子供を10人産んだら、1人を殺害できるー。
そんな世の中になってしまった中で、姉が、まさに「産み人」として、殺人衝動を抑えながら、子供を産み続ける。
そんな姉を待っている育子。
彼女の会社の中でとある同僚が接近してくる。
その同僚は「産み人」というシステムは間違っている。
育子の姉、環を止めたい。
なんとか環が入院している病院に行って、彼女を説得できないか。
育子は当初、そんな彼女の要望を突っぱねていたのだが、不意に気持ちが変わり。環と会うことを了承する。
しかし、その育子にも秘密があった。
近未来のお話ですが、子供が少なくなってきている昨今「あり得る」話かなぁと感じました。(1人を殺害できるというところは共感できなかったのですが)
育子の姉の環は、いわゆる、産み人が産んだ、センターと呼ばれる所で育った「センターっ子」と言われる施設で育った子供でした。
そんな彼女は幼い頃から、殺人衝動に囚われています。
最初は昆虫などを殺していたのですが。それが徐々に小動物に移動します。
子供の頃って、いわゆる「無衝動の殺害」を誰しもが経験しているのかなぁと。
ちなみに私も昔、昆虫セットとかについていた注射針で蝶々とかに、付属していた怪しい液体を注射針で注入していて、自分だけの「実験」をしたことがあります(汗)←今なら絶対にできないことなのだとは思ったのですが、その時は、自分でも、その蝶々がどうなるかを見たかったのだと感じたと思います。
環は結局のところ、殺人衝動を抑えることはできませんでした。
育子は自分が殺されるのか、母が殺されるのかと思っていて、でもそれでもいいと姉が病院から出てくるのをひたすら待っている設定になっていました。
流石に子供を命懸けで産んで(しかも死産も経験しているのに)たった1人だけを殺害できるというのは思いもよらなかった設定なのですが、その殺人予告をもらった人には自殺できる時間が与えられるというシステムになっています。(結局のところ、殺されてしまうので)
村田さんの作品は「コンビニ人間」を読んだっきりでしたがこちらの本も大変興味深く読めた本でした。