この書籍も読書メーターで評判が良かったので、予約してみて、やっと順番がきた本でした。
内容的には、PMS(月海前症候群)を患っている主人公の美沙と、パニック障害を患っている孝俊の物語です。
お話は終始、穏やかに進んでいくのですが、私はパニック障害持ちなので、よく、彼の気持ちが分かります。
パニック障害って、もちろん、本人のせいではないし、周囲の環境ではないし、ある日、突然、発症してしまう症状なんですよね
これは、特製というか、なんというか。
性格的に関係があるのかどうかは分かりかねますが。(精神科のドクターではないですし)
美沙は、PMSのせいで、大手の会社を退社することになって、今の栗田金属で働くことになります。
その会社は小さな金属を扱っている会社で、周囲の人は美沙のことを暖かく見守っていてくれる、そんな会社でした。
一方の高俊もパニック障害のせいで、前職を退社することになって、美沙と同じ栗田金属で働くことになります。
そこで両者は出会うことになるのですが、いきなり、美沙は高俊の家に行って、ボーボーに伸びていた髪の毛を切ってあげたり(パニック障害のせいで、美容院に行けなくなったので、髪の毛が伸び放題になっていたのです)彼は彼で、以前の社交的で彼女と付き合っていた日々を懐かしく思う男性のようで。
そんな彼に「好きじゃない」と言いながら、何かとおせっかいをする彼女。
美沙もPMSを会社で爆発させてしまって、大変なことになりかけます。
それをきちんと察知した彼は、美沙の感情の爆発を抑えることに、一役買います。
それを気に、2人は急接近することになるのですが、周囲の思いをよそに、2人は「嫌いじゃないけれど、好きにはならない」と言いながら、彼の家で、美沙が見てきた映画(その時の彼女が見たのは、ボヘミアン・ラプソディーでした)を彼の家で、映画のサントラを買ってきて、映画音楽を2人で聴きながら、一緒に感動を分けあったり。
彼の家で、急に髪の毛を切ることになった美砂は、以前の職業が美容師じゃないにも関わらず、彼の伸び切った髪の毛をまるで「こけし」のように切ってしまったり。
何かとほのぼのするエピソードが満載でした。
瀬尾さんの本は初めて読むのですが、よく「書けている」作品だなぁって思いました。
読後もとても良かったです