加齢に伴い、私たちの体は老化していきます。肌のはりが失われ、シワやシミができる大きな原因は老化です。一般に加齢=老化と考えられていると思いますが、実は加齢≠老化であり、老化のスピードは人によって異なり、歳を重ねても老化が遅く、いつまでも若々しい人もいます。では、なぜ老化のスピードが人によって異なるのでしょうか?そこには炎症と老化の関係が隠れているのです。
この記事では、炎症と老化についてお話しいたします。
炎症性サイトカインとは
私たちの体は、多くの細胞からできています。細胞は、「サイトカイン」と呼ばれるタンパク質を分泌し、このサイトカインが細胞と細胞の間の情報伝達を行う重要な役割を担っています。サイトカインには多くの種類がありますが、その中でも老化に関連するのが「炎症性サイトカイン」と「抗炎症性サイトカイン」です。
炎症性サイトカインは、体内の炎症を促進するように働き、これに対して、抗炎症性サイトカインは炎症を抑制するように働きます。
健康な時は、抗炎症性サイトカインと炎症性サイトカインのバランスが取れているのですが、体調が悪い時や病気の時は、炎症性サイトカインが増加した状態になっているのです。
老化を引き起こす炎症性サイトカイン
炎症性サイトカインは、加齢と共に体内に多くなる傾向にあり、慢性的に体内に炎症が起きている慢性炎症が引き起こされます。慢性炎症の状態にあるとアルツハイマー病、パーキンソン病、動脈硬化 、肥満、糖尿病、骨粗しょう症など多くの疾患に罹患しやすくなります。
こういったことから、“加齢“と“炎症“は密接な関係にあることがお分かりいただけると思います。これは皮膚の加齢においても同じ現象が起きています。長年に渡り紫外線を浴びることによるダメージや加齢によって皮膚においても炎症性サイトカインが増えていき、皮膚に蓄積した炎症性サイトカインが、皮膚のたるみ、シミやシワなどを引き起こします。
一般的に加齢に伴い炎症性サイトカインが増加する傾向にありますが、個人差もあり、加齢≠老化と言えます。
加齢による炎症性サイトカインの増加には、下記に示すような様々な要因が関与しています。
- 内臓肥満、メタボリックシンドローム
- 喫煙
- 多量飲酒
- 生活習慣の乱れ
- 糖質の過剰摂取
- ウイルスや細菌感染
- テストステロン、エストロゲンなどのホルモン変化
慢性炎症が関連する疾患とは
動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞など
内臓脂肪周辺の慢性炎症で血管に溜まったコレステロールで血管が狭くなってしまいます。
糖尿病・肥満・高血圧などの生活習慣病
内臓脂肪の増加による免疫細胞の異常な活性化や、不健康な生活習慣、喫煙、過度な飲酒などが原因となり、体内の炎症を悪化させます。
悪性腫瘍
慢性炎症で細胞のDNAが損傷したりDNA変異が起こる可能性があります。
アルツハイマー型認知症
慢性炎症が神経細胞の破壊や機能低下を引き起こします。
うつ病
慢性炎症が脳内の神経伝達物質に影響を与えます。
まとめ
慢性炎症は自覚症状がないまま進んでいき、取り返しのつかないくらい老化してしまうこともあります。
心身の健康を維持し、健やかな毎日を送るためにも、慢性炎症を起こしてしまう上記の要因などをなるべく取り除き、加齢しても老化を引き起こさないように予防していきたいものですね。









































