群青が赤城の元を去って、10年。
時は昭和34年になっていた。
終戦から14年。
人々は終戦の痛手から、逞しく立ち直っていた。
しかし、ありあけ石鹸は世間の波に揉まれ、とある企業に吸収合併されていた。
そこでの赤城の立場は、急遽、拵えた調査部というものだった。
そこに一人の男がやってくる。
彼は老紳士を脇に抱え、夜の街へとやってくる。
ありあけの旧社員たちは、その吸収合併された企業で働いていたのだが、給料はありあけ石鹸よりもかなり低く、彼らは不満を抱えていた。
赤城はそれを分かってはいたものの、彼は一社員となりはて、どうしようもなかった立場にいた。
そんな最中、桜桃石鹸との大きなパーティーで、蔵地遼子という、会長の孫娘だという女性が挨拶にやってきた。
美しい彼女は、所作も美しく「やがて社長になる」と豪語して去っていった。
一人の男もそのパーティーにやってきていた。
彼の名前は、10年前に赤城の元を去っていった群青。
名前を大河内群青と名乗っていた。
群青は、大河内中佐の遺産を受け継ぎ、名前を変え、赤城の元にやってきた。
彼はアメリカで研鑽を積み、有名な研究所で密かに勉強をし、ありあけを元の輝く星へとするために、会社に乗り込んできたのだ。
一方のありあけの主力商品であるニューレインボーはなぜか、結婚し、娘を授かった佳世子からは不評だった。
その原因を探るべく、動き出した赤城。
やがてニューレインボーの商品に不正があったことが発覚。
しかしそれを証明するのには難儀を抱えていた。
一方の群青はというと、ありあけと敵対している黒田に近づき、彼の心を取り込もうとしていた。
「ありあけは元のありあけじゃない。その輝きを証明してみせる」と密かに黒田に擦り寄っていたのだ。
赤城とは敵対関係になってしまった群青だが、赤城が暴漢に襲われているのを助ける。
それは昔の阪上群青の姿、そのものだった。
「俺は昔の俺じゃない。ありあけを変えるのにやってきた」と語る群青。
一方、ニューレインボーの洗濯の落ちが悪くなったと悪い噂が主婦の間で立ち上がり、世間的にも大問題となっていた。
必死になってその理由を探っていた赤城だが一向に理由が判明しない。
やがて、利益の一部が流用されていたことが分かる。
それを証明するのに躍起になっていた。
群青もまた、闇帳簿の存在を突き止め、世に出そうとしていた。
ありあけの膿を出そうとしていたのだ。
利益が合致した赤城と群青。
群青は黒田に靡いたと思わせて、実は必死になってありあけ石鹸を助けようとしていたのが判明し、両者はタッグを組み、とあることを画策するのだがー。
群青が赤城の元を去ってからのお話となります。
群青は大河内家の財産を受け継ぎ、名前を変えましたが、元の群青のままでした。
一方、あめんぼ団から孤児院へと去っていったリョウの行方も判明します。(その正体にはちょっとびっくりしました)
この本では、赤城と群青の会社での立場が大きく違って、まるで対立していく様相を呈していたのですが、そこはそこできちんと収まるところに収まっていきます。
ラスト、相変わらず、甲53号とは縁が切れないのか、少しだけそこに触れられることになります。
前作が序章ならば、本作は本編といったところでしょうか?
まだ続きがあることを願いつつ、記事を終えることにします
(また長くなってごめんね)