よく出来た良作でした
冒頭の始まりは、とある空き地でドラム缶に入った焼死体が発見されたことから始まります。
話は変わり、警察をあらぬ嫌疑をかけられ、結局、退職してしまって、今はVRの「ドラゴンズ・グレイブ」に没頭する滝川が現れます。
この作品の中のVRは進化していて、国民のほとんどがメガネ型のVRを使っているという設定のようです。
ちなみに滝川はゴーグル型のVRを使っていました。(一体、値段はいくらなんだ!?というツッコミはなしで)
そして、第二の事件が。
それはまるで「ドラゴンズ・グレイブ」の中の物語の事件を再現したものでした。
おまけに事件を解決しないまま、第三の事件が起きます。
それもゲームになぞらえたものでした。
事件を追う滝川の同僚でもあった真萩は、やがてゲームをしていた滝川に助力を求めます。
物語が殺人事件とVRのゲームの中とリンクしていく、という今までもあったかもしれませんが、私には新鮮に映りました。
やがて、この事件の裏には、アイドルの一人が自殺していたということにまで辿り着きます。
「ドラゴンズ・グレイブ」の最終目的は、どこかにある伝説の剣を見つけて、闇に囚われている世界を救うことにありました。
ゲーム中毒となっていた滝川は、警察に助力を求められたことで、一層「ドラゴンズ・グレイブ」の世界にどっぷり浸ることになります。
そこはまぁ、ご愛嬌ということで。
物語はまるで自分が「ドラゴンズ・グレイブ」をプレイしているかのように、リンクしていきます。
私もゲームは嫌いではないので、ハラハラ、ドキドキしながら読み進めていきました。
タイトルの「龍の墓」は、読んでいくと分かります
貫井さんの作品は読んだことはあるのですが、どの作品も良作でした。
今作も力が入っているなぁと。(恐らくは取材したとは思うのですが)
新書版ですがあっという間に読むことができます。(私はバスの中でちまちま読んで、2日で読むことが出来ました)
貫井さんの作品が今作が初めてという方もサクサク読むことができます。
点数的には90点かな。
ラストがちょっと甘いなぁというか、滝川の今後がちょっと心配。(ゲーム中毒になりつつあったので)
でも作品的にはとても面白かったです。