干潟の干潟側より上陸。
2009年3月20日に日本よりNPOライオンズの森のメンバーが来て、マングローブの植林を行った。
オオバヒルギ800本、ヒルギダマシ800本を植林し、現在、植林後8ヵ月になる。
本日は天候が悪く、写真写りはやや悪いが、オオバヒルギは順調に成長している。
節数は、第5~6節まで出ており、葉っぱの数は、2~8枚程度である。
葉っぱや幹に泥が多く付いている様子がみられ、特に幹に泥の付着が激しかった。
通常、海流がある場所では、常に海水が動いているために、泥の付着が起こりにくいが、
この現場は、入り江の中にあるため、海流の動きが穏やかで、そのため水の動きが少ない。
海水の流れが弱いために、マングローブへの泥の付着が激しくなるのである。
しかし、この現場の地理的利点もある。
入り江の中で、海流が穏やかなため、植林したマングローブの種は流されにくいのである。
フジツボの付着も多くみられた。
フジツボがついているということは、この植林現場が塩分濃度が高いということがわかる。
下の写真は、オオバヒルギの葉っぱの裏の様子。
葉っぱの裏にまでフジツボが付いている。
下の写真は、枯死したオオバヒルギの幹を折った写真だ。
折った部分からオオバヒルギの幹の中の部分を観察すると、
一見枯死していたように見えたオオバヒルギも、中身は生きている。
幹は泥で覆われているが、幹自体はまだ緑色をしている。
今後、また復活する可能性もある。
期待して待ちたいものだ。
下の写真は、ツアーで植林したヒルギダマシの様子だ。
このヒルギダマシも植林して、8ヵ月になる。
前回8月に視察にいたときには、
このヒルギダマシの残存率(植林した本数の内、残っている本数の割合)は10%程度で、
活着率(植林した本数の内、葉っぱを携えて生きている本数の割合)は6~7%くらいまで落ちていた。
8月の時点でも、ヒルギダマシは健康的でない状態だった。
今回は、そのヒルギダマシの活着率(植林した本数の内、葉っぱを携え生きている本数の割合)は0%になってしまっていた。
写真のように、なんとか形をわかる程度に残っているものも数本しかなかった。
上の2枚目の写真は、そのヒルギダマシを抜いた、根っこの状態である。
地中根は黒く色が変わっており、腐ったにおいがする。
マングローブの種類によって、適応できる場所できない場所がある。
どうやら、ヒルギダマシはこの植林地に適応できなかったようだ。
しかし、オオバヒルギについてはは元気に育っており、適応できているようだ。
次回からこの植林地での植林には、オオバヒルギを使っていくのがいいとわかった。
今回、この植林地で1隻の漁船と会った。
写真の中の右側に映っている棒はマングローブ植林地の境界線を表す目印だ。
写真でも見てもわかるように、船は完全に干潟の上にあがっている。
干潟の潮が引く前にこの植林地にやってきて船を停め、
また潮が満ちてきたら船を動かし帰るのだ。
その間、この干潟に仕掛けてある網にかかった魚を回収するのだ。
これが、網の様子。
NPOライオンズの森プロジェクト植林地を横断するように網が張られている。
黄色の線で示した部分が網で、赤の矢印の部分は、網の端っこである。
この網の長さおよそ800m程度あるのではないだろうか。
網には、取り残した小魚などがいた。
小さいことや食べられないことが理由で漁師はとらなかったのだろう。
漁師たちに今日の漁獲量を見せてもらった。
80cm×50cm×60cm程度の箱と、発泡スチロールの箱が魚介類でいっぱいになっていた。
毎日、この量がとれるらしい。
魚の種類は様々。
イカなどもとれる。
魚の大きいものは40cm程度のものもあった。
この魚は、バンデンという魚で、よく養殖される魚だ。
養殖に使われるということは、おそらく価値の高い魚なのだろう。
最初は、植林地に網を張って漁をしていることに驚いた。
網によって、せっかく植えたマングローブが倒されている分もあり、びっくりした。
しかし、本来のマングローブ植林の目的でもある地元住民との共生という点を考えると、
マングローブを植林し、この様に漁獲高が向上すれば、
地元住民も自然の恩恵が与えられることで、成り立つのである。
植林地だからといって、漁を禁止するつもりもないため、多少のことは大目に見ないといけない。
網の前後2列のマングローブには、多少被害が出るが、目をつぶらなければいけないだろう。
漁師に喜んでもらい、マングローブと共存共生し、繁栄できることが一番だ。
Ayo menanam bakau!!